遊女同士の決闘 「踏み合い」

キャットファイトにそこそこ詳しい方の中でも意外に知られていない”日本で行われていたキャットファイトの風習
それがこの”踏み合い(踏合)”です。

踏み合い(踏合)とは吉原の遊女間で客の取り合いが起こったときの決着方法の事です。

当時の吉原では、一度ある遊女の客になると同じ店(見世)では別の遊女を買えないという決まりがありました。それはお店内で遊女同士が客の取り合いで揉め事になることを防ぐための措置として有効に機能する決まりでした。しかし別の店に行けば、その店の遊女を買うことはできました。そこで遊び好きだった男は、別の店に行って新しい遊女を買って楽しんでました。すると当然、店は違えど二人の遊女に対して一人の客(男)という三角関係が生まれます。このような状態になると浮気された遊女は内心穏やかではいられません。また新たに客がとれた遊女も別の店とはいえ自分以外の女の存在は面白くないと思ってます。はじめはちょっと遊ぼうかという軽い気持ちで別の店にいった客に対して、新しい遊女は客を前の店に行かさないように甘え、尽くします。客も新しさと居心地の良さで次第に前の店の遊女はおざなりになっていきます。結果、前の遊女は客を横取りされた形になり、嫉妬と遊女としてのプライドを傷つけられた怒りが相手の遊女に向かいます

そこで行われるのが遊女同士の決闘である”踏み合い”です。

まずは自分の客を横取りされた遊女が、取った遊女に2、3回は手を引くように交渉します(第3者を通じてが多い)。また客にも自分のところに戻ってくるように言います。当然お互いの意地とプライド、場合によっては愛情も絡んできてますので、言われた遊女も手を引きません。そうすると横取りされた遊女は、男をかけて踏み合いで勝負する旨を相手に伝えます。
盗った遊女がそれに応じた場合に、踏み合いにより決着をつけることになります

そして踏み合いとは何かというと遊女同士の一対一の果たし合い、つまり女同士の決闘です。ただし刃物を使ったりした命を取り合うようなものではなく、素手による肉弾戦でキャットファイト好きには理想的な決闘となっております。
ルールは髷(まげ)の崩し合いとされております。互いに罵りあいながら取っ組み合い、髪をつかみ引っ張り合い、殴り蹴り合い、最終的に相手の髷をとった(崩した)ほうが勝ちというものだったらしいです。

ここで、より具体的なイメージを得られるようにTVで紹介された「踏み合い」のくだりをご紹介します。


<映像につけられたナレーション>
「遊女間の決まりを破ると「踏み合い」といういわゆる遊女間の”決闘”が行われるわけですね。その時相手の髷をとったほうが勝ったんだそうです」

ここで上記の映像では突然すれ違い様に闘いが始まっているように見えますので、正直正確性に欠けるような気がします。しかしながらTVで紹介された貴重なシーンですので、一応ご紹介してみました。


実はこの踏み合いについては、その流れ、闘いを完全に再現した映画があります。
それが1968年に公開された「秘録おんな蔵」です。詳しくは以下のリンク先をご覧ください。

秘録おんな蔵(1968年


吉原の遊女は江戸の女の気質で意地が強く負けず嫌い、その為踏み合いも非常に激しい闘いになったと言われております。

この風習は江戸だけだったらしく、大阪や京都では行われなかったようですね。女の喧嘩において象徴的とも言えるヘアプルがルールに取り込まれた踏み合いは最高のCFになったと思います。こういう闘いが実際に行われていたという事実に、一人のキャットファイト好きとしては色々と想像が膨らみますね。


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