被爆前の広島の街〈知りたい広島61＿サミットを前に〉

 江戸期（ えどき）の広島（ひろしま）は太田川（おおたがわ）デルタを船（ふね）が行（ゆ）き交（か）う水運（すいうん）の街（まち）でしたが、1889年（ねん）の宇品港（うじなこう）（現（げん）広島（ひろしま）港（こう））築港（ちっこう）を機（き）に海運（かいうん）の一大（いちだい）拠（きょ）点（てん）となっていきます。

 兵員（ 　へいいん）輸送（ゆそう）や補給（ほきゅう）を担（にな）う軍都（ぐんと）として発展（はってん）し、中国（ちゅうごく）地方（ちほう）の中心（ちゅうしん）都市（とし）に。本通（ほんどお）りや八丁堀（はっちょうぼり）、紙屋（かみや）町（ちょう）などにはいつも買（か）い物客（ものきゃく）の人（ひと）波（なみ）がありました。 　

　1945年（ねん）8月6日、原爆（げんばく）により一帯（いったい）は壊滅（かいめつ）しました。市内（しない）に約（やく）35万（まん）人（にん）がいたとみられ、同年末（どうねんまつ）までの死亡（しぼう）は約（やく）14万（まん）人（にん）と言（い）われています。いずれの数字（すうじ）も推計（すいけい）にとどまり、被害（ひがい）の全容（ぜんよう）は未解明（みかいめい）です。

　人命（ 　 じんめい）も街（まち）も行政（ぎょうせい）記録（きろく）も焼（や）き尽（つ）くされたゆえの「分（わ）からなさ」自体（じたい）が、原爆（げんばく）がもたらす悲惨（ひさん）さを物語（ものがた）っています。

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