「 ………」
横一列に整列した、8機の黒いAC。
先ほど補給シェルパを破壊した1機以外の7機が、一斉に右手のマルチエネルギーライフルを掲げた。
その銃身が変形し、青と紫の光が灯り始める。
「ここは、わたしが!」
掲げられた光がこちらに牙を剥く直前、「ボイジャー1」が前に躍り出る。
瞬間、その白いコアが展開した。
直後、一斉に放たれた7つの致命的な光線。
それがパルス爆発の壁に掻き消されて消滅する。
「いま!」
「ああ」
合図とともに、弾かれたように加速する。
見えざる狙撃機から放たれたレーザーをすり抜け、右手から煙を上げる8機のデッドコピーACに真っ直ぐ向かう。
「登録番号 Rb37、識別名 モンキー・ゴード」
あえて8機に囲まれるよう、中心に突っ込む。乱戦に持ち込み、数の利を少しでも潰す。
「なぜ、貴方は強化人間 C4-621に協力するのですか? 貴方に何のメリットがあるというのです?」
「好きだからだよ」
「……理解できません」
問答の間に至近距離へ至ったこちらに対し、「51-121 F」と「51-125 H」、「51-128 P」が3方向からブレードを振るう。
ギリギリまで引き付けて、アサルトアーマーを起動。本物と違って、あっさりと引っかかった。
機体を捻り、回転する。その勢いのままに左手のチェーンソーで「51-128 P」を
引き裂きつつ、右手はニードルガンの弾頭を掴んでそれを「51-121 F」のカメラアイに捻じ込んだ。
「… ……」
その遠くから、「51-122 S」がスタンニードルランチャーを構えていることに気付いた。
誤射を気にせず、諸共に強制放電を狙うつもりか。
「させ、ない!」
翠色の斬撃が閃き、砲身を離れた直後のスタン弾頭を両断する。
それは放電機構を暴発させ、「51-122 S」自身を麻痺させた。
「みえない敵はおとした、あなたはそっちに集中して!」
「流石だな、ユーリ!」
言われた通りに、こちらに集中する。
両手をニードルガンに持ち替えて「51-125 H」を射撃し、間髪入れずに蹴りかかる。
狙うのは、装甲表面に突き刺さった杭。それを爪先でさらに押し込み、内部を破壊する。
いい具合に、コアと脚部の接続部分を傷つけたらしい。4脚なので倒れることは無かったが、機動力はガタ落ちしたと見ていい。
「……… 」
背後から、「51-121 F」が蹴りを放ってくる。だが、カメラを破壊されたその動きはおざなりだった。
だが結果としては、デッドコピーと本物との能力差を端的に示していると言えるかもしれない。
本物なら、この程度で動きを鈍らせることは無かっただろう。
……戦闘能力の削いだ2機を一旦置き、残りに目を向ける。
残りは、「ボイジャー1」の方に向かっていた。
「51-122 S」はすでにユーリの手で撃破されているが、残りは健在。
「51-124 R」と「51-126 M」が前衛となり、「51-123 O」と「51-127 SW」が上空から爆撃を仕掛けているようだ。
ここは、介入する。
即座にそう決め、機体の向きを変える。
「51-125 H」は足を潰したし、「51-121 F」も本来より重装化されているせいで鈍重だ。振り切るのは容易い。
せめてもの悪足掻きかマルチエネルギーライフルによる砲撃が放たれるが、すでに遠い。背を向けながら回避する。
「…… …」
まず狙うのは、「51-123 O」だ。手にはマルチエネルギーライフルとプラズマライフル。肩にはコンテナミサイルと特殊ミサイル。
上空からの支援爆撃に徹すれば、かなりの脅威度を有している。
半面、接近された際の自衛力は低い。
素早く
「… ……」
断末魔の代わりに何らかの信号を発し、墜ちる「51-123 O」。
時を同じくして、マルチエネルギーライフルとパルスガンによる弾幕を張っていた「51-126 M」が
両手の武装がオーバーヒートした隙に肉薄され、至近距離で猛攻を受けたようだ。
「これで……!」
「51-126 M」にとどめを刺すべく、両手のレーザーショットガンを素早くチャージする「ボイジャー1」。
その後方から、「51-127 SW」がグレネードキャノンを向けていた。
「ユーリ!」
「わかってる」
瞬間、「ボイジャー1」は振り返ることもなく肩の光波キャノンを発射する。
放たれた光波は180度進路を変え、「51-127 SW」の肩へと吸い寄せられるように飛んで行った。
その光波とグレネードキャノンの弾頭が、空中で正面衝突する。
「51-127 SW」からそう離れない内に炸裂した強力な炸薬は、その持ち主に強烈なACS負荷を与える。
