多様性 少数者の声 取り入れて 候補者の政策 見極める
2021年10月30日 05時00分 (7月14日 10時33分更新)
白山の奥村さん LGBTQ 法整備期待
衆院選では「多様性社会の実現」も論点の一つになっている。札幌地裁は今年三月、国が同性婚を認めないことを「違憲」とする初の判断を示したが、政治はどう向き合おうとしているのか。性的少数者(LGBTQ)を支える法整備は進むのか。「これまで政治に期待しなかったが、状況は変わりつつある」。石川県白山市、非常勤県職員でゲイの奥村兼之助さん(48)は期待する。 白山市は十二月十日、同性カップルを公的に認める同性パートナーシップ制度を始める。ただ、2区の候補者三人の選挙公報に「LGBTQ」「同性婚」といった文言はない。奥村さんは「新型コロナウイルス対策と経済対策に取り組むのは当然。いかに少数者の声を取り入れるか、政治家には期待したい」と話す。
二十歳ごろ、親にカミングアウトした。当時は親が「同性愛は病気」と思っていたふしがあり、口論の末、家を飛び出した。上京して十二年近く親と離れて暮らしたが、次第に親子の距離は縮まった。LGBTQについて理解しようとしてくれていることが伝わったからだという。
奥村さんは白山市と近郊の当事者や家族らでつくる「ひだまりの会」代表のほか、誰もが生きやすいまちを目指す団体「金沢レインボープライド」の事務局長も務める。「生きづらく、声を上げられない当事者が今もいる」と活動への思いを語る。
各党の公約には多様性を巡る政策が並ぶが、LGBTQの法整備で自民党は「理解増進」、他党は「差別解消」としている。衆院選候補者が同性婚に賛成か反対かは、公益社団法人「マリッジフォーオールジャパン」のウェブサイト「国会メーター」で確認できる。
奥村さんは「多様性と包摂はSDGs(持続可能な開発目標)の理念にも通じる。真剣かどうか見極めたい」と話す。(押川恵理子)
同性婚 遅れる日本
平等な結婚を目指すNPO法人「EMA(いーま)日本」によると、同性婚を認めているのは2022年7月導入のスイスを含めて30カ国・地域。先進7カ国(G7)で、同性婚、登録パートナーシップ制度のいずれも法制化していないのは日本のみとなっている。教育の充実 金沢 シングルマザーの視点
衆院選の石川1区は四人の新人候補がしのぎを削る。金沢市内に暮らすシングルマザーの女性会社員(51)は、だれに投票するかをまだ決めていない。政治に望むのは教育環境の充実だ。各候補の訴えがどう映っているか聞いた。(高橋雪花) 女性の夫は五年前、自宅での仕事中に突然死し、現在は小学生の長女と二人で暮らす。互いに支え合える地域社会の実現や、ひとり親家庭だけでなく、子育て世帯全体に行き渡る教育の充実を望んでいる。
市議から国政に挑戦する維新の小林誠さん(44)。パンフレットには市政での功績のほか、今後の方針として「子育て支援」「教育の充実」の文字が並ぶ。女性は「現場を見て回り、声をすくい上げてほしい」と願う。
高校までの教育費無償化を掲げる立憲民主の荒井淳志さん(27)は「子育て支援に興味ありそう」。子ども食堂に弁当をもらいに行った際、姿を見たことがある。「子どもたちの将来を考えた政策を」と求めた。
官僚から転身した自民の小森卓郎さん(51)。「中央の人脈があり、実力がありそう」とみる。新型コロナウイルス感染拡大で長女の学校が休みになった時、家に二人きりで大変だった。対策に尽くす点に期待する。
共産の亀田良典さん(72)は、自公政権が社会保障費を削減し、コロナ禍で医療・介護現場が疲弊したと指摘。「最低賃金を時給千五百円以上に」の政策には「財源に心配はあるが、もらえるならうれしい」と話す。
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