前回までの3つの記事の復元は、叫SAKEBE(2023/1/19放送)とTHE LAST ROCKSTARSのBorn To Be Free(2023/1/26初演)の関係ついて、以下の4つの検証をする為でした。
検証1: 叫SAKEBE作曲はBorn To Be Freeを意識していたとの指摘は妥当なのか?
私は直接は知らないのですが、叫SAKEBEの出だしがBorn To Be Freeと似ているということで、意識して作曲されたのではないかという意見があるそうです。
それもあって、YOSHIKIさんはBorn To Be FreeをTLRSで演ったという推測さえもあるようです。
しかし私は、以下の根拠で否定します。
《1》同じE minorである点について
同じE minorでも、2曲の最高音は相違しています。
(X JAPANの)Born To Be Freeの最高音はC5(hiC)で、最高音C5のX JAPANの曲は多いです。(例:Rusty Nail・Tears・Crucify My Love・The Last Song・I.V.)
※ちなみにHYDEさんのBorn To Be Freeは、Toshlさんのキーより2つ低いDmでした
叫SAKEBEの最高音はB4(hiB)で、(X JAPANの)Born To Be Freeより1つ低いです。
Toshlさんは調を決める際、YOSHIKIさんの言いなりだったX JAPAN時代とは違って、自分の声域による表現力を考慮して設定していると思いますが、IM A SINGER1~3の地声最高音の平均値はB4です。
《IM A SINGER1~3の地声最高音の集計》
A♭4=2曲 A4=3曲 B♭4=8曲 B4=7曲 C5=5曲 D♭5=6曲 D5=1曲 E♭5=1曲
このように、Toshlさんの調選択は他の多くのソロ曲同様、最高音をB4に設定したことによるもので、E minorの一致に意味は無いと言っていいと思います。
《2》出だしの3音「シソファ#」が同じである点について
kuririさんのYouTube channelより【ゲリラライブatあしかがフラワーパーク10/31収録(4:32~)】
「シソファ#」の3音は、階名で言えば「ミドシ」ですが、短調の曲の出だしとしてはよくあるパターンです。
例えば「Silent Jealousy」も「ミドシ」です。
Born To Be Freeは、2小節目以降はメロディが変化し、コードもE minor-C Major-G Major-D Majorと変わっていきます。
叫SAKEBEはベース音がE-G-D-Eと動くのみで、メロディは変化しません。
この部分はイントロとも呼べない部分で、本当のイントロは「Anything is possible
Walk the walk」と歌い出す前の8小節だと思います。
このように叫SAKEBEとBorn To Be Freeの出だしはメロディ進行もコードも違うので、似ていると言うこと自体、私は賛成しかねます。
Toshlさんが出だしを「ミドシ」にしたのは、その不安定さ/不穏さによる、続く「叫べ!」の連呼とのギャップ演出であり、Born To Be Freeなど意識していなかったと思います。
検証2: YOSHIKIが、TLRSでBorn To Be Freeを選曲してHYDEに歌わせたのは叫SAKEBEに反発したからという指摘について
YOSHIKIさんには、Born To Be FreeがX JAPAN終焉の危機を救った曲であり、Toshlさんにとってもファンにとっても特別な曲だとの認識は確実にありました。
(YOSHIKIさんは『洗脳』を読んでいたし、ToshlさんはMCで特別な曲だと語っていました)
TLRSがBorn To Be Freeをカヴァーしたにとどまらず、ToshlさんやX JAPANファンに対する、HYDEさんの反抗心や侮蔑さえもあると感じさせるパフォーマンスだったことは前回記事【Xの終焉~哀しみと幻想のBorn To Be Free~】に書きました。
《原曲軽視を感じさせたHYDEさんの歌唱》
▲頻繁に音程を外す等の雑な歌唱
▲寝転がって歌う
▲MIYAVIさんとフザケながら歌う
▲ブラジャーを被って歌う
▲ブラ被り部分の動画をUP
Born To Be Free選曲に、まさかここまでの侮蔑シナリオがあったとまでは思いませんが、YOSHIKIさんの叫SAKEBEへの意趣返しの感情があって、ファンにとって特別な曲をHYDEさんにあのように歌わせたのでしょうか?
