誤字報告ありがとうございます。
「……君が、例の襲撃者か」
ホバーで空中に浮いたままこちらを見下ろすのは、
「
含みを持たせた言い方で、温和そうな男の声が響く。
……別に、こちらがベイラムではないと確信しているわけではないだろう。
だが、ベイラムだと決めつけているわけでもない、そんな所か。
……やることは変わらない。
ブースタを吹かし、上昇。4脚特有の上空からの爆撃を避ける。
放たれたプラズマライフルを躱し、
「リコンフィグ」のFCSは遠距離の精度に特化したものだ。
反面、中近距離の精度はおざなりになっている。
つまり、懐に入ればかえって命中精度が落ちる。それ故の接近。
「……甘いよ」
当然、その弱点を知らないホーキンスではない。
こちらの接近に合わせてレーザーブレードを展開。回転斬りの構えを取る。
「こちらの台詞だ」
誰にも聞こえない呟きを発しながら、ブーストを切る。
重力に従って落下する「ブラックアント」は、水平方向を薙ぎ払う回転斬りをするりと躱した。
そのまま、チャージしたリニアライフルを撃ち込む。
2発撃ち込んだところで
「……やるじゃないか」
銃弾を浴びて吹き飛んだ「リコンフィグ」が体勢を立て直すと同時に、再接近。
ブレードのオーバーヒートが終わる前に畳みかけてやる。
両肩のミサイルを発射しながら、再び蹴りを放つ。
反撃に放たれたレーザーキャノンを躱し、冷却の終わった両手のリニアライフルを連射。
しばしの攻防の後、再び
「……っ!」
射撃をキャンセルし、その場から飛び退く。
その瞬間、背後を翠の光刃が掠めた。
「第5隊長殿、遅くなりました!」
「ペイター君!」
「ご無事で何よりです、第5隊長殿」
……言動に反して、今のはホーキンスを囮にしてこちらを殺りに来る動きだった。
センサーが良かった故にギリギリで気づけたが、危なかったな。
「おのれ、第5隊長殿の命を狙うとは! 許せん!」
「それだけではない、貴様はメーテルリンク第6隊長殿を……!」
「うっ、ううっ……!」
「第6隊長、ペイター……悪くない響きだ……!」
「……ペイター君?」
「貴方の事は忘れません……! ありがとう、メーテルリンク……!」
「……迎撃を続けるよ、ペイター君」
「はっ! 第5隊長殿!」
……2対1か。
これがヨーイドンで始まったなら、装甲の薄いペイターから狙うんだが。
今の状況なら、削れているホーキンスからかな。
そう結論を出し、動く。
パルス武装が中心で射程の短い「デュアルネイチャー」から距離を取りながら、「リコンフィグ」を射撃する。
「おのれ、あくまで第5隊長殿を狙うか…!」
そう言いつつも、割って入るなどはしない「デュアルネイチャー」。
あくまで「リコンフィグ」を囮にしながら、こちらを潰すことを最優先に動いている。
……ならば。
自機への集中攻撃を凌ぐべくパルスアーマーを展開した「リコンフィグ」への攻撃を一旦止め、位置取りの調整に集中する。
「デュアルネイチャー」に軽く牽制を入れながら位置をコントロール。
2機の間に自機が挟まるように位置取った。
「……そう来たか……!」
レーザーキャノンとプラズマライフルをチャージしていた「リコンフィグ」だったが、誤射を恐れて攻撃の手を止める。
だが、もう1機は違った。
「私が! 第6隊長としての責務を果たす!」
誤射などまるで恐れずに斉射されたパルス弾。
それを、上昇して回避する。
「……っ!?」
標的を外れて飛んで行ったパルス弾は、直線上にいた「リコンフィグ」に殺到。
時間経過で多少減衰していたパルス防壁をあっという間に削り切り、「リコンフィグ」に少なくないダメージと衝撃を与えた。
敵と認識していない存在からの攻撃だ。
「ペイター君!? 何を……」
意図せぬ味方からの攻撃。
冷静沈着なホーキンスにも、僅かな動揺が走る。
……当然、その隙を見逃す訳がない。
一瞬動きの止まった「リコンフィグ」に対して、チャージした右の軽リニアライフルを撃ち込む。
「ぐっ……!」
そのまま2発撃ち込み、ダメ押しでミサイルも撃つ。
「ペイター……君……」
最後のミサイルが止めになったらしい。ダメージ限界を迎えた「リコンフィグ」は、青い光と共に爆散する。
「そんな……第5隊長殿……!」
「おのれ!おのれぇ! メーテルリンクに留まらず、第5隊長殿まで手に掛けるとは!! 許せん!!」
「第5隊長殿……!うっ……ううっ……!」
「
悲しんでいるのか喜んでいるのかよく分からない声を上げながら、「デュアルネイチャー」が向かってくる。
それに対して、当然こちらは後退。
爆導索で牽制しながら、リニアライフルとミサイルを放つ。
「くっ……! 第5隊長として、ここで敗れるわけには…!」
パルスバックラーで多少は軽減されているが、所詮は逆間接型。衝撃には弱い。
「ホーキンス、メーテルリンク、見ていてくれ…!」
一連の流れで、こちらのやり方を理解したらしい。
速度ではあちらが上。全力で突っ込まれれば追いつかれる。
そう考えた俺は、
「このペイターが!第5隊長だ!!」
隙だらけの「ブラックアント」に対して、パルスブレードを振りかぶる「デュアルネイチャー」。
そこに、ドンピシャでリニアライフルを合わせる。
「なっ……!」
先の爆導索で少なくない衝撃を負っていた「デュアルネイチャー」は、その一撃でまたも
「…………」
あとは、先ほどと同じだ。チャージしたリニアライフルを交互に浴びせる。
少なくないダメージを負った「デュアルネイチャー」を破壊するには十分な威力の弾丸が降り注ぐ。
「まだだ! ホーキンスとメーテルリンクの分まで、私は生きる!!」
「デュアルネイチャー」のコア拡張機能、ターミナルアーマーが発動。
5秒の間、決して減衰しないパルス防壁が展開される。
「さあ! 私はまだ生きているぞ! 来い! ホーキンスとメーテルリンクの仇!!」
――そんな声をよそに、背を向けて飛ぶ。
当然ターミナルアーマーを知っていた俺は、銃弾を放った瞬間に踵を返していた。
そのままABで逃げつつ、5秒数える。
「5、4、3、2、1」
「0」
数え終わると同時に、再び機体の向きを変えた。
そのまま、こちらを追ってきていた「デュアルネイチャー」に、たった1発の銃弾を放つ。
「そんな、今日から私が、第5隊長なのに…!」
その1発がとどめとなり、「デュアルネイチャー」はあっけなく機能停止した。
「なにが撃破は任意、だ。冷静に考えれば、こうなることは分かり切っていたろうに」
そのあと、残ったMT部隊を掃討していると、基地から飛び立っていく機影の群れが見えた。
基地に保管されていたというLC、HC達だ。見れば、停泊している強襲艦も離陸していく。
撤退するのか、別の部隊を叩きに行くのか。それは分からないが、どうでもいい。
どちらにせよ、こうなってしまえばいくら導電兵器を用いようが無傷で全機を鹵獲するなんて無理な話だ。
要するに、作戦成功。依頼達成である。
「……帰るか」
その直後。
「ブラックアント」の高性能なセンサーが、こちらに接近する機体反応を捉えた。
同時に、通信が入る。
「3人をやったらしいな」
「こちらに来て、正解だったか」
「お前とは愉しめそうだ」
伏線・ほのめかしについて
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