小数の問題は、整数の問題よりも複雑に感じやすいのではないでしょうか。
足し算・引き算と掛け算・割り算では計算ルールがそれぞれ違うように見えるため、混乱の原因になります。
しかし、やり方次第では小数の計算もすっきり解くことができます。今回の問題で、そのことを確かめてみましょう。
問題
次の計算問題を解いてください。
1.2+1.2÷0.12
計算を工夫して、なるべく筆算を使わないようにしてみましょう。
解答
答えは、「11.2」です。
どのような工夫をすれば、計算が楽になるか分かりましたか?
「筆算以外の方法が思いつかなかった」という人は、次の「ポイント」でこの問題を簡単に解くコツを確認してみましょう。
ポイント
今回の問題のポイントは、小数の割り算を分数として計算することです。
では、実際に問題を解きながら計算方法を確認してみましょう。
なお、今回の問題では最初に小数の割り算から計算します。
「足し算の方が先なのに…」と疑問に思う人がいるかもしれませんが、足し算と割り算が同じ式に登場する場合、計算の優先順位は割り算の方が高くなります。
今回の問題では、1.2÷0.12の部分ですね。
1.2+1.2÷0.12
では、早速1.2÷0.12を計算してみましょう。
小数の割り算は筆算を使えば確実に解けますが、筆算のための紙が必要だったり、計算過程が長くなってしまったりするのが難点です。
今回のように、割り切りやすそうな問題(12という数字が割られる数、割る数に共通して登場している)は、分数の形にした方が計算しやすいですよ。
1.2÷0.12
=1.2/0.12
このように割り算は割られる数/割る数として、分数の形に変換できます。
次に、計算しやすいよう小数を消してしまいます。
やり方は簡単。分子と分母の小数が消えるまで、10の倍数を掛ければよいのです(分数の場合、分子と分母に同じ数を掛けても割っても数の大きさは変わりません)。
今回は、100を掛ければ分子も分母も整数になります。
1.2/0.12
=(1.2×100)/(0.12×100)
=120/12
ここまでできたら、分子と分母を12で割って数を簡単にします(このように分子と分母を同じ数で割って分数を簡単にすることを約分と言います)。
120/12
=10/1
=10
これで問題の式は1.2+10になりました。
10は10.0のことなので、小数点の位置を揃えて足し算すれば…
答えの11.2が算出できます。
まとめ
いかがでしたか?
今回の問題では、小数の割り算を分数にして計算を簡単にすることができました。
計算問題の中には、ひと工夫をすることで一気に解きやすくなるものがあります。
一見ややこしい計算がするっと解けると、気持ちがいいものです。
ぜひ他の問題にも挑戦して、計算を楽しんでみてください。
文・編集:VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
監修:堀口智之(ほりぐち ともゆき)
和から株式会社代表取締役
大人のための数学教室「和」(なごみ) 創業者
大人の数トレ教室 代表
一般社団法人ビジネス数学協会 理事
2010年に、日本で初めて「社会人専門の数学教室」を創業。講師40名、累計受講者20,000人を超えるほどに成長。日本最大級数学イベント「ロマンティック数学ナイト」の企画・創設。延べ10万人以上が参加。2022年に、youtube「大人の数トレチャンネル」を本格稼働を開始。約1年でチャンネル登録者数4万人を超えるまで成長。
小数の計算にもう一問挑戦!