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新築タワーマンションの資産性判断

こんにちは。Xでマンション好きの外資コンサルという名前のアカウントをやっています。本業の傍ら、主にタワマンの購入や売却を細々と投資兼趣味でやっており、東京と大阪で計8回の購入と2回の売却を経験しています。

今回の記事は、タイトルの通り新築タワマンの資産性をどう判断するか?の検討プロセスの共有が目的です。後述の背景の通り、最初は「郊外の新築タワマンをどう判断するか?」というテーマだったのですが、書いて見ると郊外タワーに限らず、ある程度汎用的に使えそうなので、万人に一定の参考になると思います。そのため、タイトルから「郊外」を外して新築タワーマンションの資産性判断としました。歴戦のマンクラの方々には初歩的な内容ですが、ご容赦ください。

記事の背景

THE TOWER 湘南辻堂という神奈川県の新築タワマンを購入することになったのですが、人生初の郊外系タワマンの購入となりました。湘南が好きなので半分趣味で買いましたが、半分は投資。東京や大阪と違い、郊外系のタワーを買って本当に資産価値は期待できるのか?をいつもより慎重に検討し、結果として資産価値もGoodと判断して買ったわけですが、この検討プロセス需要あるかも?と思いこのnoteを書くに至ります。出来るだけプロセスを一般化して記述し、そのケーススタディとしてTHE TOWER 湘南辻堂をどう評価したのか?という構成になってます。ちなみにこの審査プロセスを通過した物件なので当然肯定的な評価が多いのですが、そこのポジショントークはご容赦を笑

※注1 物件全体の評価であり個別の部屋の評価ではありません。個別の部屋の評価も奥深いですが、それをやると人物特定されるので今回は物件まで笑
※注2 資産性とは売却時に購入価格よりも高く売れる期待値と定義します。
※注3 前回書いた記事↓の内容を踏襲するので、参考にご覧ください。

前提情報・物件紹介

これは物件アピール記事ではないのですが、物件情報が無いと後の話が分からないのでTHE TOWER 湘南辻堂について最低限の概要を記載します。シンプルに言うと、湘南エリア最高層のタワマン, 大型商業施設のテラスモール湘南直結3分, 海まで2kmなどがウリで、湘南エリアNo.1マンションになるかと思います。自転車置き場などに並んで「サーフボード置き場」というのが設置されているのがこのエリアならではの面白い特徴(初めて見た…笑)

所在地: 神奈川県藤沢市
竣工年: 2025年9月
総戸数: 196戸
階数: 地上29階建て
アクセス: 辻堂駅徒歩2分(ペデストリアンデッキ直結)
平均坪単価:450万円

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外観デザイン


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エントランスデザイン
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立地(ペデストリアンデッキで駅直結2分/テラスモール湘南直結3分)

検討ポイントサマリー

結論からですが、どの物件でも私は以下の3つを常に大事にしており、1→2→3の順で重要視しています。THE TOWER 湘南辻堂については1と2が十分に高く3は並みという判定で買いに至りました。

  1. 価格は適正か
    割安/相場並み/割高なのかを見ます。新築の検討なので竣工前ですが、今竣工して中古市場に流れたら相場はいくらになるだろう?(フェアバリュー)を想定し、想定中古価格とデべが付けた新築価格のGAPが大きいほど買いです。極論、他の2つの要素がダメダメでもこの要素さえピカピカの超割安物件なら全物件「買い」です。

  2. 物件自体の競争力
    対象物件を買いたいと思う人が将来に渡って継続的に表れるかを見ます。私はこれを「ランドマーク性」で判断します。このランドマーク性は資産価値を決める超重要観点なのですが、何故これが大事かは別の記事に書いたのでご覧ください。

  3. エリアの伸び代
    物件の所在するエリアの価値が高まり、今と将来の差分が大きくなると思われる情報があれば大きな加点ポイントになります。多くの場合は再開発計画の有無で判断できます。

1.価格は適正か

方法はシンプルで、①出来るだけ条件の類似する物件(立地や、駅直結タワーなどの際立った特徴)をベンチマークして割安か ②利回りは最低限回るかの2点を見ます。

①類似の中古物件のベンチマーク

A.周辺の板マンションとの比較
以前の記事でも紹介したのですが、タワマンは同じ立地・築年の通常のマンションと比べてもざっくり1.5倍の価格になることがデータで分かっています。そこで以下をベンチマークします。

・ライオンズ一条レジデンス湘南C-Ⅹ
所在地: 神奈川県藤沢市辻堂神台1丁目
竣工年: 2013年
総戸数: 95戸
階数: 地上14階建て
アクセス: JR東海道本線「辻堂」駅から徒歩1分
流通価格: 坪単価約330万円

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ライオンズ一条レジデンス湘南C-Ⅹ / 線路の目の前で目立ちます!

