独立傭兵オルクスの3周クッキング   作:性癖解放戦線

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ACVDのAC乗り、
「最新型が負けるわけねぇだろ!」だの、
「どうせブサイクなオッサンでしょ」だの、
「クソ傭兵が!ぶっ殺してやる!」だの、
めちゃくちゃ印象に残る登場する癖に断末魔がないの面白過ぎる

ブサイクなオッサンといえば、VD主人公は性別確定してるのだろうか?


旧宇宙港防衛/借り物の翼

「621、仕事だ。アーキバスグループから依頼が入っている」

 

 ブルートゥを排除したオルクスと別れて一晩が経った。明らかに様子がおかしかった彼のことは心配だが、わたしにはまだやるべき仕事が残されている。

 

 

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独立傭兵レイヴン

これは当社系列企業シュナイダーからの依頼です

 

ヴェスパー第4隊長と貴下の活躍により陥落し

当社拠点となったバートラム旧宇宙港について

惑星封鎖機構の残存艦隊が

奪還を企図しているとの情報を得ました

 

作戦内容はその迎撃および当該拠点の防衛

配備されているMT部隊は友軍として

貴下の支援にお役立てください

 

ブリーフィングは以上です、よろしくお願いします

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「封鎖機構は相応の戦力で基地奪還に来るはずだ。621、友軍MT部隊を上手く利用しろ」

 

 今回の仕事は防衛戦。普段ならば対応力を上げる為にオルクスを雇う所だが…あの憔悴した声を考えると、今回は1人で仕事をした方が良いかもしれない。

 

 

 …戦闘中は常に冷静で余裕そうな雰囲気を漂わせる彼が、あそこまで取り乱すことがあるとは想像もしなかった。綺麗な声で歌う彼が、あんなドスの効いた声を出せるなんて知らなかった。

 

 結局わたしは感情も、彼のことも理解できないままだ。わたしを何度も助けてくれた彼に対して、わたしは何も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔ミッション開始…待て621、様子がおかしい〕

 

 わたしが降り立った黄昏時の旧宇宙港は、既に沈黙が支配していた。

 

《戦闘が…すでに終わって…!?》

 

〔…状況を確認しろ、621〕

 

「…りょう、かい」

 

 アーキバスの友軍MT部隊も惑星封鎖機構の残存艦隊も、既に物言わぬ残骸と化している。環境音とわたしにしか聞こえないエアの声を除けば、今この場で音を発しているのはわたしとわたしのACのみ…

 

 

 

 

 

〔「レイヴン」通信は聞こえてる…?〕

 

 女性の声が、わたし(レイヴン)の名を呼ぶ。煙をあげて墜落した強襲艦の上に立つ、どこか見覚えのあるACがこちらへ振り向いた。目の前の機体はRaDの探査ACフレームで固められているが、頭部だけはそれと異なっている。

 

〔目標を確認したわ。あれが、あなたを騙る傭兵…〕

 

 …違う、彼女が呼んだのはわたしではない。「レイヴン」と呼ばれたACの頭部カメラがわたしを睨む。探査AC用とは違う、完全に戦闘向けの顔付き。元の素朴な面影の失われた、鋭い視線だ。

 あれが…「レイヴン」。わたしのライセンスの、本来の持ち主。

 

〔見せてもらいましょう〕

 

 「レイヴン」の頭部パーツが変形を開始。左右のパーツが展開し、後方からバイザーが降りてくる。わたしを睨んでいた視線は覆い隠され、ロックされたバイザーのカメラが点灯。

 

〔借り物の翼で、どこまで飛べるか〕

 

 「レイヴン」がアサルトブーストの体勢に入った。背部が展開したACは、内燃型ジェネレータ特有のオレンジの噴射炎と共に飛び立つ。

 

 

 

 

 

〔…AC単機で、全てを片付けたというのか〕

 

 敵機と共に飛来する左肩の双対ミサイルを横へクイックブーストして回避。アサルトブースト中にクイックブーストを絡めて旋回する敵機を捉えてプラズマミサイルを発射。

 

〔強化人間C4-621…「レイヴン」の名を返せとは言いません。ただ…あなたにその資格があるか、見極めさせてもらいます〕

 

 てっきりライセンスを取り戻しにきたのかと思っていたが、目的は別にあるらしい。「レイヴン」の…資格…?

