王子ネピアに下請法違反勧告 マスク発注取り消しで公取
マスク製造を委託した下請け業者への発注の一部を不当に取り消したのは下請法違反に当たるとして、公正取引委員会は16日までに、紙パルプ加工品などの製造販売大手、王子ネピアに再発防止を勧告した。
公取委によると、王子ネピアは下請け1社と2021年度で委託を終了することで合意し、1年間の発注書を交付した。だが、途中の21年12月に発注の一部取り消しを通告。当初の発注数量の約3割に当たる製品は、製造しても受け取らないとした。
下請けは既に製造に必要な不織布や内装袋などの資材、人員を手配していたが、王子ネピアはこの不利益分を負担しなかった。
公取委は、発注取り消しは、王子ネピアが同様の製品をグループ会社で生産できるめどが付いたことや、マスク需要が減ったことが理由で、下請けの責任ではないと判断。下請法が禁じる「不当な給付内容の変更」に当たると認定した。
王子ネピアは公取委の調査開始後の昨年11月、下請けが負担したマスクの資材代や保管料などとして、総額2600万円超を支払った。勧告を受け「コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努める」とのコメントを出した。〔共同〕