NHKの「偏向」を問う―NHKの震災報道「能登半島地震農業用ハウス避難所報道」から―
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農業用ハウスを避難所に、という報道への違和感
きっかけはSNSでまわってきたポストに感じた違和感だった。
ニュースソースはNHKのこの記事である。
記事によると輪島市長井町での話らしい。
膨れる違和感
確かに農業用ビニールハウスである。さほど大型ではない単棟タイプのビニールハウスのようだ。トマトなんかでよく使っている感じのものである。
まあ、公設の避難所に入れない!そりゃ大変だねえ…と、一瞬おもったものののなんだかんだで田舎の話である。
公設の避難所に入らず、集落ごとに私設の避難所が設営されるというのは、東日本最震災でもあった話であり、そういうケースじゃないか?ともふと思う。
だが、東日本大震災の時に被災地ど真ん中の私設の避難所(寺だが)に世話になっとった従姉、物資はわりと初期から入ってたといっていた(地元の冷凍倉庫から物資として回ってくる牡蠣を使った牡蠣カレーの連続には少し閉口したようだが…w)。
となると、配布や輸送の人手の問題かなあと思えてくる。
NHKのカメラが入っているのに、物資が全く入っていない…というのにも少し違和感がある。
私設の避難所であっても、物資が受け取れる公的な仕組みは、東日本大震災以降にできている。
被災地の困難と行政の問題を思わせる報道ではあるが…
いや、大変でないとはいわない。
明らかに大災害であり、被災した方が大変なのは確かである。
その点に関しては、心よりお見舞い申し上げる。
問題は報道である。
NHK記事中では、高齢の寝たきりの方を抱えたご家族の苦悩などが語られ、真顔にうけとってしまうと「これはどうにかしなくてはいけないのでは」という気にもなるのだが…
ああ、違和感ばかりが膨れ上げる。
農業用ハウスの持主…それなりの農家だろう。
持主は?とか、それなりの農家なら市役所とのパイプくらいあるよな??とかいろいろ頭をもたげてくる。
NHKの記事中に出てきたこの写真がどうにも違和感がある。
山林?をバックにハウス内に点灯した写真が添えられている。
なかなかうら寂しげな写真である。
後方に写り込む、電柱の様子が、地震の激しさを物語る。明らかに大災害であり、古い家屋等への被害が発生していることは推測が付く。
ハウスは常設で何年かその地にあったものといった感じだ。
違和感が止まらなくなったので、とりあえず「輪島市長井町」から調べ始める。
でもね…、長井町にこのハウスが…こういう感じで写るような場所、ないんですよね。長井町だと、農業用ハウスは殆どがもっと開けた場所に建てられている。山林がすぐ背後のように写るポイントが見当たらない。
報道された地名が間違っている?
さてここからが問題だ…
インタビューに応じた道下貴寿さんの名前で検索すると、石川県のWebサイトで公開されている政治団体の収支報告書が真っ先にヒットした。
そして、道下氏が後援されている高田正男氏で検索すると、同じ所在地でもう一つ、政治団体の収支報告書が出てくる。
リンク元が下記であることから考え、両団体とも令和4年に解散しているものと思われる。高田氏が高齢で引退されたのではないだろうか?
この報告書については深追いする必要はない、問題はNHK報道のほうだ。
もしかして、「長井町」が間違いで「稲屋町」なんじゃないか?
そう思い、グーグルマップ(航空写真)を再度眺めると、ここなら林をバックにとれる、というポイントを発見。
あっさり、国道249号線沿いの畑地に建てられたビニールハウスであると判明した。
稲屋町は長井町の隣のエリア、長井町よりも海よりのエリアである。輪島市の中心街からは1.5~2キロ。
NHKの写真のイメージとはかなり異なる。
ここのハウスに避難されていた方というのは、稲屋町の、この場所近辺の集落の方達…ということではないだろうか?
とりあえずNHKが地名を誤って報道したということは間違いないだろう。
故意か過失かはわからない。
さらに深まる謎…公的リソースへのアクセス可能性から
もうちょっと追っかけていこう。
引退したと思しき「元政治家」を引っ張り出すのは、やや恐縮なのではあるが、もうちょっと引っ張らせてもらう。
高田氏は平成19、23、27年の市議会議員選挙で当選なさっていますから、少なくとも3期、あるいはそれ以上。輪島市それ自体と密接なかかわりをもっていた方です。
令和3年秋の叙勲で、輪島市議会副議長などを歴任、地方自治へ貢献等で、旭日双光章を受けておられることが、輪島市の広報に掲載されていた(下記)。
https://www.city.wajima.ishikawa.jp/docs/2018110100020/file_contents/2021-12.pdf
その高田正男氏の後援会長であった道下氏が、輪島市災害対策本部等の公的リソースにアクセスすることを想定できないという可能性は、極めて低いと言わざるを得ないだろう。
輪島市によって避難所が開設されていた公民館までは数百メートル、同じく避難所が設置されていた小学校までは1キロ弱。
アクセス困難とはいいがたいだろう。
NHKの報道を見ると「放置されている」といった印象を受けやすいが、その可能性は極めて低い。
どういう経緯で私設避難所の報道にいたったのだろう?
令和6年能登半島地震での交通網への被害は甚大で、こと能登半島先端部にある輪島市へのアクセスルートは極めて限られ、輪島市内で集落の孤立は起った。
そこにもってきて渋滞が発生したりしていたため、発災後間もない時期には、輪島市自体が「孤立気味」であったとはいえる。
とはいえ、この私設避難所は、いわゆる「孤立集落」ではない。
なぜNHKはここを取り上げようとしたのであろう?そして
集落内の誰かから取材要請でもあったのか?