この物件は直結ではないものの駅徒歩1分の距離で、尚且つテラスモール湘南に隣接するのでタワーでないことを除けばかなり条件が近しい板マンションです。330万円の単価に1.5倍すると495万円となり、新築vs築11年の差や、直結vs非直結の差も考慮すると1.6倍の差は妥当と考え、坪530万円でもフェアバリューと評価します。

B.近隣の駅直結タワーとの比較
駅直結タワーは非常に希少性が高く、通常とは大幅に異なる値動きをするので、この観点でもベンチマーク必要と判断し、出来るだけ近隣で駅直結タワーを探します。

・ブランズタワー大船
所在地: 神奈川県横浜市栄区笠間2丁目2-2
竣工年: 2020年12月
総戸数: 253戸
階数: 地上21階建て
アクセス: JR横須賀線「大船」駅から徒歩1分(ペデストリアンデッキ直結)
流通価格: 坪単価約480万円

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ブランズタワー大船

辻堂から東京方面に2駅隣の大船駅からペデストリアンデッキ直結のタワマンで、商業施設も隣接で近しい条件。ライオンズとの比較で坪530万と計算しましたが、ブランズタワー大船の価格(坪480万円)+1割の価格としても妥当かなと判断しました。タワーですが板マンを高くしたような外観で、手摺コンクリ、外廊下であることなども踏まえ、建物の仕様やデザインは辻堂が大きく上と考えます。また大船は湘南感のあるエリアでは全くないので、富裕層需要は多分辻堂が上。この立地価値含めて坪480+1割=530万円は妥当かなと(バイアスかかってるかもですが、最後は自分のセンスです…笑)

②利回り

不動産を評価する際に利回りという概念は頻繁に登場します。収益還元法という考え方で、賃貸に出した際に得られる年間賃料収入を物件価格で割って割高か割安かの判定に使われます。

広く普及している考え方ですが、私はタワマンの利回りについてはネガティブチェック項目として使います。つまり、利回りが低すぎるから買わないという判断はしますが、利回りが高いから買うということをしません。利回りが高い物件ほど、キャピタルゲインの期待値がやや弱い傾向にあるためです。一般に、ローンで高いレバレッジのかかる物件価格よりも、掛け捨ての費用である家賃は上がるスピードが弱いです。そのため、人気でぐんぐん価格が伸びている物件ほど、家賃が置いて行かれて利回りは悪くなる傾向にあります。つまり、利回りの高さは物件価格のアップサイドの低さとある程度裏返しの相関があり、キャピタルゲインを期待したい僕は高利回りには飛びつきません。一方、過剰なバブル的な伸びをしている物件やエリアは利回りが劇的に下がることも事実なので、利回りが高すぎず、低すぎないか物件かを見ます。
目安ですが表面利回り(想定年間賃料÷物件価格)で、以下の感覚です
 ~2%:完全危険水準(最近の港区物件でチラホラ)
 ~3%:危険水準だが都心の希少な一等地では検討可能性あり
 ~3.5%:不安水準だが再開発等の伸び代や希少性次第で検討可。
 ~4%:このくらいの水準は欲しい。及第点。
 ~4.5%:タワーとしては高い。他の資産価値条件満たしてれば超買い
 ~5%:新築ではほぼ見ない。これだけ利回ると逆に不安かも笑

THE TOWER湘南辻堂についてはデベロッパー側が出してる賃料想定で利回り3.75%でした。概ね妥当な水準なので、ネガティブチェックは通過です。
(補足:利回りが高い方が不動産投資ローンの融資が付きやすいという論点はあるのですが、細かいので融資についてはまた機会があれば取り上げます)

まとめ

上記の2つのアプローチで価格の妥当性を判断しましたが、自分の分析では坪530万円程度でも今すぐ中古で流通可能で、坪450万円は約15%安で買いと判断しました。12,750万円で契約して手付1,275万円を払った物件が1年半後に2250万円UPの1.5億円で売れる可能性がある。諸費用・税金無視してますがIRRとしては悪くありませんし、昨今のインフレで更に値上がりの可能性もあるので投資適格と判断しました。

