それなのに、現在の異常気象の原因を、人間の過去100年の行動にのみ押し付け、その他の全ての論を無視し続けるドイツの主要メディアの態度には大いなる疑問を感じる。
ただ、彼らは、たとえば、バイデン氏の健康が大統領を続投するにはかなり怪しいという報道も、コロナのワクチンには安全性に問題があるとする学術論文も、全てフェイクニュースや陰謀論扱いする傾向があるので、報道についての信条が違うのかもしれない。
そんなわけで、今ではドイツの洪水は “気候温暖化のせい”として定着してしまったが、これと、冒頭に記した“ドイツが見切り品ショップになってしまった”ことと無縁ではないと、私は思っている。
なんと国際競争力が24位にまで急降下中
実は、ドイツの公共インフラはすでにボロボロだ。16年も続いた前メルケル政権は、EUで一人勝ちと言われた好景気時代に内需を疎かにし、国防費を切り詰め、警察も縮小し、ましてや、長い年月とコストがかかる割には、その効果が評価されるかどうかわからないような国土強靭化のための公共投資などには、ほとんどお金を使わなかった。疎かにされたのは教育も同様で、校舎が老朽化しただけでなく、教師は不足し、子供の学力も落ちた。
その無責任な政治を引き継いだ現政権が、インフラの崩壊を食い止めるべく、今、必死で鉄道網や、道路網、デジタル網などの増強に勤しんでいるが、資金不足と人手不足、さらにこれが一番問題なのだが、施政能力の不足で一向に捗らない。そうするうちに、ドイツの国際競争力は、今やなんと24位にまで落っこちてしまった(6月18日に発表されたStatistaの調査結果)。2014年は6位、22年は15位とコンスタントに下降していたものの、この2年間での急降下は激しい。