年間騰落率ランキングの傾向から、今後、類似の投資ができないだろうかを考えてみた。

連続したデータ収集ができたのが、TOPIX(東証1部)のみとなったのでこちらにて検証したい。

※新興市場について分析すれば、また、違った傾向が見出されると思うが、それは今後機会を見て行っていきたい。



<総評>
①グロース株
グロース株として発掘できれば、オンリーワンに近い地位を築いた企業が強い。 例:任天堂、Monotaro、ネクスト、グリー、サンリオ、ウェザーニューズ、ドワンゴ

②景気循環株
景気の回復期において何度となくランクインする銘柄、海運、レアメタル、鉄鋼、金融、不動産など。
2年連続でランクインすることも多く、1度上がりだしたら狙い目と言える。

タイミングが数年サイクルとなるため、投資できるチャンスは少ない。
景気が良く成り出した今なら狙える。 → 今でしょ!

③テーマ株
その年のテーマとなる株が買われることもある。 2011年の震災復興関連、2010年の自動車、2009年のデジタル家電など。 事前にその年のテーマが予測し、核心が持てれば買える
(但しこれは結果論でテーマは日々、無数に存在する上、難しいかもしれない)

テーマはオリンピックや選挙など一過性ものよりも、長期的に持続性があり数字が大きく説得力があるものがよい
今年で言うと、アベノミクス3本の矢・・①金融緩和、②公共事業、③成長戦略

※③は内容が未知数で、期待だけで小粒に終わってしまう可能性もあり、今のところ①②が王道

銀行、証券、不動産、建設、鉄鋼・・と①②に関連するセクターは、過去に多数ランクインしている。

④バリュー株
バリュー投資は10~20%のギャップを手堅く取るという手法の性格上、
特にバリュー株と特徴付けられる銘柄のランクインは見られない。

勿論、リーマンショック後の下落率など守りの面で、バリュー株は優位性が発揮される面もあり、
ランキングにないからという理由で一概に否定するものではない。

ランキングの中には、大きく急騰した後、倒産している銘柄もちらほらあり、全体的にハイリスク傾向であるからだ。

ただ、PER、PBRを見る上で景気循環株が格安で放置されていたと思われるため、
バリューだと思って買ったら思わぬ大上昇になった・・という結果論はあるかもしれない。

⑤独占企業
ランクイン中で、国内シェア1位、世界シェア1位などの会社は景気回復局面で再び大きな上昇が期待できそう。 例:ステラケミファ、島精機
◆2012年

銘柄価格上昇率分野備考
1アイフル585円441%金融
2サンフロンティア43500円417%不動産
3クスリのアオキ4675円254%ドラッグストア
4MonotaRO2778円240%ネット2010年10位
5ネクスト841円198%ネット
6カーバイド306円173%化学
7ランドビジネス38100円154%不動産
8イトーキ424円152%家具
9PS三菱556円149%橋梁
10ダイコク電機1806円147%パチンコ
セクターの傾向はなく満遍なく入った印象がある。
前年に続いて不動産がランクインしており、景気の回復を予感させる。


◆2011年

銘柄価格上昇率分野備考
1エスバイエル181円262%住宅
2日成ビルド182円250%住宅
3不動テトラ146円181%地番改良
4グリー2652円157%ソーシャルゲーム
5ハザマ174円156%建設
6若築建設104円131%建設
7ライト工業422円110%建設
8ダイセキ環境151100円110%土壌調査2006年10位
9サンリオ3955円108%キャラクター2010年5位
10MonotaRO816円107%ネット
2011.03.11に発生した東日本大震災により、復興需要として住宅、土木、建設関連が多くランクインした。


◆2010年
銘柄価格上昇率分野備考
1フージャース39600円342%マンション
2フルキャスト20050円259%人材派遣
3富士機工276円200%自動車部品
4大同メタル626円181%自動車部品
5サンリオ1903円169%キャラクター
6日本ピストン234円166%自動車部品
7ツガミ576円164%自動車部品
8TBK411円149%自動車部品
9山一電機407円135%半導体関連機器
10旭ダイヤ1543円132%工具
リーマンショックでの不況の影響を引き続き受けており、この年は例年より派手さは薄いが、
自動車部品関連銘柄が多数ランクインしたのが特筆に価する


◆2009年

銘柄価格上昇率分野備考
1TOWA910円469%半導体関連機器
2アーネストワン940円377%住宅
3ガリバー6480円323%中古車
4東栄住宅769円316%住宅
5きもと1092円307%デジタル家電部品
6フォスター電機2745円306%デジタル家電部品
7シークス1137円299%デジタル家電部品
8TSテック1885円263%自動車部品
9サクラダ25円257%土木2012.12倒産
10ステラケミファ4870円250%化学
2008.09.15にリーマンショックが発生して以来、各企業の業績は低迷期に入るが、
ランキング上位は大きく上昇している銘柄が目立つ。

デジタル家電向け部品が躍進した年と特徴づけられる。

ステラケミファは、電子部品向けフッ素高純度薬品で国内7割、世界8割のシェア。
◆2008年

銘柄価格上昇率分野備考
1古河電池964円421%電池
2ウェザーニューズ1447円141%気象情報
3マースエンジニアリング3030円135%パチンコ
4ダイワボウ情報3360円131%PC尾そり2009 ダイワボウに吸収
5GSユアサ535円107%電池
6新神戸電機803円84%電池2012 日立化成に吸収
7あさひ2280円78%自転車
8バルス145500円77%インテリア2012 MBOで非上場
9井関農機275円76%農業機械
10プリマハム177円74%食品
2008.09.15にリーマンショックが発生、以降、不況に・・という意味で2003年とは逆の歴史的転換点となった。

