7月7日、負けるべくして負けた蓮舫。
はじめに 〜次の東京には行けなかった〜
2024年7月7日。東京都知事選挙が投開票を迎えた。
現職の小池候補はゼロ打ち。2位は前安芸高田市長の石丸候補。3位が蓮舫候補だった。
この結果は、私自身も途中から薄々感じ取れていたことだった。
私は今回、蓮舫候補が訴えている政策に一定の合理性があると感じて、蓮舫候補のことを応援していた。
しかし、まったくもって力不足で、2位どころか3位に沈んでしまった。
選挙戦を終えて、ネット上ではさまざまな声が飛び交っている。
ある人は、2位になった石丸候補の言動に対するバッシングに焦点を移す。
石丸氏のあの気味悪さ,おかしさを一瞬で感じ取れない人たちって,なんていうか生き物としての生存本能の一部を失ってるんじゃないかという気がする。それぐらい危険。
ある人は、小池候補や石丸候補に投票した人々への嘆きの言葉を残す。
小池1位、石丸2位、蓮舫3位というのはかなり正確に今の日本人の好みや価値判断を反映していると思う。正しい人はもはや圧倒的少数派なのだ。これが何をやってもうまくいかない国の現実だ。
活動家は、いつも通りにエリート好みの上から目線の言葉を発する。
嘲笑も軽蔑もしませんが、もっと賢い主権者になってもらうため、啓蒙は必要だと思います。 石丸氏のような選挙運動が成功することは、民主主義にとって決して良くありません。 良く考え、しっかり見極めてから一票を投じる有権者になってもらいたいと思います。
一方で「蓮舫支持者の内輪ノリがキモい」と揶揄する投稿が伸びる。
蓮舫が2位にすらなれず3位になった敗因 「支持者の内輪ノリがキモい」これに尽きる 他の人が東京の未来をどうするか政策を演説している中で 「レンホウ! レンホウ! みんなすごいキレイだよ~」 「これ実は蓮舫さんが昔踊ってた曲で~す」 新宿駅で通りすがりにこれ見て投票したくなります?笑
そして、陣営関係者はメディアを通して、まことしやかに「共産党色が強すぎた」と口にする。
ある関係者は「共産党色が強すぎた」と述べ、共産党との連携が前面に出たことが敗因の1つだとの見方を示しています。
いずれも本質的ではないと、私は感じている。
ここで、そもそもを問いたい。
蓮舫陣営は、果たして首長選挙で勝ち上がるための体制を作れていたのか?
蓮舫出馬表明の背景
5月27日。蓮舫は都知事選への出馬を表明した。
「自民党政治の延命に手を貸している小池都政をリセットするのが使命だ」
この言葉からも、国政における勢力争いが前提にあることは薄ら透けて見えるものだった。
数日後の6月1日にデイリー新潮に掲載された記事には、立憲民主党の衆院補欠3選挙全勝から都知事選立候補表明までの裏側が描かれている。
「都知事選は消化試合にできなくなった。立憲民主党として最強の候補者を立てなきゃいけない。ここは蓮舫さんに出てもらえないだろうか」
立憲民主党の東京都知事選挙候補の選考委員会。その出席者の言葉。この選挙はそもそも勝てるわけがないと思っていたが、党勢拡大のためにも消化試合にはできない、という政局的判断が働いた。
立憲民主党にとっては党勢拡大の意図が強いものだった、と言える。
しかし同時に、こうとも言える。
遅くとも4月までは、都知事選対策をまともにする気がなかった、とも。
「衆院補欠選挙の結果は、自民党の政治じゃ駄目だという圧倒的な声だった。9月には立憲でも代表選挙がある。新しい代表の下、総選挙では私も国政に打って出て政権交代を目指すという流れは見える。でも、もし都知事になれば都政改革から国政も動かすことができる。ここで都知事選挙に挑む価値はある」
この蓮舫や手塚の判断をバックアップするような、情勢調査の結果も出る。
手塚は知事選で小池と蓮舫が激突したケースを想定した情勢調査を掛けた。
調査の結果は、小池知事40に対して蓮舫議員30というものだった。蓮舫は小池に10ポイントの差をつけられている。しかし蓮舫の捉え方は違った。
「出馬表明もしていない私が、現職知事に10ポイント差にまで迫っている。予想よりいい」
この結果は蓮舫を勇気づけた。