私の答えは半分肯定、半分否定です。
《1》叫SAKEBEを聞いてYOSHIKIは大いに憤慨していたと思われる、12回ものTweet
YOSHIKIさんは2023年1月23日~2月11日に‟叫べ”を使ったTweetを12回もしていました
YOSHIKI PR事務局記事が自慢に終始し、インタビュー等にも自慢が溢れている状況や、過去の、プライドを傷つけるような指摘への短気な怒りなどを見てくれば、YOSHIKIさんは過大な自尊心を持ち、批判や侮辱に対して激しい自己愛的憤怒を抱く傾向があると推察されます。
Toshlさんは、叫SAKEBEは特定の人に向けた歌ではないと解説していましたが、YOSHIKIファン等からはYOSHIKIを揶揄したとの非難の声が上がっていました。
YOSHIKIさんも、ファンのそうした非難の声を把握し、自身も歌詞は自分のことだと感じ、怒りを抑えられなかったのだと推測します。
では、YOSHIKIさんの叫べ12Tweetを一気にどうぞ。
❶「@LAST_ROCKSTARS のツアー開始まで後3日 #紅 に染まるくらい忙しい、しばらく寝てないよー。 とりあえず叫んでいい? うぉーーーーー!!!!」2023年1月23日
❷「今夜のショーで、Screamーーー at tonight's show! 俺も久しぶりに叫ぶかー。」
❸「Are you ready? 叫ぶぞーー!気合い入れていくぞー!」
❹東京公演2日目、まもなく開始! みんな、心の準備はできてるか? 叫べよーーーー! SCREEEEEEM!!!! 2023年1月27日
❺どうなろうと、もうすぐショーが始まる、叫べよーー! Regardless the show will start soon. Screeeeam!
➐東京公演、最終日! 思いっきりいけよ。叫べよーー! Last day of the Tokyo shows! Go with all your have. Screeeeeam!
➑「NEW YORK CITY!! WE'LL BE ON STAGE IN 30 MIN. ARE YOU READY? SCREEEEEEEEEAM!! 思いっきり叫べよーー! Xx」2023年2月5日
❾New York City 2nd night will start soon. Are you fxxkin ready?! SCREEEEEEM tonight!!! ニューヨーク 今夜も叫べよーー!Xx 2023年2月5日
❿「ドラマーとしての最後の日がいつ来るかわからないけど、それまでベストを尽くす。 明日はツアーフィナーレ、 ロサンゼルス公演 応援頼むぜ、 腹から叫べよー!」
⓫「Los Angeles! Are you ready to rock?!! Ready to screeeam tonight? LA、準備はいいか! 今夜、叫べるかーー?!」
⓬We’re going on now! Let’s rock the f**k out!! SCREEEEAAMM!! 機材準備できた。 叫べーーー
《2》Born To Be Free選曲は叫SAKEBEへの仕返しなのか?
当時も私の記事に、こういう主旨のコメントが入りましたが、その際にも、私はそうは思わないと否定しました。
その最大理由は、YOSHIKIさんが1月19日にテレビで叫SAKEBEが歌われたのを把握し、怒りに燃えて仕返ししようと、Born To Be Freeを急遽演ると考えたとしても、公演まで6日では不可能だったと思うからです。
常に「忙しい」YOSHIKIさんが、本番直前の6日間に、既に埋まっていたと思われる公演に向けてのスケジュールを変更/キャンセルしてまで、HYDEさんに合わせた移調・アレンジ・被せの音源作り・バンドとしての練習・リハーサルに充てる時間を捻出できたとは考えられないです。
でも、勿論、100%不可能とは言えません。
前回記事に書いたように、YOSHIKIさんのピアノはミスが酷すぎて、1度も練習しておらず、リハでも1度も弾いていないのか?と思えるほどでしたが、これはToshlさんの叫SAKEBEを聞いての急遽の選曲だったからとも考えられます。
検証3:Born To Be Freeを選んだ理由
YOSHIKIさんが本音を言っているとは限りませんが、一応、インタビュー(2023.11/20)では、選曲に深い意味は無かったと言っています。
私は選曲理由はズバリ、
「HYDEさんがちゃんと歌えそうな簡単な曲だったから」
だと思っています。
選曲の決め手はBorn To Be Freeの音域の狭さ・メロディの単純さです。
ラルクファンでさえも、HYDEさんはピッチが不安定になり易いと言っています。
私もTLRSの演奏を何曲も聞くこととなって、今回初めてHYDEさんの歌唱を検証することとなりましたが、ピッチの安定性には常に不安を感じさせました。
そうしたHYDEさんの力量を考慮し、旋律の上下幅が狭くて音程が外れにくい曲であるBorn To Be Freeを選んだのだと思います。
しかし、それでも所々ピッチは外れていて、どうしても練習不足・リスペクトの無さを感じてしまいましたが、これはリハーサル等の日程やYOSHIKIさんの都合など、一概にHYDEさんだけのせいとは言えないのかもしれません。
以下に、Born To Be Freeを他曲と比較します。
Forever Loveの声域と旋律
F3~D5で範囲13度、hiの音域でのオクターブ上がるメロディが頻発です。
ENDLESS RAINの声域と旋律
F#3~D5で範囲13度、hiの音域での6度上がるメロディが頻発です。
Born To Be Freeの声域と旋律
HYDE (Dm) :C4~B♭5 (Toshl (Em) :D4~C5)
