県道崩落 日御碕地区孤立 島根東部大雨 「まるで川」道路冠水続出
猛烈な暑さから一転し、停滞する梅雨前線が大きな被害をもたらした。断続的に雨が降った出雲、松江両市では9日、道路の冠水などが至る所で発生し、日常生活に影響が出た。孤立状態となった地区の住民からは「復旧はいつになるのか」との声が聞かれた。(取材班)
548人が暮らす出雲市大社町日御碕地区は県道の崩落で孤立状態になった。山肌に車を寄せ、かろうじて難を逃れるタクシーも。全面復旧には相当の時間がかかるという。民宿を経営する高橋英明さん(74)は「日御碕は観光が柱のエリアで、書き入れ時を前に道路が通れなくなるのはかなりの痛手だ。復旧の見通しが立たないのは非常に困る」と話した。
同地区の男性(38)は、仕事中の兄が自宅に戻れなくなったといい「復旧に関する情報がほしい」と述べた。
午後から雨が強まった出雲市内では計11地区で避難指示が出され、午後4時時点で床下浸水が4件、道路冠水が21件確認された。
同市斐川町直江では午後1時50分ごろ、60代男性が運転する車が、冠水したアンダーパスに侵入し、立ち往生した。男性は救助され命に別条はなかった。近くの男性(80)は「以前も冠水したが、車が取り残されているのを見るのは初めてだ」と驚いた。
出雲市塩冶町の男性(39)は自宅前の道路が腰近くまで冠水した。2021年7月豪雨も経験し「また起きた。逃げようにも道路は一本で危ない」と途方に暮れた。
松江市では床下浸水が5件、道路冠水が20件が確認された。中心部の黒田町や春日町で道路が冠水し、低速で走行する車やズボンの裾を膝までまくる歩行者の姿が見られた。
目の前の交差点が漬かったドコモショップ城山西通り店は、車が通るたびに雨水が波になって入り口に押し寄せるため、土のうを置き、店内への浸水を防いだ。30代の男性従業員は「雨の降り方と量が尋常でない。営業がままならない」話した。歩いていた近くの会社員本岡雅子さん(64)は太もも辺りまでぬれたといい「まるで川みたい。ゴムボートを出してもいいほどだ」と振り返った。
空の便は島根県内発着の11便が欠航。JR西日本は山陰線などの一部区間と木次線全線で運転を取りやめ、一畑電車も午後3時以降、全線が運休した。山陰道の出雲インターチェンジ(IC)-東出雲ICが通行止めになった。