俺だけレベルアップの仕方が違うのは間違っているだろうか 作:超高校級の切望
恐らく最後の空の旅。もちろん、帰路を旬に頼めば乗せてくれるだろうがランテ曰く目的を果たした後のそれは旅ではない、との事だ。神の中には旅は帰るまでが旅と言う者もいるようだが。
「ん? 何あれ、黒い………森?」
と、ランテが地上を見て首を傾げる。眼下には、葉も幹も枝も地面に生える草花に至るまで黒く染まった森が見えた。それを見たアルテミスは目を見開く。
「森が、死んでいる……」
触れただけで崩れる木に触れ、エルフは顔を歪める。
「アンタレスの仕業だ。この辺りの生命を、全て食い尽くしたのだろう」
それはつまり、封印が解けたか解けかけていると言う事だろう。
「明日、すぐにでも遺跡に向かおう。夜は、十分警戒してくれ。封印は私にしか解けないのに行方不明者が出ているとなると、アンタレスの眷属が生まれているのだろう」
「眷属?」
「神の眷属とはまた別だ。モンスターが繁殖するのは知っているな? 本来なら魔石を切り分けて繁殖するのだが、アンタレスは食らった生命力を魔力に変換し、魔石を持ったモンスターを生み出す、ある意味では動くダンジョンとも言える怪物だ」
その言葉にアルテミスの眷属達は僅かに動揺する。
彼女達とて実力者であることは疑いようがない。しかし、地上とダンジョンでは、モンスターの強さは別物だ。
「相手の強さも解らないうちに、任せろとは言えないが俺がこの中では一番強いから、一応出来るだけ守ってみる」
「元気づけてるつもりかそれは………いや、そうだな。頼りにさせてもらおう」
旬の言葉にふふ、と微笑むレトゥーサ。十分な休息を取り、日の出と共に出発した。
「ここがエルソスの遺跡」
「アルテミス様は昔訪れたんですよね?」
「ああ、封印のほころびがないか確かめにな」
石造りの遺跡の一部を貫き木が生え、根が瓦礫に絡みつく。木の幹に埋まるように弓矢を構えた女神像が存在するその遺跡を見て、旬は目を細める。
「…………?」
「……………」
違和感を覚え門を眺める旬。アルテミスも何かを感じ取っているのか眉根を寄せ、しかし明確な答えが浮かばず困惑していた。
「はわ〜、きれい」
遺跡の通路は青い輝きが壁や天井に張り巡らされていた。
「封印の光だ。これを施したのは私に類する精霊達。私の最初の眷属とも言える………」
「私達の大先輩って事ですね!」
ランテがそんな事を言いながら、進む。やがて大きな門の前にたどり着いた。
出っ張った石版に描かれるのは弓に見立てた月に添えられた矢。【アルテミス・ファミリア】のエンブレムにも似た、紋様。アルテミスが手をかざすと、光が彼女を包み込み、紋様が向きを変え、石版が沈み込む。門がゆっくりと開き始め……。
「───っ!?」
旬が目を見開いた。門の奥から、赤い光が溢れ出す。
「なんだ、これは!?」
「す、吸い込まれる!?」
門の中へ空気が吸い込まれる、訳ではない。空間そのものごと、引き寄せられる。
〘ダンジョン〙に入場しました |
旬の脳内で、無機質な電子音と女の声のメッセージが響いた。
ダンメモのイベントやる?やらない?
- やらない
- 周年イベントだけ
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- 周年、季節イベントだけ
- コラボ、季節イベントだけ
- 周年、コラボイベントだけ
- 全部やれ