コ ントラクトブリッジの作法
細かいルールを覚えて、気持ちよくプレイしましょう。
全般的な作法 オークション中の作法 プレイ中の作法 Q&A
全般的な作法
よくあるトランプゲームでは…- ブリッジが、ばば抜きや七並べなどのトランプゲームと決定的に違うのは、プレイ中の会話でしょう。下はトランプゲームでよくある会話で す。
- 「お、今回はいい手がきたぞ。えへへ。」
- 「スペードのQ持ってるの、だれ?」
- 「ちょっとまった、やっぱり、これやめる。 」
- 「負けてあげたいけど、これしかないから勝っちゃうよー」
- (目配せしながらカードを出す)「協力してよー?」
ところが、こういう会話、動作は、ブリッジではルール違反、マナー違反 になります。ブリッジの楽しみはこういう会話の外にあるのです。ブリッジは、フェアプレイの精神でプレイしなくては楽しめません。ブリッジの諸作法を覚え て、全員が気持ちよくプレイしましょう。
常にスマイルで沈黙を守る- 自分の手の内容や気持ちを、言葉や表情、動作に出して相手に伝えるのはルール違反 。わざとでなくてもだめなんです。だから、ものすごーい強い手が来ても、つま らないほど弱い手がきても、いつも同じ顔でニコニコとプレイしましょう。また、たとえば、ディフェンダーでパートナーが自分の打って欲しいスートを売って くれなかったとしても、「ちぇっ」とか舌打ちしてはいけません。
- ブリッジで 気持ちを伝えることができるのは、ビッドの言葉(パス、ワンノートランプ,ツースペードなど) と、プレイするカードの内容だけです。
最初に裏向きで枚数を数える- ブリッジは、ばば抜きなどと違って、4人全員が確実に13枚ちょうどのカードを持っていなければ成り立たないゲームです。ですから、 カードは全部配り終わってから手にとり、まず裏向きのまま、13枚ちょうどかどうか確認 します。たまに、12枚の人と14枚の人がいる場合がありますが、表を見ていなければ大丈夫。多い方から少ない方の人が1枚抜いてください。
手を見ない見せない- 当然ですが、ブリッジでは覗き見は禁止です。それに、自分のカードを人に見せるのももちろん禁止。偶然落としてしまったら?それもパート ナーに見えた場合には、罰則規定があります。(パートナーがパスしか言えなくなるとか!)
- また、自分のカードは 胸の近くでしっかりと立てて持ちましょう。プレイに熱 中してくるとだんだん水平に近くなるので気をつけましょう。カードが見えそうなのは他のプレイヤーに失礼にあたります。
なあなあにしない- 「このトリックだけ、こっちの勝ちにしてよ」、とか、「残りトリックはそっちが勝ったことにしてあげるよ」とか、スコアを相談で決めるのはルール違反です。とくに、デュプリケートの試合では、スコアの交渉は そのペアだけの問題ではなく、他のプレイヤーのスコア破壊にもつながるので、絶対に許されません。
オークション中の作法
ビッドの取り決めは自由- パートナー間で、たとえば、「他の人がまだパスしか言っていないときにビッドするとこのくらい強い」とか、「ビッドしたスートは必ず4 枚以上持っている」とか、「4NTはAの枚数を尋ねる意味にしよう」とか約束をするのは自由です。 どんな取り決めでも構いません。
- でも、ビッドをするときの 声の大きさとか調子とか、テンポとかについての約束はいけません。大きい声で「ダブル」といえばペナルティ、小さい声で「ダブル」 はテイクアウト、とか決めるのはだめなのです。 例えばP-1H-?の状況でダブルを言ったらこんなふうな手だよ、というように、オークションの流れ に対して取り決めます 。そして、自分とパートナーは、同じ取り決めを使ってなくてはいけません。
- このような ビッドの取り決めの体系をビディングシステムと呼びます。世の中にはいろんなビッディングシステムがあって、16HCP以上の強い 手はすべて1Cオープンとか、なかにはパスが強いというようなものまであります。
取り決めはすべて覚えておく- 正式な対戦では、 プレイ中にパートナー間で、「そのビッドの意味は何?」と尋ねあったり、メモ等を見ながらビッドしてはいけません。取り決めはプレ イがはじまる前までに打ち合わせをして、すべて覚えておきます。
取り決めは公開すること- パートナー間で秘密の取り決めをしてはいけません。 原則として、取り決めはす べてあらかじめオポーネントに説明 しておきます。ただそれだと時間がかかる場合は、紙に書いてオポーネントの見える場所においておいたり(コンベンションカードといいます)、 特別な意味のビッドが起こった時点で、ビッドした人のパートナーが「アラート(注意!)」と言ってオポーネントにそれを知らせます 。(自分でアラートと言いながらビッドするのではありません)。