この年はリチウムイオン電池関連のランクインが特徴。

ウェザーニューズは民間気象情報で世界最大手、他に類似企業がないオンリーワン企業。

古河電池とGSユアサは電池としてカテゴリ分けしたが、リチウムイオン電池として自動車向けの比率が高く、
実質、【自動車部品】関連として見たほうが良さそう。新神戸電機も同様と思われる。


◆2007年
銘柄価格上昇率分野備考
1木村化工機909円211%プラント
2ドワンゴ340000円209%ネット
3乾汽船1685円159%小型バラ積み船2003年6位
4フォスター電機3120円130%デジタル家電部品
5富士通ゼネラル584円122%エアコン
6任天堂66500円115%コンシューマゲーム
7第一中央汽船579円101%小型バラ積み船2003年2位
8島精機製作所5210円94%機械
9太平洋海運284円85%不定期船
10三井松島産業252円85%石炭
欧米でサブプライムローン問題が言われだした頃、ライブドアショックにより新興市場は低迷し、
東証1部の大型株は高値を更新するという2局化した年となった。

不動産流動化企業が次々と上方修正を出し、過去最高益が更新され続ける状況であり、一見安値に見えた
株価はじりじりと下げ続け、2006.1をピークとした各社の株はリバウンドはなかった。

全体的に見ても、相場が過熱化したせいか、上昇率は伸び悩み。ランキング下位は100%割れとなった。

この年は2003年に躍進した【海運】が再び3社ランクイン、海運の年となった。
海運は今後も【バラ積み貨物船】が最も期待できるのか、たまたまなのか・・は調べ切れていない。

島精機製作所は、電子制御横編み機で国内9割、海外6割のシェアを持つ


◆2006年

銘柄価格上昇率分野備考
1メガネトップ2520円196%メガネ
2ダイトエレクトロン1851円129%電子部品卸
3任天堂30900円116%コンシューマゲーム
4大平洋金属1167円103%ニッケル2003年1位
5イオンディライト2635円99%施設管理
6ミツミ電機2620円96%プリント基板
7エルピーダメモリ6540円85%DRAM2012.2倒産
8日本総合地所3420円73%不動産2012.10倒産
9日本冶金工業770円72%ニッケル2003、2004年 9位
10ダイセキ環境2990円72%土壌調査
2006.1ライブドアショックにより波乱の幕開けとなった年。以降、マザーズ指数を中心とした新興市場は
売られ続け、東証1部の大型株に向かう資金が鮮明になった。

日本冶金工業のステンレス鋼版はニッケル原料であり、太平洋金属ともにニッケル相場が反映された形。
(2003、2004年に続いて3回目のランクインであり息の長い相場となっている)

この年はメガネトップがその名の通りTOPに。
これをヒントにして、後のJINで儲けられた人もいるのかも知れない。(2011.9~2013.4で株価10倍)


◆2005年

銘柄価格上昇率分野備考
1山陽特殊鋼1305円527%特殊鋼
2ダイワボウ862円459%ITインフラ
3三菱製鋼846円415%特殊鋼
4パシフィックマネジメント408000円414%不動産2009.3 倒産
5ゼンショー3740円402%外食
6アーバンコーポ12740円362%不動産2004年1位 2008.8倒産
7関東つくば銀2615円343%銀行
8大京729円298%マンション
9宮越商事4060円298%デジタル家電部品
10松屋2280円297%外食
不動産が3社、特殊鋼が2社ランクインしたのが特徴となった年。
全体的に相場が良く、2003年同様、何を買っても当たる年だった印象。

電炉(棒鋼、厚板、H鋼)よりも特殊鋼のほうが差別化で競争が少ないのかも知れないが、
このランキングは東証1部のみなので、一般的な電炉でも、他の市場で中部鋼鈑などが
躍進していた可能性は考えられる。

ただし、パシマネ、アーバンは後に倒産しており、急騰不動産の深追いは禁物か。

2位のダイワボウは紡績かと思いきや、ITインフラ流通が85%でメインのよう。紡績は10%程度。(2013現在)
意外なところでは、ゼンショーや松屋といった牛丼チェーンが2社もランクインしている点。


◆2004年

銘柄価格分野備考
1アーバンコーポ436%不動産
2丸山製作所355%農業機械
3日本コンクリート工業288%コンクリート
4キッツ286%バルブ
5沖電線273%電線
6トヨタ紡績233%自動車部品
7太平工業217%建設
8リソー教育214%学習塾
9日本冶金工業197%ニッケル2003年9位
10OMCカード197%金融2009.4 SMBCに吸収
2003年と2005年は歴史的にみて、誰もが何を買っても上昇する相場だったと記憶している。
一方で、2004年は相場の踊り場で、引き続き取れた人と期待した程でなかった人の差があった年と記憶している。

それを裏付けるかのように、セクターの傾向もバラバラで、ピンポイントで当てれた人は
大きく稼いだ年と言えるのかもしれない。


◆2003年

銘柄価格分野備考
1大平洋金属671%ニッケル
2第一中央汽船612%バラ積み貨物船
3日東製鋼559%魚網
4SBI450%証券
5いすず自動車424%自動車
6乾汽船400%バラ積み貨物船
7光通信394%携帯販売
8オリコ389%金融
9日本冶金工業384%ニッケル
10新和海運365%バラ積み貨物船
メガバンク危機として懸念されていた前年までと変わり、
2003.5.17のりそな救済により、完全に流れが変わった年。

歴史的に見て完全な転換点となり、メガバンク各行は後に公的資金を完済、不良債権処理が終了する。
ここから大きな上昇波動が始まった。

海運が3社、レアメタル(ニッケル)が2社ランクイン。これらは今後も何度も登場する常連銘柄である。