八欲王の生き残り   作:たろたぁろ

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「ただいまー」

 

 茜は家のドアを開けるなり、やれやれと溜息混じりに帰宅の言葉を呟く。

<オカエリナサイマセ、アカネサマ>

 機械的な声がなった後、真っ暗だった部屋の電気が次々と点灯し周囲を明るく照らす。

 茜は高校に通う時に家を出た為、今は一人暮らしだ。家に帰っても誰もいないのは分かっているが、ただいまを言う癖は抜けそうにない。

 靴を脱ぎ、鞄を廊下に放り投げて、見慣れた18畳ほどのリビングに鎮座しているソファにダイブする。うつ伏せのまま部屋の隅にある時計に目をやると、丁度20時を指し示すところだった。

 

「もうこんな時間なのー?ヤバいユグドラシル終わっちゃうよ」

 

 ゆっくり準備する暇もないと悪態をつきつつ制服を脱ぎ捨て、部屋着に着替える。いつもなら風呂に入ってからログインするのだが、もうそんな時間はなかった。

 ベッドルームに行き、枕の上に雑に置いてあるコンソールを装着し、体内のナノマシン残量を確認する。十分に充填されていることに満足するとヘッドセットを装着しベットに勢いよく寝転がった。手慣れた操作で数多あるアプリからユグドラシルを選択し起動する。

<キャラクターを選択して下さい>

 機会音声と共に映し出されたのは、膝下まである赤黒い長髪と小さい頭から生える2本の禍々しい角が特徴的な女の子。

 ユグドラシルの苦楽を共にしてきた茜の分身-

イリスだ。

 

「よし、行きますか!」

 

 意識が呑まれるように視界が暗転して--

目の前にシャンデリアのぶら下がった天井が現れた。数ヶ月に何度も見た光景--イリスが活動拠点としていた宿の一部屋である。

 起き上がると正面には自身の身長よりも高い窓があり、そこからは色とりどりの光が、爆発音と共に不規則な感覚で差し込んでいた。

 他のプレイヤー達が上げている花火だろうか、統一性なく無茶苦茶に夜空に打ち上げられているそれは、運営が用意したものというよりは、より人為的な拙さを感じられた。

 

「やばっこんなもん見てる場合じゃなかった!」

 慌てて部屋から飛び出し、ロビーを駆け抜けて宿を出る。

 外に出るとそこはもうお祭り騒ぎだった。最後にログアウトした時は人っ子1人居らず、閑散としていた大通りが今やプレイヤーやnpc、召喚モンスターでごった返している。

 至る所に設置されたイルミネーションが夜空を照らし、通りの側には運営が用意したであろう露天がずらりと並び、お祭りムードを掻き立てている。

 露天で何かを購入しているプレイヤーが多く見られるが、最終日特有のアイテムでも売っているのだろうか。喧騒に圧倒されながらも気になったので寄ってみようかと駆け出した瞬間、ベルの音が鳴り目の前に≪伝言≫の文字が浮かび上がった。

 送り主の名はラガーマン。現実世界では黒髪眼鏡の美少女こと由香里ちゃんからだった。

 

[寄り道してないで早よ来い]

 

 フレンドに相互登録していると相手のログイン状況が分かるので、イリスがログインしたのを確認後すぐに≪伝言≫を送ってきたのだろう。

 イリスの移り気がちな性格を見抜いた友人からのお怒りメッセージに思わず笑みが溢れる。と言ってもアバターの表情は変わらないのだが。

 ≪伝言≫と同時にギルドの加入申請が送られてきた。

 

ギルド『落伍者の集い』加入しますか?