小池40に対して蓮舫30となると、無党派層を引き込むか、小池支持者を切り崩すかの二択となる。
そこで投票先未定の無党派を引き込むことで、五分まで持ち込める。
これが蓮舫陣営の皮算用だったのだろう。
立憲幹部はこう語る。
「知事サイドは左翼に都政を任せていいのかなどと攻撃してくるだろう。ただ蓮舫さん自身は元々“中道”の人。選挙戦では政党の推薦は受けずに、共産党色も立憲色も出さずにやるだろう」
結果的に、蓮舫は政党の推薦は受けずに出馬宣言をした。
だがしかし、それは二つの脆弱性を孕むこととなった。
ひとつは、実働部隊の脆弱さ。
もうひとつは、推薦なしの建前と矛盾する立憲都連の思惑だ。
実働部隊の脆弱さ
選挙において、実働部隊は非常に重要なことは言うまでもないだろう。
選挙事務所を立ち上げ、その内部は責任者(事務局長)を中心に、街宣や広報、集会に電話担当……。現代であれば、ネット担当を別途置くこともある。また、それらの事務所活動を支える総務の体制も非常に重要だ。
問題は、この実働部隊をどこから招集するのか?である。
実際には、立憲民主党の議員や秘書が主体となって動くことになったという。
急拵えの選挙戦で、候補が立憲民主党出身であることを踏まえれば、自然なことであると言える。
しかし、その内情は惨憺たるものであったことが報道されている。
「蓮舫陣営の選対本部長が誰なのか分からなかったので都連幹部に聞いたら『いない』と言われた。事務局長もいないようです。だから誰が責任者で、どういう体制でやっているのかが分からないんです。 都内の30ある衆議院選挙区ごとに支部選対を立ち上げたが、総合選対は開かれていない。日程が決まり、自分の地域で街頭演説があるとなれば、支部として対応するという感じで、全体像がどうなっているのか最後まで全然分からなかった」
この記事を読んだ私は椅子から転げ落ちてしまった。呆れ果てて何も言えない。
いくら急拵えの組織でも、本部長も事務局長もいないなどというのは論外である。
「責任者出てこい」とさえ言えない。なぜなら、選挙戦の責任者がいないのだから。
ビラ配りや電話かけ、推薦ハガキの宛名貼りなど、そういった地道な選挙戦術も戦略なく実施されていたことも垣間見える。
電話かけも自主的に手を上げたら100件単位で任される、というので、誰もやらなかった。ある秘書が手を上げたら、電話を貸してくれるわけでもなく、党本部の一室に呼ばれ、行ったら誰もいなかったそうです。ほとんど誰も電話がけなんてやってないってことです。
この有様である。
立憲民主党としての推薦を出さなかったことで、立憲民主党出身ながらも"オール東京"を標榜する蓮舫選対が主体となって動くこととなった座組みなのだが、当の選対からは街頭演説の側面支援以外の具体的な活動指示がなかったということになる。
選対の屋台骨が存在しなかったのだから然もありなんである。
そして、蓮舫選対の脆弱さは日本共産党に対しても現れている。
選挙公示前に、日本共産党東京都委員会が応援ビラ(東京民報号外)に蓮舫の写真を使い、物議を醸した。
5月27日に都政へ挑戦することを表明した蓮舫参院議員と、日本共産党の立場をお知らせするチラシです。
そして、都知事選・都議補選に向けて始めた募金の封筒にも、蓮舫の写真を利用したことも、同様に物議を醸した。
蓮舫氏の顔写真を使った理由を聞くと、
「日本共産党東京都委員会が、今回の都知事選挙で、蓮舫さんを全力で応援していることを、東京の赤旗読者、『東京民報』読者、党支持者に知らせるとともに、都知事選・都議選補選・総選挙躍進のための夏期募金を呼びかけるために作成しました」
と答えた。「蓮舫氏に事前の許諾を取ったのか?」との質問には「東京都委員会の判断で使用しました」と回答。また蓮舫氏の写真は“応援ビラ”同様、「立憲民主党都連から提供を受けたものを使用」したという。
もし、蓮舫選対が主体的にまっとうに動いているのであれば、ビラを出すタイミングや内容も含めて計算して実施しただろう。
政策の発表のタイミングを合わせて、政党色を極力消し党員などの力を借りてビラを撒くことで、蓮舫の政策を広く喧伝する……。
