演説

 皆さん、こんにちは。二年一組の早月です。去年は私を当選させていただき、有難うございました。

 私の公約は、制服選択制の導入です。これは、誰でも制服を性別や季節に関係なく着ることができる制度です。去年から掲げております。

 元々はトランスジェンダーの生徒に対して、戸籍上の性別とは異なる方の制服を選択可能にする為の制度でした。

 ただし、この制度はセクシャルマイノリティーだけが利用するものとは限りません。

 例えば、沖縄県糸満市西崎中学校では10人ほどの生徒が防寒性や機能性を理由にスラックス選択をしたそうです。また、校内は「女子はスカート」という先入観が無いそうです。

 このように制服選択性は誰でも利用し得るのです。とは言いつつも、実際にこの制度を利用する生徒はあまり多くないでしょう。万人向けではないでしょう。

 それでも、制服選択制はSDGs5番・10番のジェンダー平等を実現しよう・不平等を無くそう、に関わります。また、SDGsには、「誰一人取り残さない」という理念があります。「自分には関係ない」という態度は不適切です。SDGsは全員が協力せねばなりません。

 そうなると、制服選択制も「自分には関係ない」で放っとけるものではなくなります。

 だからこそ、皆さんの協力が必要です。

 ところで、去年はこの公約を掲げるのには相当勇気が必要でした。

 変なやつだと思われるだろう、と躊躇さえしました。それでも決行しました。

 案の定「オカマ」「オネェ」だの言われたり、挙句の果には公約自体を否定されたりしました。

 だが、ある時、朗報が入りました。来年度から女子生徒のスラックスが導入予定になる話でした。

 私があの時、意を決して掲げた公約には意味があったのだと思いました。

 そして、この公約は完全に達成させる義務があると考えました。

 今度は女子生徒だけでなく男子生徒も利用できるように。

 完全な制服選択制が導入された暁には、私も利用しますので、皆さん恥ずかしがらずに堂々とご利用下さい。当然の権利ですから。

 多数派の皆さん、どうかSDGs達成だと思って協力していただけませんか。

 貴方方の勇気ある一票をお待ちしております。

 ご清聴、有難うございました。


参考文献

この演説を書くにあたって参考にした記事です。

中学でも広がる制服選択制

僕がスカートを履く理由


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