   YES NO

 

〔ごめんすぐ行く]

 

 簡単なメッセージを送り返した後、イリスは逡巡し、YESのボタンを押す。そして一つの転移用アイテムを取り出し、起動する。

 目の前の景色が喧騒に溢れる雑多な街並みから、真っ白な大理石に覆われた巨大な白銀の城の前に切り替わる。

 転移してすぐにイリスは周囲の確認を目視で行い、更に探知系スキルを発動しようとして__やめる。

(サービス終了日に何やってんだか…)

 未だに現役時代の癖が全く抜けていない自分に呆れてしまう。それだけのめり込んだゲームといえばそうなのだが、ちょっぴり恥ずかしい気持ちになった。

 

「警戒ご苦労!しかしまだまだ不用心じゃ!」

「うえっ!?」

 

 ドンと後ろから背を叩かれ、同時に聴き慣れた声がかかった。完全なる不意打ちに驚いて奇声を上げてしまった。

 咄嗟に振り向くと、そこには身長3メートルはあろうかという巨体を、全身黄金の鎧で包んだ金髪の女がいた。手にはその巨体に勝るとも劣らないほどの大きなウォーピックを持っている。

 ギラギラとした碧い眼光と、眉間に刻まれた深い皺、初見ではとても女に見えない獰猛な顔をしている。イリスが女と分かったのは、彼女が知り合いだからに他ならない。

 

「もーびっくりさせないでよ由香里!」

「こっちでその呼び方すな!」

「あ、ごめんラガちん」

「次から気をつけろよー。しっかし随分遅かったじゃねーか心配したぞ?ほんとにカツ丼食いに行かなきゃならんと思っちまったわ」

「ごめんよー、ラガちん出てった後まさかの2時間まちでさーほんと勘弁してって感じだよ」

「2時間…やったな八木のやつ」

「なんか火事がどうとかって。もうみんな集まってるの?」

「ん、ああ正門の方で花火の準備してたとこよ。行こ行こ」

 

 ラガーマンが巨大な門の方を指差し、走り出す。イリスもその後を追いながら門の方を見ると、数人の人影が大きな樽のようなものをせっせと並べていた。するとその内の一人が此方に気付いたのか、大きく手を振ってきた。

 

「おおー!みんな!本日の主役のご登場だぞ!」

 

 此方に手を振っていた真っ赤なフルプレートアーマーを着た男が大きな声で叫ぶ。声を聞き、気がついた他のプレイヤー達も手を止め、此方に近づいてきた。

 

「みんな久しぶりー!って主役ってなんなんですかユウジさん。」

「ん?俺らの中でドラさんから名指しで絶対こい!なんて言われてるのイリスだけだからなぁ。完全に主役だろう」

「そ、そそそそうですねし、主役ですね、き、期待してますイリスさん。」

「久しぶりーイリスー!相変わらず可愛いなあ!しかし横のゴリラとの対比がすげぇ…」

「どもー。これたんだねイリス。そんな奴らほっといて花火並べるの手伝ってー。」

「だれだ今ゴリラつったやつ、犯すぞ?」

「期待って何に期待?これ絶対面倒臭くなるやつじゃん!ログアウトしようかなあ」

「するな」

 

 久しぶりに会うメンツと挨拶を交わし合う。

皆イリスが抜けた『落伍者の集い』の元メンバーである。

 

 真っ赤なフルプレートに濃い紫色のマントを羽織った大柄な男、プレイヤー名はユウジ。

 本名でプレイヤーネームを登録している珍しい人物だ。ユグドラシルでの実力はイリスが知っている中でも1、2を争うレベルであり、イリスを含め8人しかいないワールドチャンピオンの内の一人でもある。イリスにとってはワールドチャンピオンになるための手引きをしてもらった師匠的な存在で、この人には一生足を向けて寝られないと思っている。

 その横にいるおどおどした口調の少し挙動不審な男、プレイヤー名は猫缶。

 髪は短めの白髪、血色の悪い顔に落ち窪んだ隈のひどい目はまるでアンデッドの様だ。身長はひょろりと高く、痩せぎすな身体を深緑色のローブで覆っている。

 ギルメン時代は見た目に似合わず超攻撃型の魔力系魔法詠唱者で、彼の魔法によって九死の状況を逆転できたことは何度もある。

 猫缶の後ろでラガーマンこと巨大なゴリラに首を絞められている男性プレイヤー_名前はTK。

 シルクハットを被りタキシードを着たマジシャンのような格好をしている。顔には片目から涙を流しているような装飾のある銀色の仮面をつけており、表情を伺い知ることはできない。常に明るく、誰にでも人懐っこい彼はギルドのムードメーカーだった。