2.物件自体の競争力

物件の競争力を左右するランドマーク性の判断は以下で分解できます。

物件周辺の人の往来数(①)×物件規模・デザイン性(②)×唯一無二性(③)

①はシンプルで、物件を認知する人の母集団を形成します。ターミナル駅に近いほど高くなる傾向があります。

②はどれだけ目立つかを担保します。エリアの中でも大規模で外観がカッコいい物件ほど良いです。①で多くの人が往来してる中で②があると、物件が存在するだけで潜在的な購入意向層を0コストで無限に作り続けます。

③は②で形成した潜在購入意向層が購入の意思決定をする際に決め手となるものです。周囲でこの物件にしかないものがあるほど、代替手段がないので買わざるを得なくなります。駅に圧倒的に近い(直結)、圧倒的に大規模、圧倒的な眺望、圧倒的な共用施設、商業施設に直結、築年が圧倒的に浅いなどが代表的です。とにかく「圧倒的」というワードが大事です。

こんな感じでランドマーク性は①購入者母集団形成→②潜在購入意向層形成→③クロージング(購入)という営業プロセスを物件が存在してるだけで全てやってくれる強力な武器なのです。ランドマーク性のある物件には、広告を打たなくても多くの人の目に留まり、代替物件が少なく希少性が高いことから、常に指名買いが現れ続けるのです。

この観点でTHE TOWER 湘南辻堂を評価します。

①物件周辺の人の往来数

テラスモール湘南が近くにあることが強力です。湘南最大の大規模商業施設で年間延べ2,000万人が来場するため、往来数は十分な数があると判断します。実際に行ってみると土日は人でごった返しており、ここを行き来する人全員が目にするのであれば大丈夫でしょう。

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何もない駅(失礼)だった辻堂に確変をもたらしたテラスモール湘南(駅直結1分)

②物件規模・デザイン性

沢山の人が訪れるテラスモール湘南からは以下のように見えます。
湘南最高層で他に同等のビルやマンションがないので目立つのは間違いなく、全面ガラス張りのデザインも感覚ですがカッコいいと判断しました。(住友不動産のシティタワー系によくありますが築15年経ってもガラス張りのタワーは古く見えないのが良いですね)

テラスモールを行き来する何十万人もの人が全員目にし、この目立つ外観(規模とデザイン)を見てガチで欲しい!と思う人が0.1%でも生まれれば、それが未来の購入者候補になります。

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テラスモール湘南からのイメージ画像。青空の日は全体的にブルーになって湘南感出そう!

③唯一無二性

周辺で唯一の高層タワマンであること、眺望が他を圧倒すること、駅直結であること、テラスモール湘南に直結であることなどが唯一無二性になります。後発でこの地位を脅かすタワマンが出そうな計画もなく常に一番築浅なので、このエリアで半永久的に指名買いを呼び込むには十分と判断します。

特に、湘南エリアには富裕層のニーズを満たすマンションが存在していないので、その受け皿になれると考えました。ただ、豪華な共用施設などがあるとこれも唯一無二性になるのですが、そこまで共用施設は多くないので残念なところ。

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ラウンジやワークスペース、ゲストルームなどタワマンの最低限の共用施設はありますが、
都内の大規模タワーの天体望遠鏡(!?)とかプールとか見てると物足りない笑

まとめ

近くに集客力の強い大型商業施設が存在して人を呼び込み続け(①往来数)、外観が目立つので往来するほぼ全員に認知され(②規模・デザイン性)、その中で買いたいと思った人の代替手段が存在しない(③唯一無二性)と考えられるので、このエリアにおけるランドマーク性は十分と判断します。湘南エリアのブランド力が続き、人が往来し続ける限りは基本的に買い手に困ることはないと思います。

3.エリアの伸び代

基本は再開発計画の有無で判断でき、現在と将来の差分が大きければ大きいほどいいです。期待で買われて事実で売られる株と異なり、不動産の再開発は期待でじわじわ買われて完成時に一気に上がるのも特徴です。公開インサイダーと言われる通り、今は評価が高くないけど再開発で変わるエリアを、割安なうちに仕入れて再開発完了までガチホするのは1つの鉄板手法です。ただし、最近は再開発で評価が上がる前提が新築価格に反映されているケースもあり、「今の時点で価格は適正なのか」という1番で論じた点をよく検証するのが大事です。

