今回から対アルカナ戦。
前回と同様に無人洋上都市ザイレムでの戦闘。
大型武装ヘリに封鎖機構のMT部隊とLC型を退けたレイヴン達。
更にアルカナのナンバーズの一人タロット17とスターと呼ばれるAC乗り達の強襲を受けた。
そこでヴェスパー9のローズネイルはタロット17の正体を察したのである。
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『ローズネイル、どういう事だ?』
『言葉通りよ、奴らは過去の亡霊…しかも人類が外宇宙に進出する前の旧世代達。』
『…!?』
『それを詳しく話すにも、アイツらを退けないとね?』
『…仕方がない、か。』
ローズネイルの言葉に反応したオキーフは言葉を返すが文字通り戦闘中。
本人もアルカナを退けた後に話すと告げているのでそれ以上の事は詮索しなかった。
『レイヴン、聞いていたな?』
『…』
『早々ないと思われるが、ヴェスパー9の撃墜にも注意しろ。』
アルカナに繋がる情報を持っているローズネイルをやられる訳にはいかない。
ウォルターからの通信を受けて連携を取るレイヴン。
『ウォルターの小父様、御忠告は感謝するわ。』
『…』
『アタシもヴェスパーである以上、無様にやられるつもりはないわよ。』
ローズネイルとあのタロット17に対する因縁が何なのか?
過去の亡霊、旧世界から蘇った存在。
それが指し示すモノ…
『成程、それが貴方が隠している秘密の一つですか?ダンテ。』
『…』
『五兄…ダンテって?』
『あのローズネイルの本当の名前ですよ。』
ローズネイルの本名を晒した五花海。
その正体を知っているらしい彼にラークが話しかけた。
『元ベイラム経済領域の治安維持部隊の副長…それが彼の正体です。』
『それってまさか…?』
『治安維持部隊はレッドガンの前身となった部隊の名称…当時隊長だったナイル副長の腹心が彼だったのですよ。』
『って事は五花海さんが詐欺行為で副長にフルボッコされてた頃の…』
ハークラーによって昔の古傷を抉られる前に言葉を遮った五花海。
『ですが、彼は私がナイル副長に逮捕された後…事故で行方不明になった筈です。』
『あのローズの姉ちゃんが?』
『副長の元部下が…マジかよ。』
五花海の説明でハークラーとラークも口々に話した後に納得。
『それも話して頂けるのですかね?』
『ま、そっちも生きて戻れたらの話だけど。』
更に五花海はローズネイルに対してそれの説明も求めた。
『ママ…』
『フェアリーちゃん、そんな不安そうな顔しないで頂戴ね。』
音声通信越しであるが、フェアリーに対して大丈夫と答えるローズネイル。
『全機、戦闘開始を!』
『了解。』
『さあて、ひと暴れするかね。』
『そうそう、あの下品な色のタンクACから仕留めちゃいましょう。』
『…』
タロット17も痺れを切らしたかのようにスター達を差し向けた。
『あらあら…随分と積極的ね?』
前回の宣言通り、ローズネイルのACレッドスローンを攻撃を仕掛けるスター達。
だが、ローズネイルは四機からの攻撃が仕掛けられても冷静に答えた。
『でもね、動きが単調すぎるのよ。』
ACレッドスローンの軽量タンクを素早く起動させ攻撃の隙間をすり抜けた。
『相手はタンクだぞ!』
『!?』
『ちょっとなんなのよ!?』
『アンタらの時代とは様変わりしたのよ……タンクはタンクでもこの軽量タンクを舐めて貰っちゃ困るわ。』
攻撃を仕掛けたスター3、9、10が順にローズネイルに対して叫んだ。
ローズネイルは最もな理由を答えた。
『まずは一体目!』
重量二脚型の一体であるスター9を文字通りビームランスで貫いていた。
『スター9!?』
『ちょっと、アンタねぇ!?』
『黙らっしゃい!このおブス!!』
『何ですって!?』
『アタシのレッドスローンをよくも貶してくれたわね!!』
『本当の事言って何が悪いのよ!このお下品な色AC!』
『アンタだって同じよ!この性格ブス!』
『また言ったわね!?』
スター9を撃墜したローズネイルだったが…
似た者同士なのかスター10と口論を始めてしまった。
戦場に飛び交う二つのオカマボイス…
『『オネェ様とお呼び!!このナレーション!!』』
何かに対してハモったローズネイルとスター10。
流石にこの状況に対してハークラーも恐怖を感じていた。
『…おっかねぇ。』
『ちょっとハークラーちゃん、聞こえているわよ?』
『げっ?』
『後でオネェ様がみっちりと指導してあげるから……コソコソ逃げんじゃないわよ?』
余計な事を言った為に処刑宣告を喰らうハークラーであった。
『小父さん、ローズネイルママ凄いね?』
『…そうだな。』
興味津々で眼を輝かせているフェアリーに対してオキーフは何とも言えない表情で頷いた。
二人は増援で現れたMT部隊への対応しながらの発言である。
『…』
『…謝罪はせんぞ?』
レイヴンも無表情であるがローズネイルの様変わりに反応していた。
同時にレイヴンのACと戦闘を開始したスター8から何とも言えない声で告げた。
『ラーク、此方も応戦しますよ?』
『了解だよ、五兄。』
『胡散臭い奴にクソガキが!舐めた真似を!』
スター3と交戦を開始する五花海とラーク。
戦いが続く中で、MT部隊やスター3が撃墜された瞬間にローズネイルは更なる偉業を見せた。
『サヨウナラ!おブスさん…さっさと棺桶に戻る事ね?』
『そんな!こんな下品な…!?』
スター10のコアブロックを文字通り串刺しにして撃墜するローズネイル。
『女の子は愛嬌、野郎は度胸……二つを兼ね備えたアタシは最強を目指してやるわぁ!!』
『!?』
高加速で勢いをつけて大型武装ヘリへ突撃するローズネイル。
度重なるダメージでヘリの飛行高度が下がった。
これにより軽量タンクでもヘリへ取り付く事が可能だった。
『あの世でモノホンの神様とやらに懺悔する事ね。』
『…いえ、まだです。』
タロット17が搭乗する大型武装ヘリは外装をパージし小型の輸送ヘリに様変わりした。
『っ!?』
『いずれ再戦しましょう。スター8…撤退を。』
『了解した。』
パージした外装を誘爆し妨害用のチャフが飛び交った。
『とりあえず、スターの三機はお陀仏に出来たけど…正直舐めてたわ。』
十分功績を上げたローズネイルに対して拍手するラークとフェアリー。
『ローズのねーちゃんすげぇ!』
『うん、凄い!』
『あら~二人は正直でいいわね。』
三人のやり取りに対して何とも言えない表情の野郎達。
『…』
『レイヴン、気持ちは解るぜ。』
『ヴェスパーになっても彼はレッドガンの流儀を忘れていないみたいですね。』
『済まない、後でフィーカーでも入れよう。』
封鎖機構とアルカナを退けた一行。
無人洋上都市ザイレムを確保したものの探索を終えた訳ではない。
防衛兵器の事もあるので防衛兵器の停止も兼ねて都市中心部にあるメインタワーへ移動した。
=続=
次回、ザイレム探索。
アンケートの投票数が一定を超えましたので早期終了します。
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