「ああ、ようやく見つけた……随分迷ったぞ」
ほぼ晴れた霧の中。「SOL 644」が来たのとは逆の方向から、1機の機体が悠々と歩いてくる。
「強化人間をこうも羨ましく思ったのは初めてだ。スネイルなんかは眼も随分弄っているらしい……あの眼鏡は何のためにあるんだろうな?」
それは、
「まあいい……向こうも始めるようだし、こっちも早く始めよう」
言葉の通り、背後からも張り詰めた気配を感じる。
「――――――――――」
「……エア」
「――――――――――!」
「もう、ことばにいみなんて、ないよ」
「………………」
「おわりに、しよう」
「――――!!」
どうやら、始まったらしい。
同時に、目の前の敵も動きだす。
「さて……今度という今度は、最後までやろう!」
声と共に、視界を炎が覆った。
「バルテウス」のそれを転用した火炎放射器を使った、目くらまし。
「さて、今度はどうする?」
間髪入れず、何かが炎を切り裂いて飛来する。
まるでいつぞやの再演とでも言わんばかりの流れ。
だが、炎を切り裂いて飛び込んで来たのは、球状のドローンだった。
ワイヤーが射出された形跡はない。
つまり、その内部にはまだ爆発性のワイヤーが詰まって――
「……っ!」
爆発から逃れるべく後退する……ことはしない。
逆に、ドローンへ右手を伸ばす。
そして手が触れるや否や、球状のそれを背後に投げつけた。
「……やはり、面白い」
背後、ドローンが飛んで行った先。そこには、パルスバッシュシールドから翡翠の刃を展開させて構える「ディクリプター」があった。
本来、俺を背後から刺し貫くはずだったのであろうその刃は、爆発寸前のドローンを斬り払うことに使われる。
「これほど昂ったのは、お前が初めてだ……!」
だが、攻撃は打ち止めではない。それは左手を振り切った隙を潰すように、右手のライフルに装備されたヒートカッターを展開。回転斬りを放ってくる。
回転斬り。ある意味
故に俺は、前に出ることを選択した。
右手でニードルガンの
「ディクリプター」の右手に装備された銃剣。ライフルの長銃身を活かしてリーチを確保しているそれは、逆に銃身の根元、懐の部分が攻撃範囲外となる。
「なるほど、1回見た手は通じないという訳だ!」
飛び込んだ瞬間、再び視界を炎が覆う。「ディクリプター」は右手でライフルを振るいながら、同時に肩の火炎放射器を噴射していた。
浴びせられた高熱で、ACSが異常を引き起こす。だが、勢いは緩めない。右手に握ったマガジンを握りつぶし、その中にある杭を手に取る。
「さあ、次はどうくる? どうやって俺を倒す? どんな手を見せてくれるんだ?」
言葉に返すことはなく、杭を握った右拳を構える。
……これは、ある種の信頼だ。
大振りのチェーンソーも、起動から発動まで若干のラグがあるアサルトアーマーも、このタイミングでは凌がれるという信頼。
故に、最もコンパクトな拳を選択。脚力にブースタの近接攻撃推力を乗せて鋭く踏み込み、握った杭を突き刺す。
「はは、この前の意趣返し……そういう事か?」
狙ったのは、頭部。
「ディクリプター」のバイザー状をしたカメラユニットに、杭が深々と突き刺さった。
……頭部カメラユニットの破壊による目潰し。以前の戦いでやられた手であり、以前の戦いで選択肢から除外した手でもある。
だが、以前とは状況が違う。杭の破壊力で確実に潰すことができ、なおかつ破壊することで戦闘能力を削げる部位を吟味した結果が目潰しだった。
「だがまあ、たかが頭部カメラがやられた程度……問題は無いな」
……やはり、致命的な損傷ではない。
「ディクリプター」のベースになっているHCの腹部には、元々球状のセンサーユニットが設置されている。視界に不良はあっても、戦闘は継続可能だろう。
それでも戦闘能力を削ぐことは出来……ていればいいが。
「さあ、まだまだ続けよう!」
「ディクリプター」が放った素早いシールドバッシュに弾き飛ばされ、距離が空く。
「……そうだな、こういうのはどうだ?」
弾き飛ばした当人は、追撃をするでもなくその場に突っ立っている。
そして、路傍の石でも蹴るように何気なく、何かをこちらに蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされたそれは球状で、細い糸のようなものが伸びている。
「……ああ、この使い方も面白いな……次はボーラガンでも作らせてみようか」
飛来するそれ――ドローンから伸びたワイヤーは、ドローンそのものと、その反対側に付いた固定用のアンカーを錘にして回転。その攻撃範囲を水平方向に広げながら飛来する。
それを避けるには、今度こそ上に逃げるしかない……だが、そのタイミングで上から複数の球体が落ちてきていることに気づいた。
それも、同じくドローンだ。
推力を切って自由落下してくるそれは、ワイヤーが射出された形跡がない。つまり、実質的には爆弾。
……初手の目くらまし。あの時にはすでに、ドローンを上空に放っていたのか。
ともあれ、これで垂直にも水平にも逃げ場がない。
まともに食らえば、無事では済まないだろう。
「……チッ」
即断で、アサルトアーマーを起動。
飛来するドローンを、まとめて吹き飛ばす。
「……やっぱり、そう来るよな?」
刹那。
パルス爆発の奔流を突っ切って、その光と同じ色をした杭が閃く。
「パルスはパルスで相殺できる……アサルトアーマーでパルスシールドを剥がせるなら、その逆も然り……だろう?」
その杭は、コア拡張機能の使用前後でほとんど動けない「ジュピター」を、貫通する。
「……はは」
「…………」
「やはり、お前は良い……最高だ」
串刺しになった「ジュピター」を持ち上げながら、フロイトが言う。
「
「ジュピター」の
「…………」
前腕とコア部分の装甲を焼かれながらにじり寄り、シールドを持つ左腕を掴む。
そのまま繰り出すのは、足だ。
「ディクリプター」の腹部にある球状のセンサーユニット。
それを、さながらサッカーボールの様に蹴り飛ばす。
「はっ……!」
機体から張り出すように設置されたそれは、強烈な蹴りを貰って剥離。本当にボールであるかのように地面を転がった。
「ははは、ははははははは!! 最高だ、どこまで読んでいたんだ、お前!」
……さて、これでメイン、サブの視覚を潰した。普通ならまともに戦闘などできないはず、だが。
「ああ、ひどい視界だ……これでは何も見えないな? ……なら」
なおも愉し気な声と共に、「ディクリプター」のコアが開く。
……ACのコア拡張機能使用時のような、放熱機構の展開、という意味ではない。
文字通りに、コア前面のハッチが開いたのだ。
「……これで、よく見える」
コクピットと、そこに座る生身の体を曝け出しながら、それでも男は笑っていた。
「続けようか」
今構想のあるもの改
- AMちゃんルートIF
- 465、仕事の時間だ
- ループ621
- レッドガンIF
- ヴェスパーIF
- 葦名一心VS岩本虎眼