範囲7度と狭く、更に曲の大半はC4~F4という、歌い易いmidの音域でのたった4音の範囲で、なおかつメロディも殆ど1音程度しか動かない、単純で音の取り易い曲です。
このようにBTBFは「変化が少なく単純で歌い易い歌」であるが故に、
安直に歌えば、限りなくダサくなり、
音痴が顕著に露呈します。
以上の部分まで、実は先月には書き終えていたのですが、一昨日になって私の考察を裏付けるコメントを、X JAPAN Born to be Free Live 2015 6 27 LUNATIC FEST 動画に発見しました。
「これがほんとのTHE LAST ROCKSTARSだ」←中指立ててますww
というコメントへのリプとして、
「本当はIV歌わせる予定だったけど歌えなかったからこっちにしたらしいよ それでも雲泥の差だけど」
というコメントがありました。
※この発言について、何かご存じの方がいたら教えて下さい
ということで、I.V.についても検証したいと思います。
I.V.の声域と旋律
E minor F#4~C5
余計なことですが、私はDAHLIAよりI.V.の方が遥かに好きです。
DAHLIAはやたらに五月蝿いという印象で、演出が過剰な割に旋律もコードも安直です。
Born To Be Freeの出だしは一番易しい主音Eで始まり、その後もE~Eの簡単なフレーズが続きます。
同じE minorのI.V.は、一番音が取り辛い7度のDの音から始まり、フレーズの終わり
も不安定な長二度のF#で、このD→F#が繰り返されます。
これだけでHYDEさんには難易度は高いと、YOSHIKIさんは判断したかもしれません。
その後もオクターブや7度・6度・5度飛びがあります。
最もピッチが取り辛いのは、「ハァ、ハァ、ハァ」の後のサビの出だし
「I.V. in my vein」F#dim7のD#の音と、
「Can you strip away the mystery of the world」から、次の「I’ll let it suffer for its lie」に移るG#→Aだと思います。
頭の中でAM7(メジャーセブンスコード)をイメージしていないと、正確なピッチが取れません。
F#dim7で歌うD#I.V. in my vein
AM7でピッチをとらなければならないA
この曲に必要とされるのは、
揺らぎのない淡々とした正確な歌唱と
クリアで硬質な音色による切迫感と不気味さの表現
だと思います。
半音移動の多い暗い旋律は、HYDEさんのフォール歌唱は不可能で、そもそも色気とか脱力感は完全に拒絶されます。
不安定なコードと旋律が続き、華やかさも情感も乏しいこのI.V.は、必然的に正確なピッチの歌唱が不可欠で、ボーカルには最も難しい曲の一つだと思います。
検証4:Born to be Free選曲にあった思惑
検証2では、叫SAKEBEへの仕返しとしてBorn To Be Freeを急遽演るのは、日程的に不可能だと考察し、
検証3では、Born To Be Freeの選曲理由は「HYDEさんが歌える易しい曲」だと述べました。
それらは、Born To Be Free選曲理由に、「簡単な曲」とは別にYOSHIKIさんの思惑があったことの否定にはなりません。
Born To Be Freeを演ったことに、どのような意味があったのでしょうか。
Born To Be Freeは、X JAPAN終焉の危機から救った曲でした。
つまり、Toshlが歌手を止めて去れば、X JAPANはその時点で終わりだったとファンに認識されていたということです。
ファンが大切に想うBorn To Be Freeは、
Toshlが唯一無二のボーカルだという象徴
だったのです。
その曲をHYDEさんに歌わせるということは、
‟唯一無二のボーカルToshlの否定”
であり、YOSHIKIさんには、
唯一無二のボーカルToshlを求めるファンの‟切り捨て”
という思惑も、残念ながらあったのだろうと思います。
Red Swan事件やEXTAV事件の共通項であるToshl排除が、今回も貫かれたのでしょう。
『EXTAV』はRed Swan事件第2幕だった』2021.11/26 復元2022/08/10
YOSHIKIさんは『Born To Be Free』をあのような軽さでHYDEさんに歌わせたことで、自ら自分のX JAPAN曲の価値を損ねてしまいました。
「YOSHIKIがXを殺した」
HYDEさんによるBTBFのブラ被り動画UP後に放たれた、Xファンのコメントです。
‟超優秀な情感表現機能付きボーカルマシン”を手放して以降のYOSHIKIさんは、
‟名曲”を生み出すのではなく、
‟名声”という名の空虚なモノを、
手練手管で必死に作り上げているように見えます。
叫SAKEBEに込めた想い
この項目は、来週にしました(来週までMeYouが存続してればいいにゃ)。
早くToshlさんの思いを周知したいと思うんですが、記事の復元とか色々やることがあり、ちびっと追いつかないです。
でも、
「ブッ壊せ DARK FANTASY」
「背筋も凍る JEALOUSY」
「何が何でも優越感」
そして、
「Buck passer」
などという言葉を、なるべく早い内にブログで検証したいです。
DARK FANTASYとは醜汚の世界です。
怪奇・ホラー・ミステリー・SFの世界であり、戦争と略奪、魔女狩りや拷問、飢饉や疫病、政治腐敗等が生々しく描写される世界です。
Toshlさんはそういう世界を歌の世界に描くことも否定したいのでしょう。
背筋も凍るJEALOUSYは上記に挙げたYOSHIKIさんの、
‟叫SAKEBE”を使った12回ものTweet
にも感じますね。