一方、本来その爆撃を浴びるはずだった存在は、淀みない動きで「51-126 M」を刺し貫こうとしていた。
自身の攻撃を完封されたばかりか、逆に利用された「51-127 SW」。
とはいえ、それは機械だ。狼狽し、戦意を喪失して命乞いをしたりはしない。
左手のスタンバトンを構え、敵を打ち据えようと振り上げる。
「こっちは、俺がやる」
「わかった」
その機体側面に接近、両手でニードルガンを斉射する。
先の自爆で多大な負荷を受けていたその機体は、あっさりと
チェーンソーは、まだ冷却中だ。
代わりに右拳を構え、「51-127 SW」の表面に突き刺さった杭を吟味する。
押し込んだ時に最も致命的な損傷になるのは、どれか。
「… ……」
横合いから、「51-124 R」が迫るのが見えた。
「だいじょうぶ、そのままいって!」
今にもレーザースライサーを振ふりかざそうとするその敵を無視して、「51-127 SW」に向かって踏み込んだ。
金槌で釘を打つように、装甲の表面で止まった杭を深くに押し込む。
拳で3回。足で1回。
「……… 」
重要部品の詰まったコアに深々と突き刺さったその杭は、どうやらジェネレータを傷つけたらしい。
最後に放った蹴りの勢いで吹き飛んだそれは、還流型ジェネレータ特有の青い光を上げて爆散する。
「 ………」
それを見届けた直後。
「51-124 R」の左手、そこに装備されたレーザースライサーの青い刃が迫る。
だが、
「…… …」
存在しない左腕を振り下ろした「51-124 R」。
だが機械故に動揺はなく、即座に攻撃動作を中断。至近距離で左肩のニードルミサイルを撃ち込もうと腰を落とす。
「… ……」
その左肩を殴り飛ばし、ニードルミサイルの軌道をあらぬ方向に逸らした。
次いで右肩から分離した実弾オービットを捕まえて、そのまま敵機に叩きつける。
これで、「51-124 R」に残された武装はリロード中のニードルミサイルとマルチエネルギーライフルのみ。もはや最大威力の攻撃に全てを懸けるしかないと
その動きも、本物と比べれば見る影もないほど鈍重だ。
あっという間に追いつかれ、チャージが終わる前に杭の筵へと変えられて
「 ………」
「こっちも、おわった」
爆散する黒いACを尻目に振り向けば、先ほど捨て置いた「51-121 F」と「51-125 H」も「ボイジャー1」によって撃破されたようだった。
さて、これで正真正銘の終わり――
――な訳がない。
そんな思い上がり、あり得ないだろう。
……さすがに、補給も打ち止めだ。
だが、仮に有ったとしても間に合わないほど早く、それは姿を現した。
「……やはり、デッドコピー程度では相手になりませんか」
技研都市の天蓋。その間際を飛ぶそれは、2つの流星の様に見えた。
だが、ズームしてよく見れば、その光を発しているのは1つの機体だ。
「あれは……?」
「……来るぞ」
「これが、正真正銘最後の
鳥の様に空を飛ぶその機体。その大まかなシルエットだけは「SOL 644」に似ていた。
だがそのカラーリング、武装、機体各部から漏れる光の色。そして何より、その背部に装着されたフライトユニット。
それらが、原型になった機体とは全てがまるで別物であることを雄弁に物語っている。
「我々も全力でサポートしましょう。今度こそ、確実に対処して下さい。
「――――――――――」
「……ああ」
「……野良犬」
僅かにノイズの混じった声が、ぽつりと語り始める。
「俺は……テメェが妬ましかった」
「ムカつくぜ……野良犬に、憧れたんだ」
「……だから」
「だから、強くなろうとした……レッドガンもダチもほっぽり出して、1人でな」
「……間違ってたんだよ」
「テメェがなんで強いのか……俺とテメェで何が違うのか、それを考えようともしなかった」
同時に、その機体の両手に装備された武装が展開する。
それは、右側が緋、左側が翠の光を湛えていた。
「……今は、違う。
「――――――――――!!」
「……ええ、人類と生命……我々の可能性を、証明しましょう」
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81-009 SRPH/Iguazu,Sera,ALLMIND
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その頭部に、光が灯った。
今構想のあるもの改
- AMちゃんルートIF
- 465、仕事の時間だ
- ループ621
- レッドガンIF
- ヴェスパーIF
- 葦名一心VS岩本虎眼