転生したらモンキー・ゴードでした   作:NEST中毒者

53 / 85
バスキュラープラント襲撃②

 

 現れた4機の敵。

 所属のバラバラなそれらは、2対1が2つの構図を取ることにしたようだ。

 

 ペイターとコールドコールがユーリの方に、解放戦線の2機が俺にかかってくる。

 

 ……さっさと片づけるべきだな。

 使えるものは全て使って、最短でいこう。

 

「コーラルの戦士が、企業の走狗に成り下がるとはな! ルビコンの解放は、もういいのか!?」

 

 揺さぶりの言葉を吐きながら、ABで距離を詰める。

 

「我々は今、王手をかけられている……! 傍観者気取りで穴熊を決め込んでいれば、企業連合の次の標的が我々になるのは必至だ……これしか、勝ち筋がないのだ……!」

 

「誰に言い訳してんだよ、お前自身か?」

 

 会話の応酬をしつつ、ミドル・フラットウェルの乗機、「ツバサ」に接近。

 リトル・ツィイーの「月魚(ユエユー)」から見て、常に自機が「ツバサ」の陰に隠れるように位置取る。

 

「帥叔! なんでそんな奴の言葉に耳を貸すんだ! そいつは……そいつは……!!」

 

 誤射を恐れ、射撃できなくなったリトル・ツィイーが、苛立ちながら零す。

 

 ……必要なものを「調達」するついでに打った()()は、想定通りに機能しているらしい。

 これが()()にも効くといいが。

 

 「ツバサ」にニードルガンを打ち込んで衝撃を稼ぎながら、言葉を放つ。

 

「何を怒ることがあるんだ? リトル・ツィイー」

 

「何だと……!」

 

 

「どうせ全員灼き殺すんだ、少し予定が早まっただけだろうに」

 

「お前……っ!」

 

 挑発に乗ったツィイーは、怒りのままその手に持ったグレネードを放つ。

 

 その小型でありながら強力なグレネード弾は、見事に炸裂。対象をACS負荷限界(スタッガー)に陥れた。

 

 

 こちらではなく「ツバサ」を、だが。

 

「な……に……」

 

 背後からの予期せぬ一撃に、驚きの声を漏らすフラットウェル。

 すかさず、あらかじめチャージしていたチェーンソーを突き刺し、撃破。

 

「そ……そんな……違――」

 

 狼狽して動きが止まった「月魚」を蹴り飛ばし、ニードルガンを打ち込み、殴り、チェーンソーでとどめを刺す。

 

 残り2。

 

「おかしいな……私はまだ、これから……」

 

 訂正。残り1だ。

 

「……可哀想に」

 

 ジェネレータを収束レーザーで貫かれたペイターのHCを一瞥してか、コールドコールがそう零した。

 

「ここ最近は、何を選んでも、あらゆる場所から死臭がする。 まるでどうあがいても誰も彼も死ぬと、そう言われているようだ」

 

 歴戦の傭兵といえど、この状況で勝ち目はない。そう察してか、彼はなおも続ける。

 

「まあ、長く生きて理不尽に殺し続ければ、こういうこともある。袋小路、詰み、あるいは因果応報か?」

 

 「デッドスレッド」はそれでも抵抗を続けるが、2機の猛攻を受けてあっという間にACS負荷限界(スタッガー)に陥った。

 

「ああ、お前の殺意を感じるぞ、モンキー・ゴード」

 

 追撃を潰すべくアサルトアーマーを起動してくるが、こちらも数瞬置いてからアサルトアーマーを起動。

 

「憎悪も、悦楽も、正当化も、罪悪感もない。ぞっとするほど透明だ。これほど混じり気のない殺意は、そうそうお目にかかれんな」

 

 チェーンソーを構え、チャージ。

 

「最期に教えてくれ。お前は、何故(なにゆえ)に殺す?」

 

 その問いには答えず、俺は「デッドスレッド」にとどめを刺した。

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて」

 

 一帯の敵が片付いたのを確認した俺は、コンソールを操作してあるコマンドを入力する。

 しばらくすれば、複数の補給シェルパが、バラバラの方角から集結した。

 その数、20と少し。集合する前に()()()()()()()でかき集め、隠しておいたものだ。

 

 そのうちの1つを空け、残りを入口付近のバラバラな場所に隠し直した。

 これなら、ウォッチポイント内に突入後も、安全さえ確保すれば補給ができるだろう。

 ……それだけではないが。

 

「ユーリ、お前の弾薬もある。補給しておけ」

 

 自分の補給を終え、そう促す。

 

「…………」

 

「どうした?」

 

「ねえ、ゴード」

 

「何だ?」

 

「ここに来るまえに、なにを、したの?」

 

「……気にするな」

 

「…………」

 

「先を急ぐぞ」

 

「……ごめんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウォッチポイント・アルファへの、唯一の入り口である巨大な隔壁の前に立つ。 それは先の技研都市防衛戦でアーキバスが突入する際にこじ開けられた状態のまま、大口を開けて俺たちを出迎えた。

 

 スキャンを行ってみれば、外からは見えない位置に大量の敵が潜んでいることが見て取れる。

 

「待ち伏せされてるな」

 

「うん」

 

 だが、分かっていても行く以外の選択肢は無い。不意打ちを最大限に警戒しつつ、穴に飛び込む。

 

 

「来たぞ! G13、G14だ!」

 

「総員、迎撃開始!」

 

「ここを通したら、また総長に手柄を取られるぞ! それが嫌なら奴らを墜としてみろ!」

 

 出迎えたのは、緑系統に塗装された多種多様な機体たち。

 

 レッドガン部隊のお出ましだ。

 




ジュピター(最終決戦仕様)

UNIT
R-ARM UNIT:NOT EQUIPPED
L-ARM UNIT:WB-0010 DOUBLE TROUBLE(チェーンソー)
R-BACK UNIT:EL-PW-00 VIENTO(ニードルガン)
L-BACK UNIT:EL-PW-00 VIENTO(ニードルガン)

FRAME
HEAD:HD-012 MELANDER C3
CORE:07-061 MIND ALPHA
ARMS:AA-J-120 BASHO
LEGS:LG-012 MELANDER C3

INNER
BOOSTER:FLUEGEL/21Z
FCS:IA-C01F:OCELLUS
GENERATOR:AG-T-005 HOKUSHI

EXPANSION:ASSAULT ARMOR


【挿絵表示】


解説

最終決戦の「ジュピター」。

長年連れ添ったジャンク天槍頭とようやくお別れし、「ブラックアント」の頭をつけた。あと、あまり見た目に差はないが足も換えた。

同じく長年連れ添ったハンドガンも換装。解放戦線から調達したうちの1つであるニードルガンを装備した。

あと、しれっとブースタをFLUGELにしたので、チェーンソーとパンチのキレが上がっている。

そういえば名前の由来を言い忘れていたが、宇宙実験でリスザルのゴードが乗せられたロケットである「PGM-19 ジュピター」から取った。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。