カスタマーレビュー

2012年12月27日に日本でレビュー済み
ここ最近、反TTP、脱原発と只ならぬ気魄をみせた小林よしのり氏。
しかし今回は漫画が半分であとは文章だったのは漫画家としての特性が活かされず残念だった。
衆院選直後に発売というのをみると急いでいたのかもしれないと考えたが、今後も情報量が多いものは文章で書くとのこと。
私は‘漫画家’としての著者の『漫画』である「ゴー宣」を買っているのであって、別冊で活字本を出すならまだしも
ゴー宣がただの政治評論文になっていくのなら、もっと専門的な他の識者が書いた本を買うだろう。

あと、さすがに看過できない章があったので指摘しておく。
ゴー宣道場の門弟のCGデザイナーの報告だそうだが
「日本のゲーム、アニメ、CG業界はパチンコ・パチスロがなければとっくに崩壊している(この一文は黒の太字にされている)第15章P168」
もうオーバーというより虚言に近い。
自身の賭博の正当化の為にゲームやアニメを利用しないで頂きたい。

誤解されると困るので指摘しておくが、ゲームはとっくの昔に多極化が進み、オンラインゲーム、モバイルゲーム、ソーシャルゲームと
どんどん細分化していてコンシューマーだけで食ってるゲーム会社はそうない。
アニメに関しても元々は玩具メーカーをスポンサーにつけたり、近年はグッズを売ったりして、パチンコとは関係ない時代からやってきた。
CG業界と漠然と言われても2Dなのか3Dなのか合成なのかすらよく分からない。
ちなみにこの業界は基本的にハードワークです。新規参入が多く競争も激しい。
パチンコに手を出したのは単価が高かったので食えなくなったメーカーや利益優先のところが出し始めたというのが実情のところ。
しかも、政府が経済の舵取りをミスって不況にしたのが大きい。
そのゴー宣道場にいるデザイナーという人物がどういうポジションか知らないがもう少し考えて発言して頂きたい。

だがさらに論理(?)は飛躍し過激化していく…。
「パチンコ・パチスロを否定するのであればアニメも邦画も一切見ない、やらないのが筋だと思いますが(略)(黒の太字)P169」
「(小林)全く同感である!!P169」
なぜそうなる…。
あんたは子供にも周囲の大人にもそう言うのか?
どうしてもゲームとアニメをパチンコやパチスロなどの博打と一緒にしたいらしい。
どこかでみたなこの手法…。そう著者が散々批判してきた人々と同じ手法だ。
パチンコ・パチスロなど賭博をよく思わない人間はみんな「ネトウヨ」か。
小林よしのりがこんなに浅はかな男だったとは…。
カルト化しているのはどっちか?

そもそもパチンコが問題になっているのはその金が巨額で、北朝鮮に送金されている可能性が濃厚だからだ。
しかし、著者はこう続ける…。
「『北朝鮮の資金源になっている』などという者もいるが、どのようにいくら資金が流れているかといった、具体的な話を聞いたことがない。どうせ例によって思い込みだけで勝手に言っているのだ。P167」
国会での答弁や日高義樹氏のスチュワート・レイビー前米財務次官へのインタビュー、TV特集、当事者の発言や書籍の数々…。巷に大量にものは著者の目には入らないのだろうか?

金銭的な事情もあるだろうし、一切妥協しない批判者らが癪に障ったのもあるだろう。
単なるアンチ小林にはあれでいいのかもしれなが、この本を読んでいるのはアンチ小林だけではない。
心を痛めてるユーザーがいるし、博打に手を染めて良心が咎めているクリエイターがいる。
信念を貫いて苦労している人はいるし、潰れたメーカーも数知れない。
そこまでして信念を貫くべきかは考える余地も残るし、少なくとも他人に強制すべきとは思わないが、これまで他者を批判しておいて自分にこんなに甘いようでは通用しない。
あとステルスマーケティングなのか知らないが、AKBの話が度々出てきて読む気が失せる…(もちろんページは全て飛ばすが)。

それと著者はデモと革命の本質がみえていないようにみえる。
著者は若人に「日常」や「現場」へ帰れというがとっくの昔に彼らの日常が奪い壊されているのは分からないのだろうか?
解雇と派遣などの搾取に始まり、分厚い既得権益層に阻まれ、とうとう職自体もなくなり、今や若人に帰属する社会も打破する力も存在しない。
竹中平蔵氏を当初彼らが支持したのは公務員や大企業などの既得権を解体・縮小するといっていたからだ。
しかし実際は逆でしかも破壊されたのが彼らの方だったのは著者自身も指摘していたことだ。
その『弱者』である彼らを全て「ネトウヨ」と決め付けて連呼し『差別』する様は自身が批判してきた人々ではなかったか?