 みんなが喋っている中、黙々と花火を設置している金髪長髪のエルフの男。プレイヤー名はモリオ。

 現実世界でcgのモデリング制作をしている彼のアバターは、美形を作りやすいユグドラシルの中でも突出して綺麗な顔をしており、どんな角度から撮影しても絵になるので、写真を撮る時はとりあえずモリオを呼ぶというのがギルドの常識だった。

 

 懐かしいメンツと言葉を交わしながら、イリスは感心していた。全盛期の人数からはかなり減ってしまったものの、よくこれだけ集まれたものだと。イリスとラガーマンは高校生だが、他のメンバーは皆社会人だったはずだ。__いや猫缶はニートだったか。現役時代から忙しい忙しいと口走ってはいたが、みんな実は暇なのだろうか?それとも皆を集めたギルマスことドラモンの人望故なのだろうか、いやそれは絶対にないな。とそこまで考えたところで、イリスはあることに気がついた。

 

「あれ、メンバーこれだけ?そういえばドラモンさんまだ来てないんですか?」

 

 イリスがそう聞くと、ユウジはバツが悪そうに頭を振り、これ言ってもいいのかなー…などとぶつぶつ呟きながら何か誤魔化すように返事をした。

 

「んん、今買い物中らしいからそのうち来ると思うよ」

「なんか誤魔化しませんでしたか?今」

「なんにも無いよっ!ほんとに!よっしゃ、ドラモン帰ってくる前にさっさと花火並べちまおうぜー!」

「だからさっきからそう言ってるじゃん。マジで早くしないと終わんないよ?」

 

 んー??とイリスはユウジの顔を下から覗き込むが、さっと顔を背けられてしまった。もっと追求してやりたいが、なにやらモリオの機嫌が良くないので後にしようと気を使い、イリスも花火並べに加わった。

 

「そ、そそそれにしてもよくの、残ってましたよね」

「ん?何が」

 

 モリオの指示通り花火の詰まった樽を並べていると隣に来た猫缶が話しかけてきた。

 

「こここですよここ!ぎ、ギルド拠点!て、てっきり崩壊してるとお、思ってましたから」

 

 天空城ラヒュテル。アースガルズに悠然と浮かぶ白亜の巨城を猫缶が指差す。

 数あるホーム系ダンジョンの中でもトップレベルの攻略難易度を誇る巨城で、ギルド拠点の規模を測る指標によく使われるnpc制作可能レベルはなんと初期値3000。小さい城程度のダンジョンがnpc制作レベル700なのを考えるとおよそ4倍以上の規模になる。

 当然そんな大きな拠点になると維持費がばかにならないのだ。また、イリスがいた当時は難攻不落を謳っていたものの燃費は最悪で、節約など一切行っていなかった為、攻略班とは別に集金班なるものを作り何とか収支をプラスにしていた。流石にその頃と比べたら節制していたのだろうが、多くのプレイヤーが抜けた後に維持できるものではない。

 

「あー確かに!拠点維持費って結構えげつなかったよね?私抜けてからも皆ちょくちょくやってたんですか?」

 「俺もイリス抜けてからすぐ引退したから知らねーなー。ユウジさん金入れてたんすか?」

「ギルド維持の?まさか!なんだその無駄金。てか一緒に辞めただろうがTてめーふざけんな」

「ぶえっ」 

 

 ガツンと樽で殴られたTKが地面が割れるエフェクトと共に沈む。タキシードを着た身体がペコリと地面にめり込む様はなかなかに滑稽だ。

 

「じ、じゃあ誰が」

「ギルマスしかいねーだろ。ここがあるってことは結局最期まで残ってたんだろ?まあ貯金はギリギリだろーけどな。最終日まで残ってんのは奇跡だな」

「まあ…そういうことだわなー」

「ど、ドラモンさんには感謝、で、ですね」

「ちょっと異常だけどな」

 