NHKとかつて繋がりがあったのか?
いろいろなケースが想像できる。
これは「取材の秘密」ということで明かされることはないだろう。
NHKのこの報道は、かなり誇張した印象操作の要素がある報道であり、地名の間違いもあったということだけは、間違いないものと考える。
今回の能登半島地震、被害が深刻だったのは確かである、だが、だからこそ報道各社には、盛らない報道、印象操作に流れない報道がもとめられていたのではないだろうか?
NHKの価値がまた落ちた…といった感はぬぐえない。
ストリートビュー
解散したこの二つの政治団体の所在地の塀に、ある政治団体のポスターが3連で貼られているのを発見した。
ああ、政治団体の所在地として登録されているわけで、友党の宣伝をなさっているのは不思議なことではない。
ここから読者諸氏が何を考えるのか?
そこは私の関知するところではないが、とりあえず発見のご報告をしておこう。
NHKの「偏向」を問う
ここ数年というもの「NHKの偏向報道」という話題は、枚挙にいとまがない。検索すれば腐るほど出てくる。
弱者に寄りそうNHK?
傾向としては「周縁化されたカワイソウな弱者」に寄りそいすぎているのではないかと感じる。
「寄り添う」ために、事実の検証をすっとばして、無理やり物語を作ってはいないか?と感じる報道が少なくないのだ。
Eテレでは、しばしば「偏向?」と一部から批判される番組はあったものの、視聴者が少なかったので大きな問題には発展してはいなかったが、「弱者」「多様性」となると、タガが外れる感があった。
思い切りタガが外れた?感のあったのは「バリバラ」の「バリバラ桜を見る会」であった。
政府に対する皮肉の一つや二つ…まあ民放ならちょっとくらいはありかもしれないが、国民から徴収した受信料で運営される公共放送、NHKの福祉番組でこれっていいの?と思えるような、中立とは程遠い内容であった。
流石に多少の批判はきたのか再放送は中止されたようではあるが、再放送中止に対して「弾圧」「忖度」とのたまうむきもいた。
NHK首都圏ネットワーク取材メモ流出事件
2023年の晩秋「NHK首都圏ネットワーク」で放送前に「取材メモ」が流出し、NHKは重大な問題だとして記者会見までやっている。
流出自体も問題であり、なぜそれが可能であったのか等々も問題であるが「流出内容」が、法廷で係争中の案件における一方側からの視点で、インタビュー取材で構成した番組を放送しようとしたという問題も大きいと思う。
さらに、12月14日、取材協力者(≒ネタ元?)にNHK幹部?が一方の団体にお詫びが報道各社で報じられるという事態に。報じられるという事態になった。
この件については、別にnote記事を書いてるので、興味がある方はお読みいただければと思う。
そして、とうとう謎のニュースが全国を駆け巡った
初報はTBSであったが、NHKが全国放送した。
公共の電波を使って書類送検の段階で報道するような問題だったのか?
このニュースの裏で、書類送検された男性の著書が、京アニ事件模倣をほのめかす脅迫によって一部販売店で事件販売中止に追い込まれるという話があったのだが…NHKも他の大手メディアもそれは報じない。
これでNHKは「”困難な状態にある若年女性”を支援する団体」に寄りそう姿勢を前面に押し出した形になった。
「寄り添い・伴走支援団体」は取材源として便利だった?
Colaboという団体は、NHKの番組でも何度か取り上げられていた。
NHKは「周縁化された弱者への寄り添い・伴走」を謳う団体を、番組のネタの供給元として使いすぎてきたのではないだろうか?
今般のNHKの「周縁化した弱者への寄り添い全振り」という傾向は、東日本大震災後あたりからスタートし、14年頃からエスカレートしていったように記憶する。
NHKで報道あるいは、特集、ドキュメンタリー等で紹介されることで知られるようになった「寄り添い・伴走型の支援(団体)」は少なくない。
カタリバ、一般社団法人発達・精神サポートネットワーク(Necco)、Colabo、べてるの家、抱樸、当事者研究(東大先端研)…。
いつしか、「寄り添い・伴走型支援」の規定する「善悪」が、NHKの「常識」となっていったようにも思う。取材ネタの供給源としてそういった団体は、協力的であり、当初は使いやすかった面はあるのかもしれない。
しかしそれで中立性は保てるのだろうか?
誰が加害者か?誰が被害者か?を、一部の支援団体の解釈に依存してしまうのは、NHKが自らの中立性を放棄したと言わざるを得ないだろう。
そして、それはNHKに限ったことではない。
おわりに
冒頭に挙げた能登半島地震での私設避難所の報道も「寄り添い・伴走型支援」を重視したものと考えればわかりやすい。
しかし、それは本当に必要なのか?
ここ2年ほど、SNSでは一部支援系団体に関する公金チューチュー疑惑の話題も絶えないし、能登半島地震後、押しかけボランティアに対する危惧の声も多く出ている。
が、マスメディアは概してそういったSNSの論調をあまり取り上げない。
ここはひとつ
「その寄り添いは大丈夫?」
といった観点で、安全性・公共性等を再検証する時期なのではないかと思うのだが…。
マスメディアはどこをみているのだろう。
遠く昭和の「運動の時代」の影ちらつくような気がしないでもない。
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