よく、「どうやったらリップスラーができますか」とか「リップスラーのコツを教えてください」といった質問をいただきますので、私の考えるリップスラーについて書いてみます。

ちなみに、これはあくまでも一つの意見です。
楽器を演奏するうえでは、人によっていろんな演奏スタイルや奏法がありますので、
他にもいろんな意見、やり方があると思います。一つの参考としてお読みください。


まず、金管楽器を始めて1年未満の人の場合、
そもそもリップスラーができなくても普通です。

たまに、初心者でも出来てしまう人がいますが、
多くの人は、楽器を始めて1年くらいでは難しいので、
出来なくても焦ることはないです。

実際、私もトロンボーンを始めた最初の1年くらいはできませんでした。

この初心者のうちは、リップスラーよりもロングトーンなどの、
安定して美しい響きで音を出す練習を、しっかり身に付ける方が先決だと思います。


さて、ある程度、音が安定して出せるようになった人は、
少しずつリップスラーに挑戦していきます。

最初は下記のように、出しやすい音(チューニングのBなど)からその下の倍音に下がる練習からスタートです。
リップスラー3

やりづらければ、最初は音の変わり目に軽くタンギングをいれて吹きます。

ちゃんと安定して音が出せる人なら、これはそれほど難しくないはずです。
これに慣れたら、逆のパターンで、低い音から高い音に上がる練習です。リップスラー2
これは少し難しいと思います。
練習方としては、先ほどのように、変わり目に軽くタンギングを入れて練習する、
低い音から高い音へ、少しクレッシェンドするように吹く、
マウスピースのバズィングで同じ音を吹いてみる、
などがあります。


リップスラーは、非常に微妙な口のコントロールになるので、やり方を言葉で説明するのも難しいです。
自分の感覚としては、
唇自体は動かさず、口の中の舌の位置を上下することで、口の中の容積を変えて音程をコントロールしています。

高音に上がるために、唇を両側に引っ張るような吹き方もありますが、
それよりも、そのままの唇の形で、唇の周囲にも力を入れるようして高音を出す方が良いと思います。


単純な話、音を高くするには、息のスピードがより速くなれば良いわけです。

そのために、息の通り道である口の中を少し狭くしてあげると、自然と息のスピードが上がります。
これを、舌の位置を動かしてコントロールしています。

これは、まず息の吹き込みが安定している、ということが条件です。
なので、そもそもロングトーンが安定していないと、できません。
ですから初心者はリップスラーの前にロングトーンが重要です。

こうして、息のスピードをコントロールして音程をかえますが、
ただ、そのコントロール具合は非常に微妙なので、少しずつ体で覚えます。

だんだんと高い音や低い音を増やしたり、
テンポを速くしたり、徐々に難しいパターンを練習しますが、
常に安定した息の吹き込みが必要なことを意識すると良いと思います。



そこから、さらに難しいリップスラーをやる上では、
できるだけ、口の動きを最小限にしていく必要があると思います。

舌の動きで音程を変えていますが、必要以上に動かしすぎたり、それにつられて口全体が動いたりすることが、よくあります。
口の動きが大きいと、ある程度以上難しいパターンや速い動きでは、どうしても無理が出てきてしまいます。

素早く、なめらかに音を変えるためには、口の動きにできるだけ無駄がない方が良いので、
常に、最小限の動きで音を変わるように意識すると、
さらに難しいリップスラーができるようになると思います。

これは、私自身、口が動きすぎてしまうので、自分自身の課題でもあります。