- オークション中に、 オポーネントにビッドの意味を尋ねられたら、ビッドした人のパートナーが、取り決め内容だけをきちんと説明します。例えば、1NT オープンの意味を尋ねられたら、「ハイカードポイントが15から17で、バランススハンド、5枚以上のメジャーはありません」などと言います。 自分の手から想像されるような内容、例えば、「(自分のダイヤが0枚なので)たぶんダイヤが長いんじゃないかな」とかは言ってはだめ。
ビッドの意味がわからないときは- アラートの有無に関わらず、オポーネントのビッドの意味がわからないときはいつでも、 取り決め内容を尋ねることができます。ただし、自分のビッドの番になるまで待ってから、ビッドをした人のパートナーに尋ねます。
- オポーネントが「アラート」をした場合など、意味がわからないビッドでも、すぐにそのビッドの意味を尋ねなくても構いません。オポーネント同士で意味を間 違って覚えている場合もあり、それに気付かせてしまうことにもなるからです。 すべてのビッドが終わってから、プレイの前にビッドの意味を尋ねることもできます。
ビッド経過は復唱してもらえます- 初心者のうちは、いままでのビッドを全部覚えておくなんて無理、と思うかもしれませんが、大丈夫。 オークション中は何度でもビッド経過を確認しなおしてよいことになっています。ビッド用の紙に書いている場合や、ビッド用のカード を使っている場合、オンラインでのプレイではすぐに見えますね。普通に口でビッドしている場合には、「ビッドの復唱をお願いします」と言ってオポーネント に尋ねればいいのです。 ただし、尋ねるのは自分のビッドの番にしましょう。
- でも、オークションが終わってプレイが始まったら、もうビッド経過を 見たり尋ねたりしてはいけません。
- オープニングリードをする人は、リードのカードを出す前まで、そのパートナーは、自分の最初のプレイの前までは、ビッドを再確認してもよいこ とになっています。
ビッドを間違えたら- 一度口に出したビッドを言い直すことはできません。パート ナーに不当な情報を伝えることになるからです。ただ、オンラインのゲームやビディングカードを使った場合には、ミスクリック等で意図しなかったビッドが出 てしまうことがありますね。このようなときに限り次の人がビッドをする前にすぐに言えば訂正できます。
隣の人が何かコールしたあとでビッドの間違いに気付いた場合、たとえミスクリックであってももう訂正はできません。 「あっ」という言葉を飲み込んでください。間違ったビッドだということがパートナーに知れてはいけません。平然とビッドを続行しなくてはいけないのです。
取り決めとは違うビッド- パートナーもオポーネントも同様に誤解している限り、取り決めと違うビッドをする のはルール違反ではありません。例えば、1H(ワンハート)というビッドは取り決め上4枚以上のハートを保証しているのに、ハート を2枚しか持っていなくてわざとこのビッドをしたとしても、パートナーもオポーネントも同様にそれを4枚以上と信じているのであれば、全くルール違反では ありません。しかし、何度もうそをついていれば、パートナーから信用されなくなり、よいブリッジができなくなることも事実です。
- ブリッジでのビッドの取り決めはルールではなく、言語に近いもので す。何語を話しているのかは完全に公開する必要がありますが、よいスコアを得るという目的のために、どのようにその言語を使うか、つまり表現の仕方は個人 の判断で決めるものです。
プレイ中の作法
オープニングリードは伏せて出す- オークションが終わるとオープニングリードですが、このとき、どっちがディクレアラーになったかを間違えやすいですね。それで、オープ ニングリードする人(ディクレアラーの左隣)は、リードするカードを選んだら、 まず裏向きに伏せてテーブルに出し、パートナーに確認を求めます。パートナーは、「どうぞ」とか「お願いします」と言うか、手を差 し出すなどの動作で、リードを促します。
- もしこれをしないで、間違ったサイドからリードが出されて、みんな(とくにパートナー)に見えてしまったら、罰則規定(その見えたカー ドのスートのリードを要求または禁止されるなど)がありますのでご注意を!
