「次の人に道を残す」性別変更めぐる広島高裁決定に評価と課題の声
出生時の性別は男性で女性として生活するトランスジェンダー(トランス女性)について、手術なしで戸籍上の性別変更を認めた広島高裁決定。トランスジェンダーの関係者や医師からは、今回の決定への歓迎とともに今後の課題を指摘する声が上がった。
今年2月、岡山家裁津山支部で女性から男性への性別変更を認められた岡山県新庄村の臼井崇来人(たかきーと)さん(50)は「時間はかかったが認められてよかった。高裁判断は、次の人に道を残してあげつつ決着をつけた。愛と知恵があるな」と語った。
臼井さんは、性同一性障害の人が置かれている状況や、その人が望むことはそれぞれ異なると指摘する。高裁が、今回の申立人について、ホルモン療法により女性的な体になっていることなどから性別変更を認めたことに「個々に柔軟に対応する方が、当事者が抱え、直面している問題を解決することができる」と話した。
性同一性障害特例法の「変更する性別の性器に似た外観を備えている」(外観要件)について「違憲判断が出るには、社会の理解が進んでいないといけない。社会も当事者も少しずつ意識を変えていけばいいし、時間がかかる。一つ一つ丁寧にやっていくことが大事」と語った。
日本GI(性別不合)学会理事長も務める岡山大の中塚幹也教授は、同大病院ジェンダークリニックで当事者の人たちと関わっている。今回の決定について、性別適合手術を受けなくても「ホルモン療法だけで性別が変えられる可能性が明確に示されたという意義は大きい」と評価する。
ただ、外観要件を違憲とまで踏み込まなかったのは「残念で、あいまいな部分が残ってしまった」。それでも、常に手術が必要と解釈すれば違憲の疑いがあるなどとした判断について「国会は重く受け止めるべきで、特例法の改正に向けた議論を進めてほしい」と要望した。(北村浩貴、上山崎雅泰)
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