 

〔お前のライセンスの、本来の持ち主か。構うな、撃破しろ621〕

 

 向こうがその気なら、ハンドラーの指示通りに迎え撃つしかないだろう。

 

「りょうかい」

 

 

 

 

 

 「レイヴン」のACは、フレーム以外にもわたしのローダー4と似ている部分が多い。アサルトライフルは火力型、パルスブレードはパイルバンカー、連装ミサイルは双対ミサイルへ換装され、2連装グレネードを追加している。汚染市街で発見した時の機体はマシンガンを装備していたため、ミッションに応じて武装を変えているのだろう。

 

 それに対してわたしの機体は、元のローダー4とは似てもつかない軽量タンク。武装も長射程ショットガン、垂直プラズマミサイル、プラズマ機雷投射機とクセのあるものばかりだ。

 

 自由に空を翔けるローダー4に似た人型のACとそれとは変わり果てた地を駆ける異形のAC…同じレイヴンではあるが、そのあり方は大きく異なる。

 

 

 こちらから間合いを詰め、動き回るレイヴンの周囲を旋回しながらショットガンを浴びせていく。

 

 ブーストキックでの追撃を狙うが、敵機アサルトアーマー展開の予兆を察知して後退。多少掠ったがまだ問題はない。

 

 C2000フレームの姿勢安定性能はそれほど高い訳ではない為、至近距離でのACS負荷の取り合いであればこちらの方が優位だ。ACS負荷限界に陥った「レイヴン」へ対してプラズマ機雷投射機の回転体を2度叩きつける。

 

 

 

 

 

〔企業の走狗か、ハンドラーの猟犬か…いずれにせよ、羽ばたくことはないでしょう〕

 

 グレネードを撃ち下ろそうと飛び上がった「レイヴン」の下をクイックブーストで潜り抜けて射角限界に入り回避。下からショットガンを撃ち込んで反撃。独特な回避機動で接近してくる「レイヴン」だが、プラズマミサイルの爆風と散弾は躱しきれずにダメージが蓄積しているようだ。

 

 2度目のACS負荷限界。接近して回転体を投射し、ブーストキックで追撃を…!?

 

〔…そのままでは〕

 

 ブーストキックが直撃する寸前に「レイヴン」がアサルトアーマーを展開。逆にわたしがACS負荷限界に追い込まれる。無防備なわたしへ、爆音と共に炸薬の威力を乗せた鉄杭による刺突が突き刺さる。

 

 

 

〔「レイヴン」とは意思の表象…相応しいのは選び戦う者だけです〕

 

《このAC…強い…》

 

〔相手は封鎖機構の戦力を単騎で殲滅している。気を抜くな、621〕

 

 かろうじてコックピットへの直撃及び貫通は避けられたが、手痛い反撃だ…だが、これでしばらく敵機のアサルトアーマーとパイルバンカーは冷却が必要となる。今が攻め時だ。

 

 これまでのようにひたすら張り付き続けるのではなく、ショットガンを撃ってから回転体を叩きつけて離脱を繰り返すヒットアンドアウェイで確実に一撃一撃を当てていく。

 

 

〔ええ…「レイヴン」私も感じてるわ。この傭兵には、可能性がある〕

 

 お互い着実にACSへ負荷を掛け合い…先にACS負荷限界に陥ったのは地上にいたためにグレネードの爆風を凌ぎきれなかったわたしだ。アサルトブーストの推力を上乗せして地を滑るように構えたパイルバンカーを、パルスアーマーで受け止める。

 

 

 「レイヴン」の左右に切り返す動きや、アサルトブースト中の回避機動には既視感があったが…今のパイルバンカーで確信した。これは、オルクスのアンフォラL2だ。まさか…「レイヴン」はオルクスだったのだろうか…?それなら、あの日ライセンスをわたしに譲ったのも…

 

 

 …ならば、わたしの力を示すだけだ。わたしの目の前でパイルを振り抜いた「レイヴン」へショットガンを斉射。そのまま回転体を叩きつける。

 

 

 

 

 

〔「レイヴン」反撃を…!〕

 

 

