タイガース史に暗い影を残す「緊急事態」。今回は退場して、謹慎中に旅行して、叱られて、相手を批判するビラを巻いて、罰金を科せられて辞めていった助っ人のお話を。その名はダレル・メイ。1999年のことです。(随時掲載)
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監督批判のビラを配った助っ人がいた!
この事件が久々に脚光を浴びたのは昨年。シーズン途中に獲得したソラーテが「モチベーションが上がらない」と発言して戦線離脱。そのまま退団してしまった。最近の「緊急事態」の時だった。過去の助っ人騒動アラカルトとして紙面に。最近の虎党も、若いトラ番記者も「とんでもないヤツがいたんだ」と仰天した。
ここでまず、事実を伝えておく。メイは「ビラは配っていない」。正確には、自分の主張をプリントした紙を、ひとりの英語のできるトラ番記者に渡した。虎風荘でのことだ。
「俺の言いたいことはこれなんだ。みんなに伝えてくれ!」
日本語のできない助っ人なりの考えた末の行動だった…ようだ。
これを目撃した別の記者が、当然自分も欲しいから「ワンモア、プリーズ!」とお願い。それを見たさらに別の記者たちも「ワンモア!」「ギブミー!」。次々とメイに群がった。苦笑いのメイは「OK! チョットマッテテネ(もちろん英語で)」。事務所で自ら大量にコピーしてきたB5サイズの紙を、居合わせたトラ番に順番に配っていった。まるでビラを配るかのように。今でいうなら、道行く人たちが号外を奪い合う光景を想像してくだされば。