今度はゲームボーイアドバンスSPをIPS液晶に交換!シェルも交換して、カスタマイズ
改造は自己責任
※改造や自分での修理は自己責任で行なってください。
前回はゲームボーイアドバンスのIPS液晶化を紹介したが、二つ折りのゲームボーイアドバンスSP(以下GBASP)はゲームボーイアドバンス(以下GBA)が発売されてから2年後の2003年に発売された。フロントライトを搭載したことで画面がより鮮明に映し出されただけでなく、充電式となったことから電池代の心配もなくなり、夜のお供として瞬く間に高い人気を得た。
しかし、コンパクトさを重視したことで基板に余裕が無くなったのか、3.5mmのイヤホンジャックは廃止。イヤホンで音を聞くためには現在のiPhoneシリーズ同様に、別途充電部分からイヤホン端子に変換するケーブルを用意しなくてはならないという不便さが出てしまった。現在、オフィシャル品でこの変換アダプタは入手できないが、500円程度の中華製が販売されている。現在僕もこちらを使っているが実用性に問題はないため、もし欲しいならこちらをお勧めしたい。
今回はこのGBASPの既存の液晶をIPS液晶に載せ替えるというもの。これを行うと解像度は4倍に上がり、これによって従来よりも色彩が豊かになると言われている。ただ、僕にとって一番の目的は解像度の向上よりも、バックライトの搭載という部分にある。このGBASPの売りの一つだったフロントライトは、当時としては画期的だったものの、いざ使ってみるとかなり暗いところでないとあまり効果を発揮しない。
実はこのGBA、GBASP用のIPS液晶が市場に出る前の2010年代半ばには、バックライト液晶に交換するキットが売られていた。数年前まで僕はこのバックライト液晶への交換計画を練っていたのだけど、どうも個体や原産国によって当たり外れがあると知ったので、一旦スルーして、確実性の高いパーツが出るまで待つことにしていた。そうしたら、いつの間にやら完全上位のIPS液晶が出たので、腰を上げて改造作業に取り掛かることにしたというわけ。
下準備とシェル交換の利点
前置きはここまでにして、早速交換作業に取り掛かろう。
と、その前に一つ断っておくことがある。前回のGBAの液晶交換作業で、モニターの画角を適切に見せるために本体シェル加工にかなりの労力と時間を割いた。正直あんな事はやりたくないので、IPS液晶に合わせて予め加工されている本体シェルが販売されているのでこちらを購入。どうせならあまり持っていないような特別なカラーにしてやろうと思った僕は、思い切ってゴールドカラーのオリジナル本体シェルを購入。
用意する道具は、プラスマイナスの精密ドライバーとY字型のドライバー、そしてハンダゴテとヤスリと紙ヤスリ、ニッパー、そしてネジ無くし防止のためのガムテープ。そしてハンダゴテ作業で着けておきたいマスク。
はて? なんで加工作業の必要無い本体シェルを買ったのに、ニッパーとヤスリをわざわざ用意したのかって? あとで詳細を書くけど、送られてきた本体シェルがIPS液晶用にちゃんと加工されていなくて、結局また加工するはめになったからだ!(怒)。まぁ、今回の加工は5分もかからないものだったので別にそれほど気にしていないが、加工方法も応用が効くので本体シェルを使い回す人のためにも紹介しておく。また、ハンダゴテは使用する直前まで電源を入れないでも大丈夫。使用する際にはハンダゴテの金属部分に触れないよう安全に作業を行って欲しい。
では早速作業を開始。ゼロ災でいこうヨシ!
