SNS偽情報、プラットフォーム側の対応制度化提言へ 国有識者会議
インターネット上のウソや誤情報の対策を議論する総務省の有識者会議による提言案が判明した。SNSを運営するプラットフォーム事業者の自主的な対策が不十分として、投稿の削除といった対応の迅速化や透明化などを事業者に求める制度づくりを政府に要請する。
有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」が近く公表する。これを受けて総務省は今後、法整備も視野に検討を進める。
偽・誤情報への対応は、事業者の自主的な取り組みに委ねられてきた。1月の能登半島地震で偽の救助要請の投稿があったことを政府は問題視。総務省は、事業者に投稿の削除など適切な対応をとるよう要請したが、法律の裏付けはなかった。
提言案には、違法な偽・誤情報について、事業者に対応の迅速化のための申請窓口の整備、一定期間内の判断・通知や、発信を繰り返す人の投稿削除、アカウントの停止などを確実に実施する方策を求めることを盛り込んだ。
投稿をする人の「表現の自由」の制約にも配慮。行政機関が事業者に削除などを求める際、申請状況がわかるよう、透明性を確保する仕組みが欠かせないとした。
違法ではないが有害と判断される投稿については、拡散しないよう収益化の停止などを確実に実施させるため、外部からの申請窓口の整備や一定期間内での判断が必要とした。
投稿の削除基準の策定や公表、人員体制に関する情報の公表も事業者に求める。
著名人らになりすました詐欺広告の被害が広がっていることを受け、事業者による広告の事前審査や掲載後の停止基準の公表・策定の必要性にも言及した。
投稿の削除やアカウント停止だけでなく、警告表示や表示順位の低下など段階的な対応も示す。
有識者会議は2月から、フェイスブックを運営する米メタやX(旧ツイッター)といった事業者への聞き取り調査を実施した。提言案では、事業者から十分な回答が得られず、説明責任や透明性も不十分だと指摘。過激な内容で利用者の関心を集めて収入につなげる「アテンション・エコノミー」が情報拡散の背景にあるとして、「情報流通の健全性確保のため総合的な対策が必要」とした。(黒田健朗、奈良部健)
有識者会議が提言するプラットフォーム事業者に求める主な対策
・投稿の削除などの申請を受ける窓口整備
・削除などの対応を一定期間内で判断し、申請者に通知
・投稿の削除基準の策定や公表
・削除などを行う人員体制の公表
・広告の事前審査や掲載後の停止基準の公表
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- 黒田健朗
- 経済部|総務省担当
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