全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)の出場を懸けた神奈川大会が行われ、2回戦で昨夏4強の東海大相模は横浜桜陽に14-0と五回コールド勝ち。プロ注目の藤田琉生(りゅうせい)投手(3年)が3回30球を投げ、一人の走者も出さない完全投球を見せた。ヤクルト、DeNAなど5球団13人のスカウトが視察に訪れた試合で、198センチの大型左腕が夏の初戦で実力を示した。
198センチの長身から投げ下ろす角度ある球に一塁側の応援席が沸き上がった。東海大相模のプロ注目の左腕、藤田が先発し、3回無安打無失点。一人の走者も出さない完全投球を披露した。
「どんな相手だろうとまず全力で立ち向かうことを意識して初回からいった」
一回は高低に直球を投げ分け、2三振を奪う上々の立ち上がり。その後も緩急をつけた投球で横浜桜陽打線を手玉に取った。奪った三振3つは直球とカーブで取り、速球と変化球の両方で能力の高さを存分に発揮。完璧な形で夏の初戦を終えた3年生は「軽い力で腕が振れていた。伸びのある真っすぐを投げられたから三振が取れた」と引き締まった表情で振り返った。
この日はヤクルト、DeNA、巨人、阪神、楽天の5球団計13人のスカウトが視察。スカウトが持参したスピードガンでは、今年5月中旬の練習試合で記録した自己最速の148キロにあと1キロに迫る147キロをマーク。7人でチェックしたヤクルトの斉藤宜之スカウトは「2年生の頃から見ている。一番評価しているのはメンタルの成長。これだけの大型左腕でコントロールのいい投手は(他には)いない」と最大級の評価をした。
かつて2015年に全国優勝を果たした小笠原慎之介(現中日)らがつけた背番号1で臨む高校最後の夏。藤田は「プロを志望しているが、まずそこを考えずにチームの勝利を考えていきたい。エースとして神奈川を制覇して日本一になる」と活躍を誓った。19年以来5年ぶり12度目の夏の甲子園出場へ。世代ナンバーワンの左腕が戦国神奈川を制す。(児嶋基)
◆巨人・森中スカウト「いい投手というのは間違いない。身長は魅力がある。それに対してスピードがついてきている。体ができてきているなと思う」
◆DeNA・稲嶺スカウト「長身から投げ下ろす角度は天性のものがある。それに加えて手先の器用さだったり、バランスよく体を使いこなせるところが一番いい。(神奈川出身の選手としても)注目している」
◆楽天・部坂スカウト「ドラフトには絶対かかる。キレや伸びに加え、スピードも出てきた。まだまだ球速は上がると思う。ずっと見ていきたい選手」
■藤田 琉生(ふじた・りゅうせい)2006(平成18)年11月17日生まれ、17歳。神奈川・藤沢市出身。小学1年時に軟式チームの羽鳥ファイターズで野球を始める。中学時代は湘南ボーイズに所属し、東海大相模高に進学。3年時に最速148キロを記録。198センチ、96キロ。左投げ左打ち。母の賢枝さん(43)は元NECのバレーボール選手で、身長182センチ。父の佳典さん(44)は身長185センチ。