 ラガーマンの発言に皆少し黙った。苦笑いを浮かべているのが表情の無いアバター越しにも伝わってくる。

 実際イリスもサービス終了日までギルド拠点を維持していたドラモンには、驚愕を通り越して若干引いてしまっていた。ユグドラシル愛の強い人とは思っていたがまさかここまでとは…。

 だが猫缶の言う通り、彼の愛のお陰でこうして皆でギルド拠点に集まって楽しく花火をすることができたのだ。そこは素直に感謝すべきだと思った。夢も希望もない現実世界から少しだけ目を背けることができたのだから。

 そう思った矢先、モリオがふっとつぶやいた。

 

「減ってないよ、貯金」

 

「は?」

「だから減ってないんだよ、ギルドの資金。むしろあの頃より増えてる。」

 

 皆がモリオを見つめる。アバターに隠された感情は勿論、何を言ってるんだコイツは?である。

 

 「そんなわけねーだろ。てことはあれか?新しいメンバー組んでたのか?あの人。水くせーことしやがるなあ」

「まあそれはしょうがなくない?流石に一人じゃやってけないしさ。まあ誘って貰えなかったのは少し寂しいけど。」

 

 辞めといて言うことじゃないかー。と自虐気味に笑いながら、少し憤慨気味のラガーマンをTKが宥めているとまたしてもモリオが呟く。大樽をじっと見つめながら。

 

「一人だよ。ずっと一人だったっぽいよあの人」

 

「んなわけあるかよっ!」

「さ、流石にそ、それは難しいんじ、じゃ?」

「あーなんかヤバめな流れになってきたぞー!もう黙れ!モリオ!」

 

 頭を抱える仕草をしながらビシッとモリオを指差しTKが叫ぶ。そんなTKにお構いなしにモリオは続けた。

 

「俺もここに来て思ったんだよね。なんでまだ拠点残ってんだろって。そんでさ、さっきラガちんが言ってたみたいに貯金の残りが気になって行ってみたんだよ。スカスカになった宝物庫が見てみたくて。そしたらさ」

 

 樽に手をついて立ち上がりモリオは皆を見渡しながら言う。

 

「俺らの全盛期以上のゴールドの山だった。みんなここの宝物庫の広さ知ってるよね?あの中天井までゴールドでぎっしり。」

 

 皆何も言わない。さっきまで騒いでいたTKも続きが気になるのかさっきのポーズのまま黙っている。巨女とアンデッドみたいな奴とシルクハットと鎧が樽の前で黙っている光景がシュールで、思わず笑いそうになってしまう。

 

 「当然気になるわけじゃん?どうやってそんな金集めたのかなってさ。んでさ、調べてみたんだよ」

「な、なにを?」

TKが聞く。

「ギルマスのログイン履歴。ほら、見れるじゃん?王の椅子の端末でさ。マジでビビったよ…どれくらいログインしてたと思う?」

 

 どれくらい…それだけの金を集めるくらいだから毎日欠かさずログインしてたのだろうか?だとしたら凄い執念だなと思った。

 誰かが帰って来るかもわからないギルド拠点に、一人で毎日金を入れ続ける。考えられない。てか仕事しろよ。と思わず心の中でツッコミを入れてしまうほどだった。

 チラリとラガーマンを見ると同じ事を思ったのかアバター同士の目が合い、ふっと呆れたように笑う。

 だが、次に続くモリオの言葉は想像を絶するものだった。

 

「今まで毎日、24時間ずっっとログインしっぱなしだったんだよ」

 

 絶句。開いた口が塞がらないとはこのことだろう。無理もない。モリオの話が真実ならば、ドラモンは現実世界に一度も帰ることなく、この電脳世界の中でひたすらにゴールドをかき集めていたことになる。

 はっきり言って異常だ。と言うかそもそもそんな時間ログインすることなど本来不可能なのだ。

 vr自体にセーフティーがかかっており、8時間以上プレイできなくなっているし、そもそも体内に充填されているナノマシンが切れれば、vrとのリンクも切れてしまう筈である。

