4日の東京株式市場は、アメリカの長期金利が低下したことを背景に前日のニューヨーク市場でハイテク関連の銘柄が買われた流れを受けて、半導体関連などが値上がりしました。
さらに、歴史的な円安局面が続く中で、企業業績の改善への期待感から、輸出関連など多くの銘柄に買い注文が出ました。
▽日経平均株価、4日の終値は3日より332円89銭高い、4万913円65銭となり、終値としての史上最高値をおよそ3か月ぶりに更新しました。
日経平均株価はことし3月下旬に最高値を付けたあと、一時は、4万円を割り込み足踏みが続いていましたが、投資家の間で改めて日本株を見直す動きが出ていることを示した形です。
また、東証株価指数=トピックスは、一時、2900を超えバブル期の1989年12月に付けた取り引き時間中の史上最高値をおよそ34年半ぶりに更新しました。
▽トピックス、終値は3日より26.29上がって2898.47となり、終値としても史上最高値を更新しました。
▽1日の出来高は16億3530万株でした。
市場関係者は「今週、発表された日銀の短観で企業の景況感の底堅さが示されたことに加え、日本企業の収益性の向上やガバナンス改革の進捗(しんちょく)に対し、海外投資家の関心が改めて高まっていることが株価上昇の要因となっている」と話しています。
株価 値上がり 終値4万913円65銭 史上最高値を約3か月ぶり更新
4日の東京株式市場は、半導体や輸出関連など多くの銘柄に買い注文が広がり、日経平均株価がことし3月下旬以来、およそ3か月ぶりに終値としての史上最高値を更新したほか、東証株価指数=トピックスもバブル期の1989年12月につけた史上最高値を更新しました。
証券大手「日本企業の業績が期待できると見直しの買い」
日経平均株価が終値としての史上最高値を更新し、東証株価指数=トピックスも史上最高値を更新したことについて、野村証券エグゼキューション・サービス部の柏原悟志担当部長は「ことし1月から3月に株価が大きく上昇した時は半導体関連の銘柄が買われたが、このところは株価が割安な銘柄全体が買われている。時価総額で計算されるトピックスは、日本市場全体が上がらないと上がってこない。一部の銘柄が指数を引っ張るのではなく、日本全体が買われているという点で、これまでと違う意味がある」と述べました。
その上で、このところ足踏みが続いてきた日本株が買い直された要因については、「為替が円安水準で、日本企業の業績が期待できるというところで見直しの買いが入っている」と述べました。
さらに、6月後半以降の株価の上昇基調については、「アメリカ大統領選挙に向けたテレビ討論会が終わったころから日本株が上がり始めていて、トランプ氏の当選確率が高まったという市場の見方が背景にあるかもしれない。過去にも、トランプ氏の当選確率が上がった際に、中国株と比較して日本株が相対的に優位だったことがあるので、おそらく中国から日本への資金のシフトが一部にあるのではないか」と述べました。
その上で、今後について「外国人投資家は緩やかなインフレが続いて、賃金も上がっていくという期待があり、企業業績も良いだろうという期待で買っているところもある。そのあたりが実際に確認できれば、さらなる上昇はあり得る」と述べ、年内に日経平均株価は4万4000円、トピックスは3200をめどに上昇の余地があるとの見方を示しました。
一方で、今後の懸念材料として、欧米などで金利が高止まりする中、世界経済が急速に減速することがリスク要因だと指摘しました。
株価上昇 要因は
このところの株価の上昇の要因として、主に4つの点が指摘されています。
1. 記録的円安
まず、円安が一段と進んだことです。
これを受けて、自動車や電機、機械など、輸出関連の銘柄に買い注文が広がりました。
2. 金融政策
2つ目の要因は日銀の金融政策をめぐる思惑です。
日銀が今後、追加の利上げなど金融政策の正常化を進めるとの見方から、収益の拡大が見込まれるとして銀行や保険などの株価が上昇。
これが全体の株価を押し上げました。
3. アメリカの株高
3つ目はアメリカの株高の影響です。
生成AIの需要拡大への期待などを背景に、ニューヨーク市場ではハイテク関連銘柄の多いナスダックの株価指数や主要な500社の株価で算出する「S&P500」の株価指数が記録的な水準まで上昇しています。
これを受けて日本の半導体関連の株価も上昇。
半導体関連の銘柄がけん引する形で全体の株価を押し上げています。
4. 決算前に業績に期待感
4つ目は日本企業の業績への期待です。
日銀が7月1日に発表した短観=企業短期経済観測調査では、大企業の製造業の景気判断を示す指数が2期ぶりに改善したほか、労働団体の連合が3日に発表したことしの春闘の賃上げについての最終集計では、平均の賃上げ率が1991年以来33年ぶりに5%を超える高い水準となりました。
こうしたことから、投資家の間で企業の業績や日本経済の先行きへの期待が改めて高まり、7月から本格化する上場企業の決算発表を前に、積極的に日本株を買う動きが出ています。
日経平均株価 ことし2月からの経緯は
日経平均株価は、ことし2月下旬、バブル絶頂期の1989年12月につけた史上最高値をおよそ34年ぶりに更新しました。
その後もアメリカの株高や日本企業の業績への期待を背景に上昇が続き、日経平均株価は3月上旬に4万円の大台を突破。
3月22日には取り引き時間中で4万1087円75銭、終値で4万888円43銭まで上昇しました。
ただ、これ以降、株価は伸び悩みます。
アメリカで早期の利下げ観測が後退したことなどを受けて4月には取り引き時間中に一時、3万6000円台まで値を下げました。
5月に企業の決算発表が本格化すると業績への期待から株価が持ち直す場面もありましたが、その後は一進一退の値動きが続きました。
しかし6月下旬以降、円安が一段と進む中で自動車など輸出関連の銘柄に買い注文が広がり、日経平均株価は7月4日、3月22日以来およそ3か月ぶりに終値としての最高値を更新しました。