国の審査なし「機能性表示食品」現在約7000件 消費者庁は制度の在り方を検討
今回、問題となったサプリは、「機能性表示食品」に分類されている。
「機能性表示食品」は「特定保健用食品=トクホ」で義務づけられている国による安全性と機能性の審査が行われることはない。
事業者が科学的根拠を示す論文などを届け出れば、機能性を表示できるため、トクホと比べハードルは低い。
この制度が誕生したきっかけは、2013年6月にアベノミクスの「成長戦略」の一環で、閣議決定によって国の審査のない機能性表示を認める方針が決まった。
当時から安全性には疑問の声が上がっていた。
共産党 穀田恵二衆院議員
「どんな機能があるかというのは、企業任せで、機能性表示を認めようとしているものであります。かえって消費者トラブルを拡大することになりはしないか?」
森まさこ 消費者担当大臣(当時)
「安全性の確保を大前提とすることを申し上げております。消費者が困惑するような表示による消費者トラブルに繋がらないように制度設計をしてまいりたい」
穀田議員
「これは命に関わる問題ですから、起こってからでは遅いんですよ。私は危ないって言っていると、あなたは危険がないようにって言っていると、それは将来歴史がそれは審判するでしょう」
2015年、閣議決定から2年も経たずに制度が始まると機能性表示食品の届出数は増え続け、現在はトクホの7倍、約7000件にのぼっている。
当時、消費者団体から起用され消費者庁長官を務めた阿南久氏は、機能性表示食品制度は政権の既定路線で進められたと話す。
元消費者庁長官 阿南久氏
「トクホはとてもハードルが高い。中小事業者も参入できるようにすべきだという議論があって、参入しやすい制度を作りましょうと」
退任後、阿南氏はこの制度に第三者によるチェックが必要だと考え、民間の消費者団体を立ち上げた。
事業者が届け出た科学的根拠を評価し、公表する取り組みを行っている。
阿南氏
「A・B・C・保留と分けていて、Aは有効性について十分な科学的な根拠がある。Bは有効性についてかなりの科学的な根拠があるということになります」
事業者の協力も得ながら科学的根拠のもととなった論文の数など専門家の設定した基準で判定する。
2022年、小林製薬のサプリへの評価はCにとどまった。「有効性についてある程度の科学的根拠がある」とされた。
阿南氏
「(小林製薬は)健康被害が起こっているということを知った段階で公表すべき。機能性表示食品全体の命運に関わる問題。ダメにするようなことを事業者自身がしたら制度は潰れてしまうし、もっとしっかり自覚を高めて欲しい」
今回の問題を受け、消費者庁は、全ての機能性表示食品を緊急点検するとともに、制度の在り方について検討していくという。