逆に、特定政党の募金の広告塔などもってのほかだ。許可するべきではない。
だが実態は、写真が欲しいと言った共産党に対して利用条件もつけず渡して、広告塔として勝手に使われた構図になる。
これまでの話も踏まえると、戦略なき蓮舫選対側が関係者をコントロールできていなかっただけであろう。
日本共産党は、同時に投開票があった補選での全敗も踏まえると、かつてと比べて足腰が弱くなった一面は否定できない。
一方で、蓮舫選対との連携が取れていたとは到底思えず、写真の一件で立憲民主党側の日本共産党側への警戒が強まり、身動きが取りづらくなった日本共産党側の組織も機能不全に陥ったと見るべきだろう。
選挙対策では、ボランティアセンターの存在もある。
有志による活動拠点となるボランティアセンターは6月22日に開設されている。
そこでは証紙貼り作業が行われていた。また、電話かけも6月26日から実施されていた。
このボランティアセンターにおける電話かけの目標件数は5万件だった。
同センターは蓮舫氏を広く知ってもらおうと5万件の電話かけを目標に活動しています。
なお、東京都の有権者数は1153万人、世帯数は745万である。
正直、どう感じるだろうか。
この5万件の目標すら、達成したという話は一向に聞かない。
このボランティアセンターは雑居ビルの一室にあったのだが、72.99 ㎡の狭い空間だ。
40名程度入れるとのことだが、満員で人が入れないこともあったと聞く。
果たしてこのボランティアセンターは、有権者数1153万人の都知事選を戦うにあたり適切な規模だったのだろうか。
そして、陣営の動きに業を煮やした一部の支持者は、勝手連的に活動を始めていく。
動画やハッシュタグを利用したSNS上での活動、街頭演説会におけるプラカードによるアピール、そして、ひとり街宣と呼ばれる活動。
町で、一人で宣伝する「ひとり街宣」が急速に広がっています。通勤の途中の駅で、ランニングをしながら、用事の合間に、「7月7日投票に行こう」などのプラカードを掲げます。カギはSNS。ひとり街宣の投稿を見て、「自分もやってみようか」と挑戦した人がその様子を投稿することで、さらに広がっています。
特に、過去10年の間に日本共産党やれいわ新選組などが一定の成果を挙げた手法を取り入れて、勝手連は活動を始める。
勝手連の活動はボトムアップの選挙活動であり、見ようによっては好ましい政治参加の形態と言える。
しかし、陣営視点で見ると、勝手連活動の全容は陣営側が把握できないことが多く、様々なリスクを伴う。
勝手連は活動内容が個人の判断に依存することもあり、思わぬ形で公職選挙法違反などの法的な問題を抱えたり、表現の中で攻撃的であったり反感を買う表現を多用することで倫理的な問題を抱えることがある。
みんな〜〜〜
拡散希望だよ〜〜! 若者による「都政を変えようアクション」です!
・東京音頭で「END百合子音頭」(全10番)を毎日1つアップ!
・7/7(日)投票日までに【盆踊りイベント】を企画中!
・みんなの #歌ってみた、#踊ってみた も大歓迎! #東京都知事選 #END百合子音頭 #END百合子
また、候補者が訴えていないことを支持者が勝手に訴え始める可能性も孕んでいる。
最後の街宣。行きました。蓮舫さんと蓮舫さんに期待する人たちの熱気を浴びに……。
パレスチナ情勢がなければ、街頭に立つことなんて一生なかったかも。
街宣後、フリーパレスチナと声を上げる若者がいて、うれしかった。東京はパレスチナにつながっている。
♯蓮舫一択
そうした勝手連活動で起きたトラブルは、陣営への批判につながる。
黒地に白抜きで「R」のロゴを書いたシールが渋谷や新宿といった繁華街の電柱や歩道用防護柵、道路標識などに多数貼られていることが分かった。7日投開票された東京都知事選で小池百合子都知事に敗れた前参院議員、蓮舫氏の支援者らが無許可で公共物に貼り付けた可能性が取り沙汰されている。蓮舫氏は無関係との立場だが、小池氏の陣営幹部らは早急に剥がすように求めている。
