NHKのサッカーW杯中継番組に、一瞬で局面を劇的に変える“ファンタジスタ”が現れた。日本のスタジオで進行役を務める神田愛花アナウンサー(30)だ。
神田アナは17日の放送中、19日の日本戦の中継を告知する際に、「(NHK)BS1でたっぷり放送、コマーシャルありませんからね」と天真爛漫にアピールした。
だが地上波でこの試合を中継するテレビ朝日にしてみれば、ちゃめっ気ですまされる話ではない。というのも、W杯の放映権は170億円と極めて高額なため、NHKと民放各局が共同で購入しているからだ。日本民間放送連盟の抗議を受けて18日、NHKはドイツ-セルビア戦の中継後、神田アナらが番組内で「配慮に欠けた」と謝罪した。
気を利かしたはずのアドリブで、思わぬ渦中に巻き込まれた神田アナ。学習院大理学部数学科に在学中、ファッション誌の読者モデルを経験し、「準ミス学習院」にも輝いた。およそ三十路に見えない顔立ちと脚線美だが、入局8年目のベテランだ。
前回W杯でも関連番組に出演し、「サタデースポーツ」などの臨時キャスターも務めているが、今回のW杯番組では現役サッカー選手に奇想天外な質問を連発している。
アルゼンチンの天才FWメッシが華麗なプレーを披露すると、なぜか守備の選手ではなく、FWの千葉・巻に「対戦してみたいですか?」と意表をついた“キラーパス”。巻は「それより一緒にプレーしてみたい」とかろうじて反応した。
フランスが1敗1分と振るわない理由について、神戸・宮本にぶつけた質問は「フランスはまだ調整中ですか」。W杯本番のこの期に及んで、いったい何に向けて調整しているというのか。普段は冷静沈着な宮本も思わずしばし絶句した。
ともすれば深夜のサッカー中継は中だるみし、視聴者も睡魔に襲われがち。神田アナの予測不能な言動の数々は、メッシのひらめきに満ちた妙技のように、番組の貴重なアクセントとなっている。
NHKの公式ホームページによれば、心身のリフレッシュ術は「セレブごっこ」。やはり天性のファンタジスタらしい。