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Conversation

私がこの世で最も感銘を受けた書物は、ベーコンの「学問の進歩」であるから、その最重要部分を要約して記す。 "人が神に近づく方法は、神がこの世に残された僅かなしるしを決して見逃さず観察し記録し続けることだ" いうまでもなく科学は観察と記録が源泉となる。人はそれで小さな太陽まで作った。 同じくベーコンの「ノヴムオルガヌム」には、人の観念がつくりあげたイドラ(偶像)が説明されている。 つまり、社会とはイドラにより退廃し、敗北し、神のしるしを集めることにより発展し、進化するのだ。 この偉大なる思想を発見したイギリスが戦争に負けるはずもなく、イギリスの思想を王政を除き踏襲したアメリカ合衆国が不敗の栄光を獲得し続けることにもはや疑いを容れる価値はない。 敗北とは観念により生じる。 失敗とは、神のしるしを集める機会である。 ただし、敗北者は観念に囚われ、同じ行為を繰り返す、同じ結果しか得られない。 勝者は異なる失敗を繰り返し、異なる結果を得る。 もし、あなたが、あなたが所属する家族が、共同体が敗北したならば、敗北の定義である自らの意思を実現できない状況にあるならば、 それはイドラを信奉し、神のしるしを見逃して記録していないからだ。 まず、毎日日記を書け。どのような些細なことも記録せよ。その中に勝利をもたらす情報が含まれている。 砂金が含まれる土砂をただ、外観が土砂というだけで丸ごと捨ててしまう愚者には敗北しか残されていないだろう。 私は、この20年間、ベーコン卿の精神に触れたそのときから、400年の時を隔てラテン語から日本語に変えられるほどに強い影響力をもった思想に触れて以来、 あらゆる経験を記録している。 この国の為政者は歴史を学んでいない。 だから、薄っぺらい。 かつてした失敗を繰り返している。 イドラを信じ、神のしるしを観察記録していない。 そういう共同体はまもなく滅ぶ。 経験革命がいま必要だ。 経験よりも観念を優位にする者は為政者に必要ない。それは漫画家か小説家にのみ必要だ。