蓮舫陣営の組織が脆弱で機能不全を起こしていることが、選挙で当選を目指すという目的とはかけ離れた勝手連活動を目立たせる余地を生んでしまい、制御できなくなっていった、と見ることもできるのではないだろうか。
陣営の組織の脆弱さは、こういった面においても悪影響を与えていたように思える。
総じて、都知事選を戦うにあたり、蓮舫陣営はあらゆる面であまりに不十分で、1417万人の東京都民の生活を託されるにはあまりに貧弱すぎる体制だったのではないだろうか、と推察できる。
建前と矛盾する立憲都連の思惑
実質的に選挙戦を主導した立憲民主党都連が抱く東京都知事選の目標のひとつは、出馬宣言の背景にもあるように、立憲民主党の党勢拡大にあったことは否めない。
しかもその党勢拡大は、現立憲民主党執行部との距離があるメンバーによる、党内の権力争いの一種とも取れるものだ。
蓮舫による都知事選立候補表明の2日前には、蓮舫と手塚の間でこのようなやり取りがあったという。
5月26日投開票の静岡県知事選挙や目黒区の都議補選で自民党候補の追い上げを許していた。
投開票前夜、一連の応援演説が終わった後、手塚は疲れたのどを潤しながら蓮舫に尋ねた。
「岡田幹事長たちのパーティーの影響で、明日の選挙で負けたらどうしようか」
蓮舫は思い定めたように語った。
「その時は都知事選への出馬はやめましょう。立憲に新しい執行部を作って、政権交代を狙いましょう。でも、もし勝ち切ったら、その勢いで都知事選挙に挑みましょう」
蓮舫と手塚は、新たな執行部による立憲民主党を作り上げ、そのメンバーによる政権交代を狙う腹づもりがあった。
しかし、立憲民主党は5月26日の選挙で勝利した。
そのため、蓮舫と手塚は泉おろしに動くことはできず、一方で党勢とともに自らの政治的存在感も拡大する方針に舵を切ったのだろう。
これを踏まえて、都知事選挙での蓮舫陣営の応援弁士として告知されていたメンバーを見てみたい。
6/20
枝野幸男、辻元清美、長妻昭(中野駅)
宇都宮健児、野田佳彦(新宿駅)
6/21
有田芳生、岡田克也(八王子)
6/22
保坂展人、手塚仁雄、落合貴之(三軒茶屋)
福山哲郎、長妻昭、松尾明弘(渋谷)
6/23
菊田真紀子、吉良佳子、酒井菜摘(錦糸町)
鈴木庸介、塩村文夏、杉尾秀哉(池袋)
6/24
泉健太(立川)
6/25
辻元清美、阿久津幸彦(成増)
6/26
辻元清美(伊豆大島)
6/27
枝野幸男(石神井公園)
6/28
長妻昭、逢坂誠二(大井町)
6/29
田村智子、福島瑞穂、吉田晴美、岸本聡子(阿佐ヶ谷)
辻元清美、小川淳也(吉祥寺)
6/30
枝野幸男、福山哲郎(銀座)
7/1
塩村文夏、小川淳也(多摩センター)
7/2
長妻昭、大串博志(西葛西)
7/3
逢坂誠二、馬淵澄夫(調布)
7/4
野田佳彦、安住淳、辻元清美(高田馬場)
7/5
志位和夫、野田佳彦(有楽町)
小川淳也、小池晃(蒲田)
7/6(応援弁士は前日時点で調整中とされ、直前まで告知なし)
辻元清美、枝野幸男(国分寺)
辻元清美、野田佳彦(自由が丘)
枝野幸男、野田佳彦(新宿)
蓮舫の街頭演説は応援弁士の8割が、立憲民主党の国会議員だった。
このメンバーを見て、どうやって"オール東京"を感じることができるだろうか。
それどころか、よくよく読み解くと"オール立憲"ですらない印象さえある。
泉健太や岡田克也といった現立憲執行部を全面に立てることはない。
リピーターとなっている弁士は、蓮舫と個人的な関係が深い辻元以外は、なんらかの差配を強く感じる人選と言える。
今回の選挙戦における街頭演説を差配した人物は、街頭演説で、彼が思う次の立憲民主党の主要メンバーの顔見世をしたい、という意識が強くあったのではなかろうか。などと邪推してしまうほどだ。
そして彼ら応援弁士の演説内容は、政権批判、自民党批判、小池批判がほとんどだった。
しかしこのことが、選挙戦においてはマイナスに働いたと言える。
ひとつは、先に触れたように、街頭演説の党派性の偏りだ。
蓮舫と並び立つ応援弁士が立憲民主党系に偏っているという不満が聴衆から漏れ聞こえていた。
街頭演説においては応援弁士以外のスタッフも立憲民主党関係者で固められていたことも指摘されている。