カードの出し方- カードを出すときは、場の真ん中に集めたりせず、その回のトリックが終わってカードを伏せるまで、 手に持ったままにするのが普通です。4人のカードが混じってしまうと、プレイ終了後もう一度手を見たくなったときとかに困りますか ら。
- もちろん、一度抜いたカードは元に戻すことはできません 。とくにディフェンダーの人は、間違ったカードがパートナーに見えてしまうとアンフェアになりますから気をつけましょう。
納得いくまで見せてもらおう- 自分がまだよく見ていないのに他の人がカードを裏返してしまうこともありますね。そんなときは、 自分がカードをまだ裏返していなければ、他の3人にカードをもう一度表にしてくれるように要求できます。誰がトリックを勝ったかだ けでなく、3を出したか5を出したかまでじっくり見たい場合だってありますからね。
しかし、プレイし終わって裏向きに並べたカードは、たとえ自分のであっても覗いたりしてはいけ ません(次トリックのリードが出される前なら自分の最後にプレイしたカードは覗いてよいことになっています)。
ディフェンダー間の約束事- ディフェンスのとき、例えば「オープニングリードでQをリードしたら必ずJも持っている」とか「2をリードしたら必ずそのスートが4 枚」とか「Kのリードに9をフォローしたらそのスートを打って欲しいという意味」など、あらかじめパートナー間で 出すカードの種類によってその意味を取り決めることは自由です。ただし、ゆっくり出したらこういう意味とか、右手で出すときと左手 で出すときは違うとか、目で合図とか、そういうのはもちろんだめ。
プレイの取り決めも、オポーネントに秘密にしてはいけません。あらかじめオポーネントにはこういう約束ですと説明しておきます。ただし、ビッドと 違って、 プレイ中に「アラート」したりはしません。また、取り決めとは違うプレイをしても、パートナーもオポーネントと同様に誤解をしてい る限り、ルール違反ではありません。
クレーム- オポーネントのプレイに関係なく、あと何トリック取れるのかが明らかにわかる場合に は、時間短縮のために、自 分の手を広げて皆に見せ、何トリック勝つのかを説明して宣言します。たとえば「もう切り札はディフェンダーにないはずなので、この ダイヤのAKQとCAは勝てます。だからあと全部とります。」のように言います。クレームをしたら、その後のプレイはせず、結果を確認しあってそのボード (ディール)は終了です。
ディクレアラーは、どうみてもクレームできる状態になった場合には、しつこくプレイしないでクレームしなくてはなりません。でも、ディフェンダーに わかりにくいクレームは避けましょうね。
- あまりないことですが、ディフェンダーも、自分の手がすべて勝てるカードと確信できる場合にはクレームして構いません。
Q&A
「ディレクター」って何?- 競技ブリッジでは、以下のような不測の事態が起こったときにそれを解決するための規則( コ ントラクトブリッジの規則1997年版 )があります。 その規則を覚えて、試合中の問題を裁定してくれる係りの人が「ディレクター」です。「ディクレアラー」と「ディレク ター」、似てますが、全く別の人。 試合中、何か問題が起こったら、恥ずかしがらず、面倒がらず、また相手に腹を立てずに、手をあげて「ディレクター!」と呼びましょう 。自分たちだけで勝手に処理するのはよくありません。
- ディレクターは、デュプリケートブリッジの試合会場には必ず、公認クラブにも最低1人はその資格を持つ人がいることになっています。
- 以下は、練習や 家庭で遊んでいるときなどの対処法(簡易バージョン)です。競技会の裁定は必ずしもこの通りではありませんので、必ずディレクターを呼んで くださいね。
カードを落として皆に見えちゃった!- ブリッジは、見えない手を推理するのが面白いゲームなので、他の3人にカードを見せてしまうのは、非常に悪いマナーです。十分注意しま しょう。
それでも見えちゃった場合の対処法。ビッド中にカードを落として他のプレイヤーに 見えちゃったら、すぐにディレクターを呼びます。練習中の対処法は、落としたカードが1枚で、アナー(AKQJ10)でなければ、ビッド中 そのカードをテーブルの上に出したままにしておくだけで、普通にビッドします。でも2枚以上だったりアナーカードだと、パートナーは次のビッドの番で強制 的にパスする決まりです。
人のカードが見えちゃったら気分が悪いし、オークションが始まる前だったらシャッフルしなおした方がいいですね。気をつけよう!
