外圧でしか国内投資を盛り上げられない情けなさ
森永:もっとも、国家は企業とは違い、通貨を発行できますから、国債はそもそも「借金」なのかという疑問は当然浮かびます。自国の通貨を持たないEU諸国と比較したときに、極端に厳しい財政規律を守る必要があるのでしょうか。
国債の発行残高が増えると「円の信任が毀損される」というお決まりの反論がきます。
中には「昨今の円安は、コロナ禍で政府が“バラマキ”した結果だ」という見方もありましたが、円安が進んでいるということは、ドル高を意味します。アメリカ政府は日本以上に債務超過にあることは周知の事実ですし、コロナ禍で日本以上の財政出動をしているのです。
「緊縮財政派は何を心配しているのだろう」と疑問に思います。ただ、国家と企業・家計の財政を混同して語る人があまりにも多いので、私は国債はそもそも借金なのか、という話からはしないようにしています。
ただ、明るい兆しもあります。それは、庶民の生活があまりにも苦しくなってきているので、マクロ経済政策に関する関心が高まっていることと、円安と日本の賃金の安さで、外資企業を中心とした投資が日本国内に集まってきていることです。
後者に関しては、TSMCのケースが典型例ですが、東アジアの地政学的リスクが高まるにつれて、日本を製造業の一拠点にしようという動きが盛んになっているのです。
現在の円安は国外のインフレを輸入しているのが主要因で、これを改善するためには製造業の国内回帰をはじめとした供給力強化が必要です。外圧によってしか変われないのはなんとも情けない話ではありますが、それでも民間主導で投資が増えてきているのは歓迎すべき話だと思います。
──自民党の積極財政派は議連を立ち上げ、若手議員を集めるなど党内での影響力が拡大しているのではないかという報道もありましたが。