実際の作業
まずはGBASPをひっくり返してリチウムイオン電池の取り外しから。
取り外し終わったらリチウムイオン電池で隠れていた箇所を含めて計6つのY字のネジを外していこう。ここで一つ覚えておいてもらいたいのが、ネジを外す順番。ネジを適当に外していってしまうと、最後の取り外し部分では、ネジの圧が加わっていることから基板やシェルが曲がって最悪故障の原因にもなる。特に基板に一点集中の圧を加えるのは良くない。ハンダ付けされているところが経年劣化でハンダ割れを起こしやすい状況になっていることが考えられるからだ。
ネジを緩めるときには最初に全てのネジを2~3回転ほど緩め、写真に書いてある順番のように中央部分のネジから外して、最後は対角でネジを外すという順番で外していくと良い。取り付ける際はこの逆で、一度全てのネジを取り付けたら対角でネジを締め込んでいったら、最後に真ん中部分のネジを取り付けて、最後に全てのネジを軽く締め込んでいけばいい。
そうしてリチウムイオン電池側のネジを全部外したら、写真のように元あった位置と同じ位置にネジを取り付けられるよう、わかりやすく別の場所に避けておく。
本体下側の裏蓋を取ったら、ボタン周りの基板が見られる。
実はこの時、写真右にある銀色の四角いパーツ、角ナットがポロンと取れてしまった。これは本体裏蓋を閉じるのに必要な物なので、なくさないように注意して欲しい。
この基板は3つのプラスネジで固定されているだけなので、取った後にネジを別の場所に避けておいたら、ゆっくりとLRボタンの上側に持ち上げる。この基板の背面に液晶のフレキシブルフラットケーブル(以下FFC)が接続されているので、勢いよく引っ張らないように。
分解してみて驚いたのが、サウンド部分の構造。このGBASPはモノラルスピーカーを自重とネジの締め付けの力で基板と設置、通電させることでサウンドを鳴らすというリーズナブルな設計にしていたことが分かった。初代GBAとは1,000円ほどしか差がなかったが、価格を抑えるためにこうした努力があったことに感心させられる。
さて、FFC(フレキシブルフラットケーブル)の取り外しだが、基板からでているFFCが非常にタイトなため少々気を使う形になるけど、接続コネクタの両サイドにある黒いチョンチョンを外したらスルッと抜けるはず。結構な力でFFCはヒンジ側に引っ張られているので、くれぐれも力加減には注意して欲しいその後、写真の矢印部分には、ヒンジを分解するためのプラスネジがあるため、ここのネジを取り外すのを忘れないようにしよう。
ネジを取り外し終わったらヒンジ部分のカバーがポロッと落ちる。写真ではヒンジの包めが見えているけど、その前に液晶パネルの前面カバーの取り外しにかかる。
液晶パネルの前面カバーは丸いシリコン製のカバーの内側にネジ止めされているだけなので、シリコンカバーを全部マイナスドライバーでこじって取り出した後にネジを先ほど紹介した「対角外し」で外していこう。
液晶パネルとご対面するとFFCがクルンと一回転しているのが分かるが、最初に見たときには「これから途方もなく面倒くさい作業が待っているんじゃないか…」と憂鬱になったもの。だけど、意外にもそれは杞憂に終わるほど簡単なので安心して欲しい。
むしろ、次のヒンジの取り外しのほうが今回の交換作業の中で最も厄介。
ヒンジは写真のように爪で引っかかっているだけで、マイナスドライバーでこじって持ち上げたら一定のところまでヒンジが移動するけど、ここから先は知恵の輪を解くような操作が必要になる。ネットに上がっているGBASPのヒンジ交換の紹介では「ヒンジ中央部分を力で押し込んで外す」といったようなことを書いていたりするけど、これは危険なのでやめて欲しい。
先に反対側のヒンジの爪も浮かして少し奥まで押し込んでやる。その後に一度GBAのシェルを開いてからヒンジの中央部分を軽く押すとポロンとヒンジが外れる。力で無理くり作業することは精密機器の修理では殆どないので、困ったらすぐに力に頼るのはやめよう。加えて僕が購入した交換先のシェルにはヒンジが付属していないため、このヒンジを使い回す必要がある。そのため、このヒンジを外す際には、より細心の注意を払わなければならないわけだ。
写真を見て気づいた人もいるかも知れないけど、ヒンジは向かって右は白、左は黒と取り付ける部位が決まっている。また、取り付ける際にはヒンジの先端にある溝を充電端子側に向けるようにして、本体カバーが開いた状態で差し込めばカチッとハマる。
いよいよ次はIPS液晶の組み立て。前回のGBAのときと同様にIPS液晶とFFCの接続作業が入る。
写真のようにIPS液晶からでているFFCを持ち上げて、その先にあるFFCの接続コネクタとくっつけてしまうわけだけど、これをこの状態でやってしまうと、液晶部分に変な力を加えてしまうことになる。
