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インターネット黎明期に登場したウェブブラウザ「Mosaic」と「Netscape」の生みの親が開発当時を振り返る

By National Science Foundation

現代ではさまざまなウェブブラウザが存在しており、ユーザーは好みに合わせて自由にブラウザを選択することができます。しかし、1990年代前半には「NCSA Mosaic」や「Netscape」といった数少ない選択肢しか存在しませんでした。そんなNCSA MosaicとNetscapeの開発に携わったマーク・アンドリーセン氏が、これらが誕生するまでの秘話を語っています。

The true story -- as best I can remember -- of the origin of Mosaic and Netscape.
https://pmarca.substack.com/p/the-true-story-as-best-i-can-remember


アンドリーセン氏は、NCSA MosaicやNetscapeといったインターネット黎明期に登場したウェブブラウザを開発したソフトウェアエンジニア。同氏は2009年にベン・ホロウィッツ氏と共同で、ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツを設立しています。そんなアンドリーセン氏が、ホロウィッツ氏とNCSA MosaicおよびNetscapeの起源について語るインタビュー動画を公開しました。

Marc Andreessen on Building Netscape & the Birth of the Browser - YouTube


アンドリーセン氏はイリノイ大学の1年生時に材料研究室で働いていました。ここはスーパーコンピューターが利用できる研究室であったため、「私にとって素晴らしい出発点となりました」と同氏は語っています。


その後、アンドリーセン氏は大学2年生の時にオースティンにあるIBMのオフィスで9カ月間にわたって働くこととなります。この時、アンドリーセン氏はIBMでワークステーションのグラフィックシステムの開発に携わったそうです。当時のIBMについて、アンドリーセン氏は「IBMは世界のトップに君臨しており、技術系企業の中で圧倒的に重要な企業でした。オースティンには6000人規模のチームがあり、ここでUnixワークステーションやグラフィカルワークステーションの開発に取り組んでいました」「当時、IBMのオフィスで働く人々はみなインターネットを利用しており、開発を進めていたワークステーションはすべてインターネットへの接続を前提としたものでした」と語っています。

大学3年生になったアンドリーセン氏は、米国立スーパーコンピュータ応用研究所(NCSA)で働くこととなります。NCSAで働き始めた理由について、アンドリーセン氏は「そこは大きなスーパーコンピューターを使う主要な研究室のひとつだったから」と語りました。

大学生の頃からコンピューターやインターネットに触れる機会があったアンドリーセン氏は、「当時、インターネットのインタラクションモデルを作成しようという3つのプロジェクトが存在しました。それが『Gopher』『Waze』『World Wide Web』です。これらのどれが勝ち残るかについては、ひとそれぞれ異なる意見を持っていました。なお、Gopherは1980年代に開発されたメニューシステムで、WazeはGoogle検索のような検索システムでした。これに対して、World Wide Webはスイスの欧州原子核研究機構(CERN)で働いていたティム・バーナーズ=リーが開発した、「革新的なアイデア」とアンドリーセン氏は語っています。

当時のインターネットはテキストベースであり、まだ画像や動画といった視覚的なコンテンツを表示する能力は持ち合わせていませんでした。アンドリーセン氏は大学生時代にコンピューターを利用したり、グラフィカルワークステーションを開発したりしていたため、自身の経験と当時人気を集めていたWorld Wide Webから、NCSA Mosaicというウェブブラウザを開発するというアイデアが思い浮かんだと説明しています。

By National Science Foundation

NCSA Mosaicの開発において、アンドリーセン氏ら開発陣は「誰もがグラフィカルコンピューターを持つようになる」「誰もがWindowsやMac、Unixワークステーションを持つようになる」という、当時のインターネットを知る人からすると「飛躍し過ぎ」と思ってしまうようなアイデアを持ち合わせていました。

ティム・バーナーズ=リーが開発した世界で最初に誕生したウェブブラウザであるWorldWideWebもテキストベースのもので、「グラフィックコンテンツがない」という問題を抱えていました。これらを踏まえて設計されたのがNCSA Mosaicであるため、同ブラウザはテキストと画像を同一のウインドウ内に混在して表示させることができる最初のウェブブラウザとなっています。

NCSA Mosaicは政府の研究資金で開発されており、商業的な動機を持っていませんでした。「そのため、多数のユーザーを獲得することができた」とアンドリーセン氏は語っています。NCSA Mosaicについて、アンドリーセン氏は「私たちは未来のためにNCSA Mosaicを設計しただけで、これに自信があったとは言えません」と語っています。

大学卒業後、「ベンチャーキャピタル」という単語すら知らなかったアンドリーセン氏ですが、事業家のジム・クラーク氏から連絡をもらうという幸運に恵まれます。そして、2人はNetscape Communicationsというソフトウェア開発企業を立ち上げることとなります。

クラーク氏はシリコングラフィックスという会社を立ち上げ、同社を世界有数のハイテク企業に育て上げますが、当時のCEOと対立して同社を退職したばかりでした。クラーク氏はシリコングラフィックスと「シリコングラフィックスから社員を引き抜くことを禁じる契約」を結んでいたため、退職時に同社の優秀な技術者を引き抜くことができませんでした。そこで、若くて才能のある人材を探していたところ、NCSA Mosaicの開発者であるアンドリーセン氏を見つけることにつながったそうです。


なお、アンドリーセン氏とホロウィッツ氏はMosaicやNetscapeの成り立ち以外にも、さまざまな出来事について語っているので気になる人は動画をチェックしてみてください。

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in ソフトウェア,   動画, Posted by logu_ii

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