 ゆえにこれは嘘、作り話と断定してしまいたくなるが、問題はこの話をしているのがモリオという点である。イリスの知っている限り彼はそんなしょうもない嘘をつくような人間ではない。寧ろ嘘がつけないタイプの人間だ。そんな彼がこんなに流暢に嘘をつけるだろうか?そんな矛盾による気持ち悪さが重たい空気となってイリス達を包み込んでいた。

 

 「流石にバグじゃねえか?24時間ぶっ通しは無理だろ。点滴でもしながらプレーしてんのかよ」

「だ、だよなー。いくらドラモンさんが超人っつっても無理あるぜ?その設定?残念だったなモリオ!」

「そうだよー。あのユグドラシル廃人にも限界ってもんがあるんじゃないかなー。」

「じゃあ見に行くか?みんなで」

 

 皆が黙る。見たくない。見てしまったら嫌でもこの話を肯定せざるを得なくなってしまう。大体なぜ楽しいお別れ会のはずが、こんなホラー映画の冒頭みたいな雰囲気になってしまっているのか。モリオいい加減にしろ。

 

「そんなぶっ通しでvrやってたらさ、もはやこっちの世界の住人な訳じゃん?そんな人間がサービス終了日にわざわざ元ギルメン呼び出してさぁ__なにするつもりなんだろうね?」

 

 天空城から覗く広大なアースガルズの夜景を背にモリオが問いかける。投げかけられた問いの意味を考えた時、ゲームだから寒さなど感じないはずなのに、冷気に対する完全耐性を持っているはずなのに、背筋が凍るような怖気が走った。

 ずっとログインし続けていたドラモンからすれば、ユグドラシルは紛れもなくもう一つの世界で、寧ろ現実世界こそが虚構で、そんな彼にとってサービス終了日とは世界の終わりを意味するわけで。そんな彼にどうしても来て欲しいと言われたイリス。…心中でも迫られるのだろうか。イリスの全身に無いはずの鳥肌がスタンディングオベーションしている気がした。

 周りを見渡すと皆唸るように黙り込んでいる。そう言えばとさっきから存在を全く感じないユウジの方を見ると、三角座りで両耳を塞ぎ、大きな体を必死に縮めて震えていた。ユグドラシルで耳を塞ぐと言う行為は、全く意味をなさないのだが。

(そう言えばユウジさんって大のホラー嫌いだったな)

 イリスは可哀想にと憐れみの視線を向けていると、

 

「なーんてな!!ダハハハハッ」 

 

 跳ねるように皆の顔が上がる。笑っているのは勿論モリオだ。

 笑いの意味は明白である。

 

「え?え?」

「やりやがったなモリオぉ…」

「嘘に決まってんだろうが!ダハハッ無駄話ばっかして花火並べないからちょっとからかってやっただけだよぉ!」

「お、お前ぇ!!ちょっと本気でギルマス心配しちまったじゃねーかよ!!」

 「ユウジとか必死で耳塞いでるしなー!!意味ねぇっつーの!!ギャハハ」

 

 シルクハットが狂喜乱舞している。さっきの話でドラモンを怖がるのではなく心配している所が実に彼らしいと思った。かく言うイリスは本気でドラモンに恐怖したので冗談ではなかったが。

 

「モリオ…後でワールドブレイクだから」

「げぇっそれは勘弁、100レベのままサービス終了させて。」

「いいぞーイリス。私が抑えといてやるからぶった斬ってやんな」

「っし俺も混ぜろ、マジでコイツ殺す」

「うげー!!離せー!元はと言えばお前らが花火」

「「花火花火うっせぇ!!お前が花火になるんだよぉぉ!!!!」」

「うぎゃぁぁぁぁあああああああああああ」

 

 ワールドチャンピオン二人による最強の攻撃が炸裂し、アースガルズの上空に特大の花火が打ち上がった。

 複数の大樽に詰まったそれを巻き込んだ一撃の瞬光は、束の間ではあったがユグドラシルのどこにいても見えるほど眩い光だったという。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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