算数・数学の問題を考える際の基本となる「四則演算」を正しく理解しているでしょうか。
学生時代は算数・数学が得意だったという方も、大人になると電卓やPCを使って計算をしてしまいがちなので、細かな計算法則を忘れているかもしれません。
この記事では、「四則演算とは何か」に加えて、例題を交えながら解説していきます。
問題
例えば、次のような問題を考えてみましょう。
次の計算をしなさい。
48÷6÷2
解説
これは割り算だけの式です。どこから計算すればいいでしょうか。
正しい答えは「4」です。次のように計算しましょう。
(計算の順序を分かりやすくするためカッコを付けています)
(正しい計算)
48÷6÷2
=(48÷6)÷2
=8÷2
=4
問題の計算式をパッとみて、「6÷2」の方が簡単だから、こちらから計算しようと考えると間違いです。
(間違えた計算)
48÷6÷2
=48÷(6÷2)
=48÷3
=16
計算の順序を理解している方でも、曖昧な理解のまま計算していると、このような間違いをしてしまいます。
四則演算とは
四則演算とは、小学校で習う四つの計算である足し算・引き算・掛け算・割り算をまとめた呼び方です。
中学数学以降では、次のように呼ぶこともあります。
足し算→加法
引き算→減法
掛け算→乗法
割り算→除法
また、それぞれの計算した答えを「和差積商」と言います。
足し算の答え→和
引き算の答え→差
掛け算の答え→積
割り算の答え→商
これらの言葉は、問題を解く際に出てくることがあるので、ぜひ覚えておきましょう。
例えば、次のように問題が出されることがあります。
3と5の和を求めなさい。
「和」という言葉を知らないと、何を求めればいいのか分かりませんね。和は「足し算の答え」です。
つまり、この問題は「3+5の計算をしなさい」と同じ意味になります。
四則演算が混ざった計算
四則演算が混ざった式の場合、計算する順序が決まっています。
計算は必ず次の順番でしなければいけません。
(1)カッコ内の計算
(2)掛け算・割り算
(3)足し算・引き算
例えば、次の問題を考えてみましょう。
次の計算をしなさい。
(8-6÷2+1)÷3×4
どの順に計算すればいいのかに気をつけて、計算をしてみてください。
この計算の答えは「8」です。正しく計算できたでしょうか。
また、途中の計算式は次のようになります。
(8-6÷2+1)÷3×4
=(8-3+1)÷3×4
=(5+1)÷3×4
=6÷3×4
=2×4
=8
まず計算しなければいけないのはカッコ内です。
カッコ内がさらに引き算・割り算・足し算となっているので、優先するのは「6÷2」の割り算ですね。
するとカッコ内が「8-3+1」となるので、ここは前から順に計算します。8-3+1=6となります。
よって、「6÷3×4」となり、こちらも割り算・掛け算の計算なので、前から計算しましょう。
したがって、答えは「8」になります。
一見すると複雑な計算式のようですが、順序さえ意識すれば、一つ一つは簡単な計算ですね。
大人が間違えるポイント
計算の順序さえ守っていれば、間違えることはありません。しかし「楽に計算するために、工夫をしよう」としたときに間違えてしまうことがあります。
例えば、次の計算を考えてみましょう。
次の計算をしなさい。
58+74+26
足し算だけの単純な計算ですが、どのように計算するでしょうか。
この問題の答えは「158」です。もちろん前から順に計算してもいいのですが、実は後ろの「74+26」から計算すると、キリのいい100になり、繰り上がりの計算を考えなくていいですね。
58+74+26
=58+(74+26)
=58+100
=158
これは「結合法則」と言い、計算の順序を入れ替えても、計算結果は変わらないという性質です。
そして、ここで注意が必要なのは、結合法則は加法と乗法のみ成り立つということです。
つまり、足し算・掛け算のときは使えるが、引き算・割り算では使えないのです。
結合法則
加法 (A+B)+C=A+(B+C)
乗法 (A×B)×C=A×(B×C)
「計算の順序は守ったのに、間違えてしまった」という場合、引き算や割り算に結合法則を使ってしまっているということがあります。
引き算・割り算には結合法則は使えないので、ご注意ください。
まとめ
四則演算は、算数・数学の基礎となるため正しい理解が求められます。
単純な計算のように思えても、実はさまざまな性質の上に計算法則が成り立っているのです。
繰り返し練習をすることで計算力を養うことが可能なので、ぜひ他の記事の問題にも挑戦してみてください!
※当メディアでご紹介する数学関連記事において、複数の解法を持つものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
監修:SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」