- プレイ中に、ディクレアラーが間違って余計なカードを見せてしまった場合はそのまま手に戻してOK です。でも、ディフェンダーがパートナーに見せてしまったカードは不当な情報になるので、すぐにディレクター を呼んで見てもらいます。簡易対処法は、間違ってパートナーに見えてしまったカードは「ペナルティカード」 と言って、テーブルの上に表向きにおいておきます。実際には細かい規定がありますが、出せる最初の機 会に出せば大体OK 。パートナーはそのカードを見なかったつもりでプレイしなくてはいけません。
ありえないビッドをした!- オンラインでは起こりませんが、自分がディーラーではないのに最初のパスやビッドをした(順番外のコール)、とか、前の人が2H(ツー ハート)とビッドした後で2C(ツークラブ)と言って しまったり(不十分なビッド)することは、実際のブリッジの練習中にはよくあることです。
これらの間違いがおこったら、すぐにディレクターを呼びます。練習中の対処法は、次 の番のプレイヤーがそのパスやビッドを受け入れて そのままオークションを続けることができ、そうすればノーペナルティに なります。受け入れないこともでき、その場合訂正することになりますが、例えば2Hの次に2Cを言っ てしまった場合、3Cかパスに訂正すればノーペナルティです(ただし、2Cも3Cもクラブスートを意図している場合に限ります)。
それ以外の、2Cや3Cが特別な取り決めの可能性がある場合や、別のスートへの訂正をした場合、以降パートナーはずっとパスしか言えなくなり、ディ フェンダーになった場合にはオープニングリードの制限などがあります。ちょっとやっかいですね。気をつけよう!
「アラート」って何?- 特別な意味のビッドがあったとき、オポーネントにそれを伝えるために、ビッドした 人のパートナーが言う言葉 です。自分たちが、意味を覚えているかどうかの確認のために言うのではありません。
- アラートとは、"alert" = 「気をつけて」 という意味。特別なとり決めを使う人は、パートナーのビッドをいつもよく聞いて、 オポーネントの知らないかもしれないビッドのときはすぐに「アラート!」と言わなくちゃいけません。
「コンベンションカード」って何?- パートナー間で複雑な取り決め(ビディングシステム)を使う場合、その内容を紙に 書いたもの をサイドテーブルにおいておきます。これのことをコンベンションカードといいます。スペード、ハートのオープンは5枚、ダイヤは4枚、クラブは3枚保証な どからレイズのしかた、使用するコンベンションまで細かく書いておきます。
- コンベンションカードは自分が見てビッドするためではありません 。オポーネントが、意味のよく分からないとき、言葉で尋ねることなくいつでもそれを見るためです。自分は見てはいけません。練習のときなら、もちろん、見 ながらでも構いませんが。
カードを出す手元を見られている気が…- 他のプレイヤーがカードを出すときの手元を見て 、何のカードか、とかそれより強いカードが持っているのかどうかなどを推量するのはルール違反 です。手元は見ないで出されたカードだけを見ます。
「リボーク」って何?- フォローできるカードがあるのにフォローしないでラフやディスカードをした場合 を「リボーク」と言います。もちろんルール違反です。リボークに気づいたら、すぐに言いましょう 。試合中ならすぐにディレクターを呼びます。
簡易対処法は、次のトリックに移る前なら正しいカードに取り換えます。ディフェンダーのリボークの場合は、パートナーに余計なカードを見せてしまっ たこと(不当な情報)になるので、ペナルティーカードとなって、その他の規制も出てきます。
以降のトリックをいくつかプレイしてしまったあと、リボークに気づいた場合、結構面倒なことになり、ディレクターの裁定で、トリック数を修正された りします。
ビッドの説明を間違えた!- オポーネントにビッドを意味を尋ねられたとき、間違って説明してしまった場合です。
- 自分がした説明が間違っていた、と気付いた場合は、すぐにそれを皆に言います。
でも、自分がしたビッドについてパートナーが実際の取り決めと違う説明をしたとしても、それを 指摘してはいけません。パートナーに間違いを気付かせるような行為をせず、平然とオークションを続けなくてはいけないのです。それ だけでなく、パートナーが意味を取り違えているということを知らなかったつもりのビッドをしなくてはいけません。そして、オークションが終わって、あなた がダミーまたはディクレアラーになった場合は、オープニングリードの前に間違いを説明しましょう。ディフェンダーになった場合には、ビッドが終わっても説 明せず、プレイ中も平然と頑張ります。全部終わってからみんなに謝りましょう。
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