物件価格に影響を与える主要な再開発は以下の3つ。①新路線の開通②面の再開発③後発のタワマンの建設、です。ただ、①②の主要なものは広く知られていて意外に狙いにくいので簡単にだけ取り上げます。③は一番狙いやすいので細かく取り上げます。

①新路線の開通

最も強い再開発です。不動産の価値はどれだけの人がそこに往来するかで決まりますが、人が往来していなかった場所に新しい路線で人を往来するようにさせるのですからそれはもう不動産価値が一変します。新しい人流によって他の不動産開発の収益性も担保されるので、開発が開発を呼びます。ネックは完成まで長い時間がかかることですが、一旦出来上がればこれほど強いアップサイドはありません。今ある主要な路線計画は以下でしょうか。
・東京臨海地下鉄(東京駅~湾岸エリア)
・豊住線(豊洲駅~住吉駅)
・南北線延伸(白金高輪駅~品川駅)
・なにわ筋線(梅田駅~難波駅~新今宮駅)

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東京臨海地下鉄 /2040年までの完成を目指すそうですが、
これ完成したらかなり相場変わると思います

②面の再開発

デベロッパーや行政による、一定の広い範囲を丸ごと再開発する取り組みです。「面」との対比で「点」の再開発もあり、こちらは駅前に商業施設付きのタワマンやビルが1つ出来る、みたいなやつですが、これは周辺相場に与える影響は限定的です。特定のエリアが丸ごと作り変えられるような「面」の規模になると相場に大きな変化が生まれます。今ある大規模な計画の例は以下でしょうか。
・(東京)第二六本木ヒルズの開発
・(東京)JR中野駅周辺の再開発
・(東京)JR高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発
・(東京)JR小岩駅周辺の再開発
・(大阪)梅田駅周辺の再開発(グラングリーン大阪)
・(大阪)中之島五丁目再開発

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グラングリーン大阪 / 大阪駅前の大規模再開発で面の開発の代表例

③後発のタワマンの建設

①②のインパクトは大きいですが、広く知られているため狙いに来る投資家も多く、壮絶な抽選合戦になったりして買うこと自体が結構大変です。一方この③は一般の人でも一番狙いやすいのでオススメです

マンションの建設費というのは右肩上がりで上昇しています。円安による輸入建材費の上昇に加え、人手不足による人件費の上昇や、労働法の改正による労働時間の規制が2024年から始まり更に加速しています。基本的に、日本は今後インフレを目指していく国なので大幅に建材費が安くなることは考えにくく、人口も減少するので人件費が安くなることも考えづらい。つまりは、後に建つマンションほど建築コストが高いというトレンドが続いており、今後も続く可能性が高いです。

そうすると、既存タワマンの近くに新タワマンが建設される場合、最新のインフレを織り込んだ建築コストの新築は当然高い単価になり、それ払うなら近隣の中古タワマンでいいじゃん、という市場原理が働き周辺相場の引き上げが起こります。これは十分なサンプル数で観測されている値動きであり、かつ誰でも知っているわけでもないので情報の非対称性も取りやすいです。

例えば、西新宿にあるザ・パークハウス西新宿タワー60の中古流通価格の推移を見てください。2022年まで緩やかな伸びだったのが2023年に急角度になっているのが分かると思います。この間にデカい出来事ありましたっけ?

マンションに興味ない人は絶対に思いつかないと思いますが、隣でシティタワー新宿の販売が開始したことが原因です。高値追及で有名な住友不動産が急に坪700万~800万で売り出したので、すぐ横にある西新宿タワー60の坪550万は急にお買い得になってしまい、相場が爆上がりしました。

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知らない人から見たら完全に謎の相場変動を見せる西新宿タワー60
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シティタワー新宿(真ん中)とザ・パークハウス西新宿タワー60(右)
西新宿タワーのオーナーはシティタワーに頭が上がりません(多分)

マンション界隈で「後発住友」は最強と言われるのはこれが原因です。近くに住友不動産のマンション計画が出たら勝ち確だとマンクラの人たちは真面目に思っています笑 住友じゃなくても建築コスト上昇の煽りを受ける可能性は高く、相場の引き上げは高確率で起こります。

後発タワマン計画がまとまったサイトとかは無いですが、マンクラの人たちは注意深くウォッチしているので、Twitterで情報を追うのが一番早いと思います。いくつか例を挙げると東京だと月島、勝どき、新豊洲などの湾岸、白金高輪など港区エリア、中野など再開発エリア、神奈川だと武蔵小杉などで、周辺のタワーは新築中古問わず買いなケースが結構あります。