聴衆の間でさえそう思われているのだから、立憲民主党以外の組織に属する支援者から見た立憲民主党都連への不満はいかばかりだろうか。
もうひとつは、そもそも多くの有権者が求めている演説とは異なる内容の演説に終始していたことだ。
今回の大規模街頭演説で、予告された時間通りに蓮舫の演説が始まることは基本的になかった。
応援弁士が1〜3名喋り、その後に真打登場と言わんばかりの蓮舫の演説が組まれる。
このテンプレートは、最後まで変わらなかった。
現地で街頭演説を聞く機会が複数あったが、そのたびに同じ光景が広がっていた。
熱心な支持者は応援弁士の演説に聞き入って拍手喝采。
しかし『蓮舫の演説』を聞いてみようと思った通りすがりの聴衆は、蓮舫がなかなか出てこないこと自体や、立憲民主党所属の応援弁士の紋切り型な政府自民党批判や小池都政批判に痺れを切らして立ち去る。
そんな光景が毎度繰り広げられていた。
終盤戦にもなると、前列に控えた熱心であろう支持者でさえ「いいから早く蓮舫さん出してよ」とぼやくのを耳にしたこともある。
そもそも、地方選挙において、国政で有名な応援弁士を複数呼ぶ街頭演説は、珍しいものではない。
ただし、今回の都知事選で言えば、国政の応援弁士は呼ばずに都政に寄り添ったスタイルにした小池陣営と、街頭演説の量をこなすためにも応援弁士を呼ばないスタイルにした石丸陣営などとは、かなり対照的なものだった。
言うなれば、蓮舫陣営は古い街頭演説のスタイルを取っていたのだが、そのウケは、おそらく陣営関係者が思っている以上に悪いものだったと言える。
熱心な支持者は、立憲民主党東京都連の思惑通りに、政府自民党批判と小池批判を聞いて拍手を送る。
その光景を見て聴衆の熱量が高いと悦に入る陣営。
しかしその熱量は、無党派層にはほとんど届いていなかったのだろう。
結果論になるが、選挙に勝つために政策をアピールするには、応援弁士を入れるようなことはせず、蓮舫の都政に関する演説一本で勝負すべきだったのではないだろうか。
ラストサンデーの夜に新宿で開かれたフェスのような街頭演説が「内輪狙い」と揶揄されているが、むしろ毎日の街頭演説の「内輪」感のほうが酷かったと言える。
立憲都連の思惑と、多数の有権者の思いが、あまりに残酷にすれ違っていたことに、果たして蓮舫陣営は気付いていたのだろうか。
さいごに 〜選挙で勝つためには〜
目先の蓮舫陣営の総括で、小池陣営が討論会に出なかったから、石丸陣営のネット戦略が上手かったから、など、あれこれ言われている。
確かに、敗因と思しきポイントは数えきれないほどある。
だが、それだけでは忘れ去られそうな根本的な課題について、私なりに書き出してみた。
蓮舫陣営が打ち出した政策について、私は良いものだったと思っている。
小池都政の良い部分は引き継ぎ、現実的に今からできることから始めていくと真正面から述べたことは、真摯なもので評価すべきだと考えている。
しかしながら、基本的な選挙の戦い方があまりにまずいものだった。
信じられないほどに選挙が下手で、小池陣営や石丸陣営と比べてしまうのも烏滸がましいほどにオママゴトのそれだったと感じている。
蓮舫陣営には他陣営を金の話で安易に揶揄する向きもあるが、ひとりの蓮舫支援者として、小池陣営や石丸陣営が組織的に活動量を確保していた事実からは目を背けてはいけないと考えている。
もし蓮舫陣営がこの内容で「良い戦いができた」と思っているのであれば、蓮舫に投票した128万の都民への背信行為だろう。
野党第一党がこのような組織しか作れないようでは、英国のような政権交代可能な二大政党制など夢のまた夢だ。
今回はどうやっても勝てない組織で勝てない選挙活動をやったのが蓮舫陣営であり立憲都連なのだということは自覚してもらいたい。
今後は選挙それぞれの特性に合わせて勝つための基礎的な戦略づくりと組織づくりに真摯に取り組むべきだ、という点を申し添えた上で、一度筆を置くことで私も冷静になろうと思う。
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