検事長定年延長巡る文書、国に開示命じる判決 「黒川氏のため」言及
東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を延長した2020年の閣議決定をめぐり、神戸学院大の上脇博之(ひろし)教授が関連文書を不開示とした国の決定を取り消すよう求めた訴訟で、大阪地裁(徳地淳裁判長)は27日、不開示決定の大部分を取り消す判決を言い渡した。
徳地裁判長は「検察官の定年延長をしないといけない社会情勢はなく、ほかの検察官で延長された例もない。定年延長は黒川氏の定年に間に合うように短期間で進められたもので、黒川氏のためだったと思わざるを得ない」とも言及した。
検察官の定年は、検察庁法で「63歳」(トップの検事総長は65歳)と定めていた。だが黒川氏の定年を目前に控えた20年1月、当時の安倍晋三政権が国家公務員法の定年延長規定を適用し、検察官として初となる定年延長を決めた。この規定は「検察官に適用しない」とされてきたが、政府は「法解釈を変更した」と説明。重用する黒川氏を検事総長にする道を開く形となった。
上脇教授は21年9月、法務省内で法解釈の変更に至った経緯がわかる協議内容の文書などを情報公開請求した。しかし、同省は同年11月、大部分を「作成していない」として不開示とした。
教授側は「意思決定の過程を…
- 山本逸生
- 大阪社会部|裁判担当
司法、福祉、労働