・・・ただし、最後に大事なことを書きます。
後発タワー計画があるタワマンならなんでも良いわけではなく、後発よりもランドマーク性に優れるor少なくとも同等のタワマンを買うのが重要です。明らかに後発に見劣りするタワーを買っても、後発の価格が高くても「こっちがイイじゃん!」と乗り換えてもらえません。先述の西新宿タワーはこの周辺で圧倒的に大規模で、シティタワーを差し置いて選ばれる要素があったので値上がりしました。

私はこの要素を非常に重視しており、保有している物件は全て近隣に後発タワー計画or大規模再開発計画のあるランドマークタワマンだけです。

まとめ

ここまで書いておいてアレですが、THE TOWER湘南辻堂はこの観点では全滅しました(笑)。後発に何の再開発も無く、タワマンの建設予定もありません。開発に期待できないタワーを買ったのはこれが初めてで、どちらかと言えば先人たちが築き上げた湘南という強いブランドと、テラスモール湘南の大規模開発で価値が上昇した辻堂駅の人気を食いつぶしていくイメージでいます。マーケット全体がインフレすれば十分に恩恵を受ける立地だと思いますが、ピンポイントでここだけ上がりまくるのは想像できません。郊外系のタワーはここが難しいですね。価格の割安さとランドマーク性が十分だったので買いましたが、どちらか1つでも足りなかったら投資不適格になっていたかもしれません。その点、東京や大阪は開発計画が沢山あり、今後の伸びに期待する投資はやりやすいです!

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THE TOWER湘南辻堂の遠景。開発が無いので多分竣工10年後にも似たような光景でしょう笑
街の変化を楽しむというのは難しそうですが、「変わらない良さ」と前向きに解釈します。。

4.(サブ論点)誰が欲しがる物件なのか?

検討ポイントは3つと言いながら4つめが登場です。この章は前3つに比べて科学的に語り辛く、想像力に依存し再現性が弱いので、あえて主要検討ポイントから外しました。この章は可視性の高いデータも根拠もないので私の感想だと思ってもらえればと思いますが、重要論点だと考えています。

中古で高く売ることを考えた時に、当然ですがそこには買主が存在しています。この買主はどんな人で、どんな予算なのかの想像力を高めることを推奨します。当たり前のようですが、ちゃんと想像している人は意外と多くありません。私は大まかに以下の人たちを想像します。(1→6の順で予算が高い)

  1. 外国人富裕層
    主に大陸系の方々。正直なところ、今の都心の高値相場の牽引者はこの人たちです。港区の数億円の物件で、マンクラの人たちから見ても高いと思う物件も、仲介の人曰く内見は常に来るそうで、その内訳はほぼ100%この属性の人たちというケースもある様子。主に港区を中心とした鉄板物件や、一部湾岸も含む大規模タワーを好み、予算は割と青天井。数億円から10億オーバーでも買っていく。最近特に勢いがあるのはこの人たち。

  2. 日本人富裕層(資産5億円以上)
    市政の人々からは見えにくいですが、正直結構な人数います。資産規模で言うと5億から10億円を余裕で超えるような人たちで上は天井知らず。代々の富裕家系、地主系、開業医一族、オーナー系企業の一族、起業で一発大当てした人、一部の超エリートサラリーマンなどですね。1ほどではないが予算は高く、1ほどの勢いはないが同様に都心の分かりやすい3億~5億の物件を現金orローンで買っていく。気に入れば1億を超えるような物件をセカンドハウスで買う。

  3. 日本人準富裕層(資産1億円~5億円)
    最近のインフレで一気に増えた層。中小規模の起業とM&AでEXITした人、株式投資で当てた人、仮想通貨系億り人、スタートアップの元CXO(上場済)、投資ファンド勤めでキャリー貰った人、ストックオプションありの外資系企業勤めの人、JTC海外駐在で順当に蓄財した人、親が持っていた小規模な不動産の相続を受けた人、など。私もこの層なのである程度解像度に自信があるのですが、庶民上がりも多く頑張って蓄財した経緯があるので派手に港区の物件を買ったりする人は少なく、割と堅実。ただある程度の贅沢はしたいので、湾岸、新宿、池袋などなど都心にアクセスの良い副都心にある分かりやすい大規模タワーをローンで買う。予算は幅があるけど1億~3億。