 「レイヴン」のACが膝をつき…ジェネレータが爆ぜた。

 

 

〔…そう…見届けようと言うのね…この翼が…彼らをどこに運ぶのかを〕

 

 

 わたしの勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《あなたを襲撃した独立傭兵…「レイヴン」について調査しました》

 

 ガレージヘリに帰投すると、エアが「レイヴン」について調べてくれていたようだ。依頼主のアーキバスによると「レイヴン」のAC…ナイトフォールのコックピットには脱出レバーを引いた痕跡があったらしい。正体に繋がるものは、何もなかったそうだが…

 

《どうやら「レイヴン」とは特定個人ではなく、彼らが定義する「自由意志」の象徴として傭兵たちが受け継いできた称号のようです》

 

 選び戦う自由意思…受け継がれてきた称号…

 

《…戦う理由を自ら選び、そのために強く羽ばたくこと。それが「レイヴン」の証明だと言うのなら。私は…変わらずあなたを、そう呼びたいと思います。レイヴン》

 

 わたしは「レイヴン」に勝利したことで、レイヴンに相応しいと認められたのだろう。だが…

 

 

 

 

 

 戦う理由…ハンドラーの猟犬であるわたしに、そんなものを選ぶことが出来るのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイスワーム撃破の目処が立つまで休息を命じられたわたしは、旧時代のデータを収集して調べたいというエアの頼みを受けてエンゲブレド坑道を訪れたのだが…

 

 

『〜♪』

 

 

 坑道の上から、歌が聴こえる。なんとなく察しはつくが確認すると、そこにはアンフォラMRの肩に腰掛けたオルクスが、端末を見ながら歌っていた。

 

「せんぱい?」

 

『…?あ、レイヴンか』

 

 オルクスはわたしのことをいつものように後輩ではなく、レイヴンと呼んだ。

 

「なに、してる、の?」

 

『絵を描いてたんだ』

 

 そう言うと、彼はわたしの機体のカメラに向けて端末を見せる。エンブレム作成機能の画面だ。通常のピースを組み合わせて作成する形式ではなく、自分で線を引いているらしい。

 

 旧宇宙港の風景が描かれている。

 

『今日は少し曇ってるけど、ここの景色好きなんだよね』

 

「けしき…」

 

『そういう後輩は、どうしてここに?』

 

「こうどうの、でーたあつめに、きた」

 

『なるほどね…まぁ、ここで直接会えたなら丁度良いか。話したいことがあるんだけど良い?』

 

「うん」

 

 話したいこと…やはり、「レイヴン」の件だろうか?

 

『俺、例の化け物が撃破されたらこの惑星を出ることにしたんだ』

 

 …違った。彼とは、もうすぐ会えなくなるらしい。

 

「…どう、して?」

 

『金を稼ぎ終わったからかな。これだけあればこの惑星を出て生活していける。俺はコーラルが欲しくてこの惑星に居る訳じゃないから、ここらが潮時だ』

 

「…それ、は…」

 

 

 

 オルクスと会えなくなると聞いてから、なんだか苦しい。これは…なんと表現すれば…

 

《レイヴン…あなたは寂しいのではないでしょうか?》

 

 寂しい…これは、そういう感情なのか。

 

「…さみしい」

 

 オルクスは、驚いた顔をしている。彼もわたしの状態は知っているから、こんな露骨な感情表現をしたことに困惑しているのだろう。

 

「…まだ、うた、おしえてもらって、ない」

 

『…そうだったね。約束は守らないと』

 

 そう言うと、彼はACのコックピットに乗り込んだ。

 

『坑道の敵は全部排除してあるからさ、君のデータ回収に付き合いながらやろう。もちろん金は取らないし、俺が君が良ければだけど』

 

「うん…よろしく」

 




  旧時代データ回収/悔いなき選択

◯真レイヴン
人の男に手出してんじゃねぇぞ◯犬、殺してやr…殺し…殺…あれっ…!?
さ、流石、私のオルクスが見出しただけのことはある…ナイスレイヴン…!
文字通りの負けヒロイン

◯新レイヴン
真レイヴン=オルクス説?

◯オルクス
真レイヴンとは何度も模擬戦をしているので動きのクセが似ているだけで当然だが真レイヴンでは無い

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