転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

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バスキュラープラント襲撃⑦

 

 ECMの(Haze)を切り裂いて現れたのは、未完成の「スティールヘイズ・オルトゥス」。

 

 それは、迷いなく俺のみに狙いを定める。

 

 ……想定通り、彼はこちらに怒り心頭のようだ。

 だが、そのおかげでこうして突っ込んできてくれた。

 

「モンキー・ゴード……! 私は、貴様を許すことはできない……!」

 

 「スティールヘイズ・オルトゥス」はこちらを射程内に収めると、実弾オービットを展開。両手の銃と合わせて計3つの銃口から弾幕をばら撒く。

 

「ルビコンは、ルビコニアンは常に脅かされ、掠め取られてきた……その理不尽を上塗りした貴様は……!」

 

 対するこちらは、実弾オービットがオーバーヒートするまで引き気味に立ち回る。

 

「それだけではない、貴様は彼らの拠り所を、心の支えを奪った……!」

 

「意外だな、お前は()()()のことを良く思ってないと、そう考えていたよ!」

 

「ああ、そうだ! 灰に塗れた警句を唱えたところで、何も変わらない……事実()は火の消えた燃え殻に過ぎないのだろう!」

 

 彼はさらに語気と攻撃の勢いを強めながら、続ける。

 

「だが、それでも()は……多くのルビコニアンにとっての導き、生きるよすがだったのだ! それを何故、貴様が奪う必要があった!」

 

「……理由があるからさ」

 

 ラスティの言う通り、ここに来る前に俺は解放戦線の拠点を襲撃した。

 そして多数の物資と資金を奪うとともに、()()()()を殺害している。

 

 その理由は、解放戦線……ひいては()からしか手に入らない、()()()()を入手することにあった。

 物資も、資金も、そのついででしかない。

 同時に、それがラスティを怒らせ、捨て身の突撃に出させるための布石として機能することも期待したが、それもついでだ。

 

 すべては、絶対に必要不可欠な()()のため。

 

 ……()がこちらに賛同してくれれば殺す必要も無かったが、生憎そうはならなかった。 

 

「理由だと……!」

 

「ああ、そうとも! お前の大好きな、理由だ」

 

 できるだけ相手の神経を逆撫でするよう言葉を選びながら、「スティールヘイズ・オルトゥス」を誘い出す。

 

「『理由なき強さほど、危険なものはない』……理由さえあれば何をしても許されると、そう言っているようにも聞こえるぞ? ラスティ」

 

「貴様ッ……!」

 

 どうやら逆鱗に触れたらしい。「スティールヘイズ・オルトゥス」はレーザースライサーを高速回転させ、突進してくる。

 

 ……こちらのアサルトアーマーが回復していないのは、背部から漏れる煙を見れば分かることだ。決してその行動(近接攻撃)は悪手ではないのだろう。

 だが、こちらのカウンターはそれだけではない。

 

 レーザー刃を紙一重で回避しながら、チェーンソーをチャージ開始。

 そして、レーザースライサーの振り終わり、そのわずかな後隙に刃を捻じ込む。

 

「くっ……!」

 

 その刃は、未完成の「スティールヘイズ・オルトゥス」……機動力と攻撃力に特化した分、軽量機の中でも特に脆いそれを容易く抉る。

 

「まだだ!」

 

 だが、それで決着が付くことは無かった。

 致命傷に達する前に展開したターミナルアーマーが、刃を止めたからだ。

 

「私が、ルビコンに夜明けを……!」

 

 それと同時にリペアキットで損傷を回復させた「スティールヘイズ・オルトゥス」は、なおも猛攻を止めない。

 ()()刺し違えんばかりの勢いで、持てるすべての武装を用いて攻撃を仕掛けてくる。

 

 

 その猛攻は、5秒間だけ続いた。

 

「な……」

 

 「スティールヘイズ・オルトゥス」がターミナルアーマーを展開してから、きっかり5秒後。

 そのアーマーが解けて無防備になったコアを、背後から収束レーザーが貫いた。

 

「ごめんね、ラスティ」

 

「戦……友……」

 

 その一撃は、寸分の狂いもなくジェネレータを破壊し、爆発させた。

 

「届かな……か……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユーリ、もう少し先に補給地点がある。次に行く前に手早く補給するぞ」

 

「うん」

 

 「スティールヘイズ・オルトゥス」を撃破した後、俺たちは次の目標地点に向かっていた。

 ECMフォグ発生装置入りのそれに紛れ込ませた、物資入りの補給シェルパを経由して、だ。

 

 さて、激闘ではあったが、まだ9機中1機を撃破、1機を半壊させただけだ。

 霧が晴れる前に、さらに多くの敵を片付ける必要がある。

 

 そんな俺たちが次に向かう先は、()()()。バスキュラープラントの根元だ。

 

 ……エア、ラスティはこの策に釣られて霧の中に入ってきた。

 そして、それらを追って霧の中に入った者もいるだろう。

 

 だが、()()()()()()()()()()()()()()

 

 位置が不明確な前者を狩るより、どこにいるか明白な後者を狩る方が早い。

 

 その考えの元に霧を抜け、最初に9機が集結していた湖に辿り着く。

 

 そこにいたのは、3機。

 

「まったく、頭に血が上った獣共め……そこの頭の足りなそうな独立傭兵、貴方よりせっかちな輩がこうも多いとは思いませんでしたよ……」

 

「は? 私は頭脳明晰、才色兼備の完璧な独立傭兵、ケイト・マークソンですよ?」

 

「―――――――!!!」

 

 妙な組み合わせだった。

 

 




スティールヘイズ・オルトゥス(未完成)

UNIT
R-ARM UNIT:MA-E-211 SAMPU(バーストハンドガン)
L-ARM UNIT:Vvc-774LS(レーザースライサー)
R-BACK UNIT:BO-044 HUXLEY(実弾オービット)
L-BACK UNIT:MA-J-200 RANSETSU-RF(バーストライフル)

FRAME
HEAD:EL-PH-00 ALBA
CORE:EL-PC-00 ALBA
ARMS:LAMMERGEIER/46F
LEGS:NACHTREIHER/42E

INNER
BOOSTER:ALULA/21E
FCS:FC-006 ABBOT
GENERATOR:AG-T-005 HOKUSHI

EXPANSION:TERMINAL ARMOR


【挿絵表示】



解説

諸々の影響で未完成のスティールヘイズ・オルトゥス。

基本的には無印とオルトゥスのツギハギだが、腕のみ以前シュナイダーから横流しされたパーツを使っている。

攻撃力、機動力ではオルトゥスより上だが、その分耐久力が落ちており、軽2としてもかなり脆い。
 

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