前回と同様に無人洋上都市ザイレムにてECMフォグの停止を続けるレイヴン達。
その道中、調査に訪れていたと思われるデリーターACと接触し交戦。
カーラより調整された対デリーターAC用武装の装備を各自受け取り…
アセン済みである事もあり何なく退ける事に成功した。
『此処にもデリーターACが…』
『早い所、仕事を済ませないと不味い事になりそうね。』
オキーフとローズネイルの言う通り、デリーターACの反応が消えればアルカナも動き出す。
その前にザイレムのシステムを掌握し防衛機能を復活させる必要が出てきた。
『小父さん、ママ、レイヴンから最後のECMフォグを停止したって連絡来た。』
『そうか…レイヴンとの合流を急ごう。』
『そうね、レッドガンの方も終わっている頃だろうし。』
『うん。』
フェアリーを通してレイヴンに最後のECMフォグの設置された場所で落ち合うと連絡を送った。
~最後のECMフォグ設置場所にて~
その後、レイヴンの連絡を受けて合流した双方のチーム。
通信機能は回復し外部との連絡は取れる様になったが…
此処までの道中でラークとフェアリーのACに記されたメッセージに繋がる出来事は起こっていなかった。
『結局、あのメッセージって何だったんだろう?』
『分からない。』
メッセージを受け取った二人も頭を傾げるばかりである。
『…少し、拙い状況ですね。』
『五兄?』
『此方に惑星封鎖機構の大型武装ヘリが接近している様です。』
『うげ…あのドデカヘリかよ!』
五花海が例の封鎖機構の大型武装ヘリが接近していると通達。
同時にかつてべリウス地方の市街地で大型武装ヘリにボロボロにやられたハークラー。
『奴らの方が一足早かったか…!』
『武装ヘリ位ならこっちの戦力でも勝てるけど?』
だが、既に都市内部にヘリのローター音が響き始めていた。
もう離脱は出来ない。
腹を括ったローズネイルの発言もあり応戦の構えを見せる一行。
『レイヴン、ザイレムを奴らの手に渡す訳にはいかない…何とか退けるぞ。』
通信機能が回復しウォルターからの通信を受け取ったレイヴン。
『ハンドラーの言う通りです、洋上都市を封鎖機構の手に渡るのだけは避けるべきです。』
ヴェスパー側に通信を送るスネイル。
『そう言う事だ!役立たず共…死に物狂いで迎撃しろっ!!』
レッドガン側のミシガンの怒号が籠った通信も入り、大型武装ヘリを迎撃する流れとなった。
『特にG7、貴様は雪辱を果たすチャンスだぞ?』
『俺が墜とすの前提なのかよ!?』
『負け腰野郎にナンバーは不要だ!事と次第に寄っては貴様の番号を剥奪するぞ!!』
『だーもう!!こうなったら…やりゃいいんだろうがぁああああ!!』
流石にここまで来て番号剥奪は痛いのでハークラーも死に物狂いで戦う姿勢を見せていた。
『…申し訳ないのですが、ハークラーに大型武装ヘリの撃墜を任せて貰えませんかね?』
『僕からもお願い、あの様子だと親父…絶対ハー兄の番号取っちゃうから。』
『…』
『此方は問題ない、それに弾薬の節約になる。』
『ま、頑張って漢を見せなさいよ…ハークラーちゃん。』
『ハークラー頑張って。』
五花海とラークの申し出もありレイヴンらもこれには了承せざる負えなかった。
余りにも理不尽すぎるので…
『…おう、レイヴンか?』
『…』
『そんな手が…判った、やってみるぜ!!』
レイヴンは大型武装ヘリに攻撃を仕掛けるハークラーに助言を送って置いた。
『とりあえず、アタシ達は周囲の雑魚を蹴散らしてあげましょうかね?』
ローズネイルの発言後に大型武装ヘリに混じって現れたMT部隊とLC型。
ハークラーが大型武装ヘリに取り付いた間にレイヴンらはMT部隊とLC型の排除に専念した。
『まさかこの手があったなんてな……レイヴン、感謝するぜ!』
レイヴンがハークラーに授けた戦法と言うのは…
武装ヘリの胴体に接着しありったけの火器を撃ち込み、高度が下がったのを狙って飛び乗って近接武器で仕留める方法である。
振り落とされる危険性もあるが、撃ち込んだパイルバンカーで固定していれば何とかなるだろうと言う見解だ。
『市街地での借りは返して貰う!!』
ハークラーは周囲に点在するビルを足場に武装ヘリへ肩武器のグレネードキャノンと八連式垂直ミサイルで応戦。
高度が下がったのを確認した後、武装ヘリに飛び移り近接武器とショットガンで更なるダメージを与えた。
至近距離なのでショットガンの威力も上がっている。
撃てる限りの弾丸を武装ヘリにお見舞いしたので徐々に穴ぼこだらけになっていく。
更に当たり所が良かったらしく武装ヘリのエンジンが損傷し墜落しつつあった。
『ほう、本日のハークラーは運が良いみたいですね。』
戦闘しながらハークラーの奮闘に感心する五花海。
『…!』
『判ってる!』
レイヴンは爆発に巻き込まれるとハークラーに注意を促し離脱させた。
同時に武装ヘリはバランスを崩して都市の開けた場所へ墜落し爆散。
援護はあったもののハークラーはべリウス地方での借りを返したのだった。
『…』
『これで番号取られないね、ハー兄!』
『お、おう。』
流石に自分で墜とした実感に慣れないハークラーは唖然としていた。
喜ぶのもつかの間…
大型武装ヘリとMT部隊にLC型の殲滅を終えた一行に向かって新たな機影が接近していた。
『この反応……レイヴンちゃん、アルカナの連中も現れたわ。』
新手の大型武装ヘリより四機の重量ACが降下。
四機の内…二機は重量二脚型、もう二機はタンク型の様である。
何れも重武装であり、確実な殲滅を狙っているらしい。
『随分と早い再会ね……アルカナのタロット17。』
『…』
『前と変わらず、余計な事は言わないみたいね。』
前回の戦闘で顔合わせした事があるローズネイルが音声通信を送っていた。
『貴方達は我々の目的…任務の妨害となる存在です。』
『前と変わらず、アタシ達を倒すって事でしょ?』
『言葉は不要…貴方達の選べる選択肢はここで降伏するか戦って撃墜されるかです。』
ローズネイルは静かにタロット17に告げた。
『戦うのはいいとして……アンタ達に聞きたい事がある。』
『…』
『シティ…ミグラント…レジスタンス…最後にフランシスって名前に聞き覚えあるかしら?』
『!?』
『知っている様ね?成程、読めたわ。アンタらの正体って奴をね…!』
『スター各機へ、あのタンク型ACを優先して殲滅を…!』
『遠い昔の御先祖様の恨みって奴を晴らさせて貰うわよ!』
ローズネイルは普段とは違う表情に変わり、レッドスローンのビームランスを構えた。
『過去の亡霊共…さっさと棺の中に戻って貰うぞ!』
=続=
引き続き、無人洋上都市ザイレム編。