裏金でゲーム機、家電… 希望リスト、浮かぶ海自の「たかりの構図」

市田隆

 川崎重工業はこれまでも税務調査を受けてきたが、下請け企業を通じた裏金作りが発覚することはなかった。大阪国税局による今回の調査では、乗組員らの要求に応じて数多くの物品が購入されていた疑いが浮上している。

 下請け企業との架空取引で捻出されたとされる裏金は、どのように物品の購入に充てられていたのか。

 複数の関係者によると、各潜水艦の取りまとめ役が乗組員らの希望をリストにして川重の修繕部に連絡していたという。そのリストに基づき、修繕部や下請け企業が裏金を使って物品を購入した後、修繕部から各潜水艦の担当者にまとめて渡していたとみられる。

 川重の広報担当者は取材に対し、乗組員向けに購入していたのは「商品券やトルクレンチ、ワイヤロープ、ヘッドライト」などと説明している。国税局が確認したところ、乗組員らが自宅で使うテレビや冷蔵庫、電子レンジなどの家電製品のほか、家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」や釣り道具など多岐にわたる物品が含まれていたとされる。なかには、上官が部下に贈るための家電製品や、約70人の乗組員全員分の「おそろいのTシャツ」もあったという。

 乗組員らへの飲食接待費にも裏金は充てられていたとされる。

 各潜水艦が定期的な点検や修理を川重の神戸工場(神戸市中央区)で受ける際、乗組員らは神戸市内にある川重の宿泊施設「海友館」などに数カ月単位で滞在しながら、同社の社員と共同で作業する。その期間、修繕部側が乗組員らを飲食接待するなどしていたとみられる。

 潜水艦建造の発注などに関わらない乗組員に対し、川重が物品や飲食の費用負担を続けてきた理由は何なのか。ある関係者は、海自側による「たかりの構図ではないか」とみる。

 防衛省側はどう受け止めているのか。取材に応じた関係者は「潜水艦内で使うパソコンや洗濯機などを川重側にリクエストすることはあるが、艦内の備品。修理費などの予算内という位置づけだ」とする。一方で、裏金が使われていたかどうかについては「こちらからはわからない」と話した。(市田隆)

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この記事を書いた人
市田隆
大阪社会部|大阪国税局担当

調査報道、経済犯罪、文学