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弱者男性を叩くようにしているのは誰か

弱い者達が夕暮れ、さらに弱い者を叩く

弱い者たちがさらに弱いものを叩く

有名なブルーハーツの曲『Train Train』の一節だ。
「弱い者達がさらに弱い者を叩く」。この社会の中にある、いろんな差別や憎しみ、社会の構造や権力、そうしたものへの反発がロックらしい軽快な音楽に表現されている。

弱い人はさらに弱い人を叩いてしまう、でもその叩いてしまう弱い人が、本当に悪いんだろうか。弱い人を叩いてしまうようにさせているのは「誰か」。
本当に戦わなければならないのは、弱い人どうしではないのではないか。ああ、弱い人どうしが戦っている、とどこかで上から眺めている人はいないか。

もともとの歌詞が本当に表現したいことは分からない。
弱い人を叩く人は、強い人でもなんでもなく、ただ「弱い人」なんだと言いたいだけかもしれない。

名誉●●人の構造

『進撃の巨人』という漫画がある。このなかに、「名誉●●人」という単語が出てくるが、これはよく弱い人たちを巧みに操るよくある手法だ。

「弱い人の中から”少しだけ強い人”を選出する仕組み」を作り、晴れて名誉●●人になった人には、褒章を与える。そして「名誉●●人」になるために、彼らのリーダーとなり、弱い人をときに叱咤激励し、弱い人たちを統治しようとする。名誉●●人は、●●人として弱い人達を支配する。もちろん、立場が弱いままであることは変わらず、いつ名誉をはく奪されるかとおびえながら。

「名誉男性」なんて言葉もあるけれど、仕組みは同じだ。

上の記事でも、そんな対立をあおるようなタイトルがつけられている。でも、本当の敵は名誉男性でもないし、もちろん女性でもない。そういう構造を作り上げ、特権的な地位にいる誰かと、その仕組みだ。

弱者男性の問題も同じではないか

「弱者男性」といわれる存在もまた、同じような構造のなかで生まれたのではないか。弱者男性と呼ばれたりKKO(キモくてカネのないオッサン)と呼ばれたり、最近では「チー牛」と呼ばれている。繰り返し再燃する話題だ。

残念ながら、リンク先の男性(と思われる方)が書いている内容には間違いや誤解も多い。周りから煙たがられ、結婚も恋愛もできない、仕事もうまくいかない、そんな男性の存在を知ってほしい、生きていることを認めてほしい。彼は自分を弱者だと自認し、生きづらさを感じている。
だけど、それを、なぜか自分たちを差別する(と勘違いしている)フェミニストのせいにしている。

フェミニズムは、本来、弱い立場にある「女性」が女性のまま生きやすく存在していくための思想だ。決して、弱い男性を叩きたいというものでもないし、男性を貶めるためのものでもないし、強い男性のようになりたい、というものでもない。
ただ「女性である」ということで、社会の中で不利な立場になることなく、そのままで生きやすい社会を目指す、そういうものだ。

彼の抱えている生きづらさは本物だと思うし、彼自身もまた、つらい視線や声を浴びせられてきたのだと思う。

けれど、本当の敵はフェミニストなんだろうか。彼はすっかりそう思い込まされているけれど、もし彼が見た目やうまく社会に適応できないことで、追い詰められて、「弱者」として生きることを強いられているなら、そんな社会が悪いのではないか。

「社会の側にこそ、障害がある」という考え方にもとづいて、この問題を考えれば、個人どうしで争い合うのはやっぱりおかしい。弱者男性もつらいし、フェミニストもつらい。お互い弱いものどうしのはずなのに、どうして弱いものどうしで対立する必要があるのか。
そして、それぞれのつらさの根底にある社会の「落とし穴」みたいなものがあるはずで、それはきっと共有し、共感しあえるものだと思う。

「差別」は人の心から意図的に生まれるものではなく、「知らない」ことで生まれてしまう。差別したくてしたい、と思う人はいない。

いつのまにか「差別」に加担していたり、「差別」していたりする。だから私も常に気をつけていたいし、こうした社会の構造を変える方向に議論をもっていきたい。少しでも弱い人が弱いままでいられる社会へと変えていく力を、みんなで共有したい。

読んでいただいて、ありがとうございます。お互いに気軽に「いいね」するように、サポートするのもいいなぁ、と思っています。

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時短で働く兼業主夫。12歳と2歳の子がいます。NPOとスタートアップで採用や広報のお仕事をしています。鬱になって、ケアをもっと知りたい、社会の生きづらさを軽くしたい、と思うようになりました。福祉、多様性、読書、写真、育児、雑多なnoteです。
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