エイズ訴訟の時のように「戦争論」に少なからず責任を感じているのかもしれないが、もはや状況が違うし、著者が原因とは限らない。
中国も台頭してきて、北朝鮮のミサイル発射に、韓国の反日行動。これらはどんどん激化していく一方だ。
バブルも崩壊、リーマンショック、消費税増税(3回)、震災(何回も)、原発事故、時代錯誤の旧体制…などなどきりがない。
小林氏は富裕層入りして『保守』になり、『庶民』の感覚が失われてはいないか?
公約も平然と破り、逆のこともした前・野田政権のように、今回も安部政権は就任後早くも迷走し始めている。
著者が思っているほど個人の力そのものは大きくない。著者がシンボルとして標的にされているのは気の毒だが…。

そもそも国民が騙されたというより、政治を担える人物が存在していないのだ。
前回の選挙も国民は必ずしも民主党に期待して選んだわけではない。「自民党に罰を与える」が本当の理由ではないのか。
今回の選挙も戦後最低の投票率をみれば、投票できる政治家も政党も存在せず、誰も国民は信用していないことは明白だ。
石原慎太郎氏は暴走したし、尖閣の地権者にまんまと利用されたが彼が何もしなければ安泰だったのか?
元茶髪でサングラスのサラ金弁護士の橋本徹氏をなぜ人々は初めは支持したのか?
彼が権力欲で動いてるのはその通りだろうし多くの人々も気づいているが、最初に人々が彼に期待したのは既得権を始とした腐敗した体制の破壊だ。
人は口だけの人間より実際に行動する人間を支持する。
それほど彼らが気に食わないというのなら自身も志士と共に行動すべきではないのか?
今回は色々ととても残念だった…。

なお、原発・TTP・慰安婦問題、政治家については相変わらず非常に鋭い見識を持っている。
色々書いたが小林よしのり氏にはもう一度良心を振り返ってこれからも活躍されることを期待している。

(訂正1)1月4日(ゴー宣ブログ拝読により)
批判者を全て『ネトウヨ』と呼んでいるのかと思ったが、どうやら違うらしい。
何を基準にしているのかよく分からないが…。
ただ、サヨクのレッテル貼りである「ネトウヨ」を使用したせいで誤解や混乱が起きた模様。
著者は過去おいて、自分の立ち位置をリトマス紙代わりに使い、突然、逆噴射させたり、主張を180°変えたり、支持層を自ら壊しにかかったりするので、今回も何か理由があるのかも知れないがよく分からない…。
読者に喧嘩を売って、周囲を信者で固めて、外部に敵を作る、カルトもやるような陳腐な「炎上商法」でしか生き残れなくなった‥のかと思ったがそうではないかもしれない…。

(訂正2)
やはり今回の本は書くことが多過ぎたり、世の中の変化が早くて出版を急いだとみえる。
漫画を描くことの激務が想像し難いほど重労働で尋常ではないのは氏ほどではないが存じているつもりです…。
とくに『売れる漫画』を描くことがどれほど“大変でキツい”のかも…。
しかし、「氏にしかできないことがある」と思い書かせて頂いた次第です。
90歳近くになる祖母も氏の漫画「ゴー宣」をいつも楽しみに拝読しております。
色々書いて申し訳ないと思っています。
どうかこれからも健康に気を配られて幸福であることを祈っております。

(追記1)1月5日(文章過多により整理)
「おぼっちゃまくん」の復活を望んでいる(?)御様子だが、漫画をもう一度描くのはやはり難しいのだろうか…。
もともと「おぼっちゃまくん」は学校などの歪んだ教育制度を痛烈に風刺した作品だと感じていた。
大津でおきた中学生への集団暴行殺人(それも2度も)など、「凶悪犯罪」を「いじめ」といって隠蔽しようとする保護者・学校・教育委員・市・報道機関‥。
真面目な教師もいる一方で、教師の性犯罪や強盗などの凶悪事件の件数が急増してきている。
すでに教育機関も報道機関も腐りきっており、制度上の問題が噴出してきている。
学校は元々は軍隊を想定したシステムでもあり、戦後は大企業や公務員の養成を目的として使われてきた。
個人的には「選択の自由」やタコ部屋のような環境から抜け出せるように「流動性」をもたせるべきと感じている。

あと元ギャグ漫画家だけあって「橋下さま」はかなりの面白さだった(おそらくこの本の中で最も面白い部分でしょう)。
橋下氏のデフォルメはこれ以上ないぐらいの上手さで、氏の漫画に対する技量はむしろ進化していると感じた。
ただ、日本は中央集権化し過ぎて暴走している部分があるので、‘ある程度の’地方分権化は必要だと思われる。

経済の問題については「公営カジノ」を支援されてはどうか。
数十兆円の税収が見込めるとの試算もある。
貧困層も雇用すれば税収だけでなく雇用問題にも貢献でき、消費税などの重税を撤廃させ、不透明な金の流れも把握できるはずだ(ただ、横領を防ぐ為の独立した監視機関の必要性や、セキュリティ上の治安対策などが必要)。

(追記2)
「すでに北朝鮮に対しては経済制裁で送金規制が行われている。」(P167)
中国を経由したマネーロンダリングをやられるとかなり難しいと思われる。米国がマカオの口座を凍結するまでは実際に止められていなかった。
それに日本政府や米政府が本当に止める気があるのかも怪しいところがある…。

(追記3)1月7日(文章過多により全体および題名を若干修正)
とりあえず「ネトウヨ」が『知能の低さ』を測る物差しにはなりそうだ。
彼がサヨクの術中に陥ったような気がしてならないが‥(それとも何か他に目論みでもあるのだろうか?)
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