安牌を取ってここは次の写真のようにFFCの上に液晶が来るように配置して、机の上で押さえつけて接続するようにした。考えを反転させなければいけないので少々難しくなるけど写真の通りの配置でいけば問題ない。
その後、FFCの裏側に固定する用の両面テープを貼り付けて、IPS液晶側と固定してしまう。一度液晶の前面カバーにはめ込んでみて、ぶつかる箇所が無いかを確認した後、IPS液晶の裏側に両面テープを貼り付けてクッション材を乗せる。
そして、ボタン側の前面カバーと液晶パネルの前面カバーを重ね合わせて、ヒンジ挿入をしてドッキング。さっきも書いたように向かって左側が黒、右側が白。ヒンジの先端付近が欠けている方を充電端子側に向くように入れたらスポッと入るはず。くれぐれも馬鹿力を入れないように。
いよいよ次はIPS液晶に接続したFFCをボタン側に持っていく作業。一見すると面倒くさそうな作業に思えるけど、実は写真の矢印部分のように小さい隙間がある。ここにFFCの先端を通してしまえば何事もなく作業は終わる。また、FFCは性質として元の形に戻る力が強いけど、この細長い穴に通したら、入口付近で勝手に引っかかって止まってくれるので、通してしまったらこちらのもの。と、その前に、元の液晶から出ているFFCの形状を見て分かる通り、FFCは奥側にクルンと一回転している。そのため新しいFFCも同じように奥側に丸めておく必要があるので忘れずに。
無事ヒンジ部分にも通せたので、液晶部分の裏カバーを取り付ける。……ところがどうしても隙間ができてしまう。押さえつけようとすると何処かに障害となる異物感がある。ここで一度背面カバーを取って、他の本体シェルを使い回す際の加工箇所をネットで検索すると、どうも内左側の縦の部分が邪魔をするらしい。一応IPS液晶対応のシェルを買っているはずなんだけど。と思いつつも、イチかバチかで背面カバーの加工作業に急遽取り掛かる。
改めて写真で見比べてみると、正規品とは違う部分がいくつかあるので一応IPS液晶の為に作られた本体シェルのように見えなくもないが、ぶつかっている部分は現に生じているので左側のバーの部分をまるまるニッパーでカットする。
ちなみに、本体シェルをそのまま使い回す際にも同様に左側の部分は邪魔になるので、ここを削るだけで液晶カバーは収まるようになるとのこと。もし加工する場合は何処かで四角の切り込み口を作って、そこからカバーの底にニッパーの刃が水平になるようにカットしていけばきれいに処理することができる。
カット後は紙ヤスリで丁寧に処理をして、再度液晶カバーのはめ込みにトライ。よし、今度は引っかかりもぶつかりもなくスムーズにハマったぞ。
そしていよいよ本日のメインイベント、ハンダ付け。前回は3本のリード線だったので6箇所のハンダ付け作業が発生したが、GBASPには予め輝度調整機能が付いているから今回はIPS液晶用に細工するためのリード線1本で済む。ハンダ付けも2箇所と随分楽だ。
ハンダ盛りをするところはIPS液晶に取り付けたFFCの先端にある丸いマークと、ボタン基板の十字キー側、右と上の中間にあるQ12Bという箇所。ここにハンダ盛りをしたあとに、リード線の先端をハンダで接合する。
難しいのはFFCの方だろう。ここはFFCが形状記憶のせいでどうしても上の方に向いてしまう。そこで、FFCの先端部分を洗濯バサミのようなもので挟んで、洗濯バサミの重みで固定。そうするとハンダ盛りがしやすくなる。FFC側にリード線を接合した後に基板側のハンダ盛りを終えて、もう片方を接合するとハンダ付けは終了。
使い終わったハンダゴテは速やかに電源を抜いて、冷ましてから片付けよう。
写真の通り、リード線は結構パツパツなので、接合したのちに温度が下がったら一度固定具合を確認するために軽く引っ張っておく。
その後、手早く十字キーとボタン、モノラルスピーカーを適切な位置に収めたら、基板をネジで固定し、背面カバーのリチウムイオン電池のカバー部分に角ナットをはめて、ネジ止めをしたら作業終了だ。
さて運命の瞬間。果たして交換は上手く行っているのか……。
よし!すべての画面の表示から音、各ボタンの操作も確認できたので交換は成功。
作業時間は確認しながらだったので1時間30分ほどかかったが、慣れれば1時間以内に終わるような気がした。人によるのかもしれないが、僕にとってはGBASPの液晶交換の方が断然楽だった。もしGBASPの交換を検討しているなら5000円程度の追加資金でアップグレードすることができるので、細かい作業が苦でないうちにやってしまったほうが良い。
もし、難しいと感じるなら、メルカリやヤフオク!などで行われている改造代行を使うのも一つの手かもしれない。改造手術が終わった今の僕は、10数年ぶりにGBA熱が高まっている!
ハタフミノブはフリーのライター兼Web生放送ディレクター。8月は駆け足で『ゴーストオブツシマ』をクリア。こんなに似たようなサブイベントたくさん用意するなら少しくらい『大魔神』みたいなバカイベント仕込めば良いのにと思った。