  4. 日本人パワーカップル(フルタイムエリート)
    夫1500万、妻1000万みたいな、世帯年収で2000万~3000万円の層。コンサルに勤めているとよく見ますし、医師カップルとか、東京だと結構多いですね。特徴としてはお互い忙しいので都心までの距離が超大事。3と似たような副都心の駅近タワーを予算1億~2億くらいで買う。

  5. 日本人パワーカップル(フルタイム一般層)
    夫1000万、妻600万みたいな、世帯年収1500~2000万円くらいのJTCカップル層。おそらくここ数年で東京のマンションを買っている最もボリューム層で、女性の社会進出に伴ってよく見るようになりました。予算は基本1億未満だけど、背伸びして1.2~1.3億円くらい出すことも。リモートを組み合わせることで許容エリアは多少広く、通勤時間は45分~60分程度が許容範囲。都心の近さに拘り少し背伸びして湾岸タワーを買うケースや、他には東京の外縁部の駅近タワーや、武蔵小杉のタワーを買ったりなどなど。

  6. 日本人カップル(フルタイム+パート)
    夫婦合わせて1000万円前後の層。この辺になるとほぼ東京のタワマンは無理になり、予算7000万円以下で、東京の板状マンションや、千葉や埼玉などの郊外系タワーになる。

以上が今のマンション購入層としてざっくり自分がイメージしているペルソナです。ここで重視するのは、想定購入者が1億円の壁を越えられるのか?で、これはつまり1~4の人たち(+5の上位層)に選ばれるかです。1億円の壁というのは明確にあり、キリの良さからくる心理的壁や、一般的な世帯の与信の限界値などが理由と思われますが、この1億の壁で躓くエリアや物件は多く存在します。2~3年前は湾岸エリアに明確にこの壁が存在し、1年前は武蔵小杉でこの壁があり、1億を超えるとガクッと流通が悪くなるので、それ以下のギリギリの値付けのタワーで溢れていました。湾岸のようにインフレや街の成長でこの壁があっさりブチ破られることもありますが、エリアや物件次第では今後もここで躓いたままもあり得ます。買いたい物件は4以上の人に選ばれるか?それとも5のJTCカップルまでか?正解はありませんが自分の納得いくまで考え抜くべきです。逆に4以上の人たちは欲しい物件ならかなり予算も伸びるので、先述のランドマーク性さえ十分ならいずれ高値でも欲しい人が表れ、段々驚くような成約事例が出てきます。

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今や70㎡で普通に1.3~1.4億くらいする湾岸のドゥ・トゥールですが、実は2023年前半までの2年くらいは1億の壁を超えられずに相場が停滞していました。ここを超えられるか超えられないかが資産性の大きな分かれ目です。

この観点ではTHE TOWER湘南辻堂を評価すると、「2~4」の人たちに選ばれる可能性があると考えました。湘南ブランドが強いので、この辺を好む日本人富裕層(2)の需要はありそうです。特にこのエリアは富裕層需要を満たせる高級マンションが皆無だったので、湘南の戸建てに住む富裕層の買い替えorセカンドハウス需要が期待できます。次に、私の会社でも4に該当するエリートサラリーマンで辻堂に引っ越した人が2~3人いたので、東京で仕事しながら湘南が好きでわざわざ移住する人の需要を知っており、そこにもウケそうと判断しました。湘南ブランド×ランドマーク性の効果ですが、中古市場では条件のいい部屋は軽く1.5億を超え、2億でも成約事例が出そうと推測し、その面でもGOとしました。

5.おわりに

投資観点でのマンション購入は、株に例えると超ハイレバレッジの個別株投資です。ローンで自分の年収や資産に大きなレバレッジをかけて、1つのマンションを買うからです。株ではコツコツインデックス投資中心の私にとって、ハイレバ個別株投資はかなりドキドキするものです。

自宅として買う場合、下落しても住み続ける選択肢が取れたり、どの道必要な生活費だったりするのでミドルリスクハイリターンな投資になりますが、自宅以外に買う場合は下落時のリスクは大きくなる可能性があります。

そのリスクを最小化すべく「マンションを科学したい」と日頃から思っており、自分の中で暗黙知として何となく蓄積してきましたが、それを形式知に変えるいい機会になりました。正直、千差万別のマンション市場ではこのプロセスでは捉えられない要素が多くあり、特に富裕層需要を科学的に補足することは非常に難しく万能ではないです。ただ、一般的なタワマンならある程度このプロセスで分解できると思いますので、新築・中古問わずタワマンを買いたい方はご参考にしていただけたら嬉しいです。


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