「あかねこ。」の名前で活動するネット配信者の女性は、「私は『ネトゲ廃人』でした」と告白する。ネトゲ廃人とは毎日のように長時間ネットゲームに没頭する人のこと。1日十数時間プレーしていたあかねこ。はゲーム仲間らに「絶対やったほうがいい」と勧められて5年半前、配信者に転身した。

配信者のあかねこ。(写真=あかねこ。提供)
配信者のあかねこ。(写真=あかねこ。提供)

 以来、KADOKAWAの子会社ドワンゴが運営する動画配信サービス「ニコニコ動画」を中心に活動しており、ゲームをプレーしながら実況する「ゲーム実況」のほか、雑談、コスプレ、旅行、料理などの様子を生配信している。多くのファンに支えられており、有料チャンネルからの分配金や、視聴者からの「投げ銭」などで生計を立ててきた。

 だが6月8日にニコ動が突然サービスを停止した。サーバーやパソコン内のデータを使えなくし、「元に戻してほしければ『身代金』を支払え」と恐喝する「ランサムウエア」というウイルスを使った、大規模なサイバー攻撃に遭い、システムがダウンしてしまった。ドワンゴは7月末まで生配信サービスを中止するとしている。

 あかねこ。は、「ハッカーには『大好きな場所を返してほしい』と言いたい」と語る。

 あかねこ。が得意としているのはシューティングゲームなどだ。彼女が敵をバンバン撃つ姿がニコ動で見られるのは8月以降になりそうである。

 「バン、バン、バン」

 密林から響く銃声を、コロンビア国軍兵士たちがパトロール中に耳にした。数時間後、国軍兵士らは地面に横たわるアジア系男性の遺体を見つけた。間もなく遺体の身元が、矢崎総業の現地法人を率いる日本人の副社長だと分かった。

 副社長は地元の犯罪グループに拉致され、左翼ゲリラ組織のコロンビア革命軍(FARC)に売り飛ばされて人質となっていた。FARCのメンバーは、国軍兵士らがパトロールしている姿を目撃して、慌てて副社長を射殺してしまった。拉致から2年9カ月がたった2003年11月、誘拐事件は最悪の結末を迎えた。

コロンビア革命軍(FARC)の戦闘員ら。日本人ビジネスマンを頻繁に誘拐していた1999年当時に撮影(写真=ロイター)
コロンビア革命軍(FARC)の戦闘員ら。日本人ビジネスマンを頻繁に誘拐していた1999年当時に撮影(写真=ロイター)
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