副露とは / 鳴き(チー、ポン)‐ 他家の捨て牌を利用して面子を作ること

鳴き(チー、ポン)/副露とは - 他家の捨て牌を利用して面子を作ること

副露とは? / 鳴き(チー、ポン)

副露(フーロ)」は「鳴き」の正式名称です。麻雀の「鳴き」とは、他家の捨て牌を利用して面子を作る行為をさします。鳴きは「チー」と「ポン」の2種類があります。

「鳴く」のほかに、「食う」「晒す」「叩く」といった表現をしたりします。「副露」よりも、「鳴き」や「鳴く」と呼ぶことが多いです。

「カン(同一牌4枚を揃える)」も鳴きの一種ですが、仕組みが少々複雑です。他家の捨て牌で作る「明槓(ミンカン)」は鳴き扱いになりますが、自分の手牌のみで作る「暗槓(アンカン)」は鳴き扱いにはなりません。「カン」については別記事で詳しく解説します。

麻雀の槓(カン)を解説 ‐ 暗槓・明槓(大明槓・小明槓)の違い

2021.01.29
続きを読む

チーとは?上家の捨て牌で順子を作ること

チーは、上家(左隣りに座っている人)の捨て牌で順子を作る行為です。

■上家からしか鳴けない
■順子(同じ種類の数牌を数の順に揃える)のみ作れる
■鳴いた牌を他家にさらす

チーの手順

  1. 上家がチーしたい牌を捨てた
    例:
  2. 「チー」と発声する
  3. 鳴きたい2枚を相手に見せる
    例:
  4. 上家が捨てた牌を持ってきて順子を作り、図のように鳴いた牌を横にして右隅にさらす
  5. 1枚捨てる

チーをしたら、下記図のように自分の右側に並べて(表向きにして)置いてください。チーをした牌は左端に、かつ横向きにします。これは左の人(上家)の捨て牌で鳴いたという提示になります。

例:手牌にがあり、上家が捨てたをチーした場合

麻雀のチーの手順を表したイラスト

ポンとは?他家の捨て牌で刻子を作ること

ポンは、他家が捨てた牌で刻子を作る行為です。

■ポンは誰からでも鳴ける
■刻子(3枚同じ種類の牌を揃える)のみ作れる
■鳴いた牌を他家にさらす

ポンをして作った刻子は「明刻(ミンコ)/ 明刻子(ミンコーツ)」と呼びます。鳴いた牌を他家にさらす=手牌を明らかにする刻子なので「明刻」、と解釈すると覚えやすいかと思います。

ポンをせずに配牌やツモで作った刻子は「暗刻(アンコ)/ 暗刻子(アンコーツ)」と呼びます。

チーをした順子は「明順(ミンシュン)/ 明順子(ミンシュンツ)」、チーしない手牌の中にある順子を「暗順(アンシュン)/ 暗順子(アンシュンツ)」と呼びますが、こちらの名称はあまり使われません。

ポンの手順

  1. 相手がポンしたい牌を捨てた
    例:
  2. 「ポン」と発声する
  3. 鳴きたい2枚を相手に見せる
    例:
  4. 相手が捨てた牌を持ってきて刻子を作り、相手の方向を横にして右の隅にさらす
  5. 1枚捨てる

ポンをしたときの牌の向き

ポンをしたら、チーと同じように自分の右側に牌を並べて(表向きにして)置きます。誰からポンをしたかによって、牌の置く向きが変わります。

下家(右の人)からポンポンをした牌を右端に横向きにして置く
対門(向かいの人)からポンポンをした牌を真ん中に横向きにして置く
上家(左の人)からポンポンをした牌を左端に横向きにして置く
麻雀でポンをしたときの牌の向き

※牌を横向きにする際に、牌の頭が右向きか左向きかは特に決まりはありません。上記画像では牌の頭を左向きにして倒していますが、頭は左向きでも、右向き【中 横向き】でもOKです。

チーとポンはどちらが優先される?

同じ捨て牌にポンとチーがカブった場合は、ポンが優先となります。同時発声の場合はポンが優先されますが、基本的に鳴きは発声が優先されるので、チーの発声が早かった場合はチーを優先するのが一般的なマナーです。

ただし、相手のチーを阻止するための「邪魔ポン」はマナー違反とされることがあるので注意しましょう。邪魔ポンはルール違反ではないですし、戦略として使うこともありますが、やり過ぎると嫌がられる可能性も…。 邪魔する意図がなく、うっかりしていてポンの声がつい遅れてしまった場合でも、明らかにチーが早い場合は何も言わずスルーするのがマナーです。

鳴きとメンゼンの違い

ポンやチーをすることを「鳴く」と呼び、鳴いていない状態を「門前(メンゼン)/ 門前清(メンゼンチン)」と呼びます。鳴きとメンゼンでは何が異なり、どうゲームに影響するのでしょうか?

