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電力測定と電流の実効値・平均値
電力測定を行うには電圧と電流をそれぞれ測定して計算することになりますが、電圧の定格(交流なら100V)からの微妙な変動を無視して電流のみの測定による計算値を電力値とすることがあります。このような方法が採用される理由は次のように考えられます。
- 電圧は定格電圧からの変動は無視出来るくらい小さく抑えられている
- 電圧測定用の計器の設置が難しいことがある
- 電圧測定用の計器の調達コストを抑えられる
今回は電圧センサー(おんどとり)とCTを用いて測定事例を通して、交流電力の測定を行う際の計算方法をまとめてみたいと思います。おんどとりによる電力測定のページの補足情報としても活用出来ると思いますので、お役に立てれば幸いです。
【準備品】
・電圧センサー(T&D製RTR-505-V)
(写真は試験用にプラグ付きの電源ケーブルにつけていますが、実際には分電盤内のCVVケーブルに取り付けられます)
RTR-505-Vは直流0〜5Vの測定が可能ですので、CTで計測した電流がこの範囲内に換算出力されるCTの選定が必要になり、今回は200A程度の電流測定が想定されたのでCTT-24-CLS-CV250を選びました。
それでは、計算方法です。まず交流電力は次の式で表されますので、これを変形していきます。
電力実効値は100[V]で、力率は1として、計算を進めていきます。
こうすると、いきなり電流実効値が求められればよいことになります。ここで、CTT-24-CLS-CV250の仕様を確認すると、電流平均値(実効値ではない)を次のように出力するようです。
(公式サイトより)
グラフからCTT-24-CLS-CV250の入出力換算は次のようになります。
また、正弦波電流の平均値と実効値の関係は次のようになります。
ここで、電力計算に戻ると、
となり、変形終了です。あとは、RTR-505-Vの設定画面で、この比例定数と単位を入力すれば、そのタイミングでの電力(瞬時値)を測定値として設定できます。
(RTR-505-Vの設定画面)
今回の計算を一般化すると、
となります。平均値の交流電流のCTを用いた測定時に参考にして頂ければと思います。