役の「門前ツモ」と鳴き/メンゼンの関係

役のひとつに、「門前清自摸和(メンゼンチンツモホー)」というものがあります。主に「ツモ」や「門前ツモ」と略して呼ばれる役です。

麻雀用語で「ツモ」は以下のように複数の意味があります。「山から牌を取る行為(とその行為がもたらす結果)」を指す言葉と考えるとわかりやすいでしょう。

  • 1:山から牌を取る行為(「ツモる」と表現する)
  • 2:ツモアガリ(自分でアガリ牌を引く)を指す
  • 3:門前清自摸和(ツモ/門前ツモ)という役名の略

ここでは「役のツモ(門前ツモ)」と「メンゼン」の関係について解説します。

「門前ツモ」の役の成立には2つ条件があります。1つは「ツモアガリ(自身のツモによってアガる)」であること。もう1つは、「メンゼンでテンパイする」=「鳴いていない」ことです。チーやポンで鳴くと「門前ツモ」という役は成立しません。

  • 1:門前でテンパイする(鳴いていない)
  • 2:自身のツモによってアガる

「門前清自摸和」という役は、「門前清(メンゼン)」+「自摸和(ツモ)」で分けると理解しやすいです。つまり「門前清自摸和」という役名は、「メンゼン」=「鳴いていない状態」、かつ「ツモ」=「自分でアガリ牌を引く」という条件を表しています。

要するに、ポンやチーで鳴いてしまうとメンゼンではなくなるため、「門前ツモ」という役を作れなくなるわけです

※「門前ツモ」と相性の良い役や作る際の注意は以下の記事にまとめています。

門前清自摸和(ツモ)とは? 門前でテンパイしてツモでアガると成立する1翻役 ‐ 麻雀役解説

2019.10.01
続きを読む

ここでテンパイについても解説しておきましょう。

テンパイはアガリまであと1枚の状態です。注意したいのは、「リーチ(立直)」とは異なるということ。

「リーチ」は役のひとつで、「リーチと宣言する」こと、「テンパイしている」こと、「メンゼンである」ことなどが条件です。チーやポンで鳴いていてもテンパイの形は作れるので、必ずしもテンパイ=リーチというわけではありません

つまり、チーやポンで鳴くとメンゼンが崩れるので、リーチをかけられなくなるわけです。

このように、鳴きかメンゼンかで作れる役が違ってきます。鳴いてしまうと「門前ツモ」や「リーチ」という役が作れなくなるので、ポンやチーをする前に狙う役を考えておきましょう。

メンゼンも麻雀でよく使う言葉なので、この機会にぜひ覚えてくださいね。

鳴いても(ポンやチー)をしても作れる役

解説したように、ポンやチーで鳴くとメンゼンではなくなるので、「門前ツモ」や「リーチ」といった役を作れなくなります。他にも「平和(ピンフ)」や「一盃口イーペーコー)」といった役もメンゼンが条件なので、鳴くと成立しません。役満の「国士無双」もメンゼンが条件です。

一方で、鳴いても成立する役や、飜数が下がるが鳴いてもOKの役もあります。たとえば、同じ数字の順子を3種類の数牌で作ると成立する「三色同順(サンショク)」は鳴いても成立しますが、鳴くと2翻から1翻に下がり、アガったときの点数が少なくなります。

麻雀を始めたばかりのころは、役ごとの「鳴きOK」か「鳴き不可」かがわからず、どう役を作ればいいか悩むことでしょう。これは打ちながら覚えていくしかないのですが、最初は「役名一覧表」などを見ながら、「鳴きOK」か「鳴き不可」を確認しながら役を作っていきましょう。

以下に「鳴きOKの役」と「鳴きOKだが鳴くと飜数が下がる役」を一覧にしました。意外と鳴きOKの役は多いですね。各役名はリンクになっていて、クリックすると詳しい成立条件や注意点を確認できます。

鳴きOKの役

役名飜数
断么九(タンヤオ1翻
役牌(ヤクハイ1翻
槍槓(チャンカン1翻
嶺上開花(リンシャンカイホウ1翻
海底摸月(ハイテイ1翻
河底撈魚(ホウテイ1翻
対々和(トイトイ2翻
三暗刻(サンアンコウ)2翻
三色同刻サンショクドウコウ)2翻
混老頭ホンロウトウ2翻
小三元(ショウサンゲン)2翻
三槓子サンカンツ2翻
大三元(ダイサンゲン)役満
大四喜ダイスーシー役満
小四喜(ショウスーシー)役満
字一色ツーイーソー役満
緑一色リューイーソー役満
四槓子スーカンツ役満
清老頭チンロウトウ役満

断么九(タンヤオ)を鳴いて作ることを「喰いタン」と呼びます。「喰いタン」はルールによって採用/不採用が分かれるので、「喰いタンあり」か事前に確認しておきましょう。

他にも「後付け」=「最初のチーやポンでは役がないが、後から役が確定する鳴き方」がアリ/ナシかもルールによって異なります。喰いタンあり、後付けありのルールについては、こちらの記事で詳しく書いています。

アリアリとは ‐ 喰いタンあり、後付けありのルール

2020.03.27
続きを読む

鳴きOKだが、鳴くと飜数が下がる役

役名飜数
三色同順(サンショク2翻→1翻
一気通貫(イッツウ)2翻→1翻
混全帯么九(チャンタ3翻→2翻
混一色(ホンイツ3翻→2翻
純全帯么九(ジュンチャン3翻→2翻
清一色(チンイツ6翻→5翻

各役の成立条件や、「鳴きOk」か「鳴き不可」かは以下の記事で一覧で確認できます。役の成立条件を覚えるまでは、以下の役名一覧を見ながら打つことをおすすめします

【麻雀役一覧 】1〜6飜役・役満の成立条件、成立例、鳴きOK・鳴き不可がひと目でわかる役名リスト【近代麻雀編集部監修】

2021.11.16
続きを読む

麻雀の点数計算の方法については以下の記事で解説しています。

【麻雀点数表 ・点数計算早見表】子・親のアガリ点、ピンフ・七対子の点数計算一覧

2021.11.16
続きを読む
  • 鳴き(チー、ポン)/副露とは - 他家の捨て牌を利用して面子を作ること

    この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀 新刊情報/