国債利払い「金利上昇に耐えられない」は本当か
森永:そもそも、「異次元の金融緩和」政策で金利を下げてきたわけですから、金利のコントロールが効くことはこれまでの歴史が証明しています。
なぜコストプッシュインフレ下において金融緩和の解除を急いだのかがそもそも分かりませんが、実態として(YCC撤廃後)国債の利回り(10年もの)は1%台までしか上がっていないわけです。「2.4%」と予想するのは腑に落ちません。

もう一つ疑問があります。「金利上昇に耐えられない」は本当なのか、という点です。実際、現在のインフレ率は3%台(名目値)になっています。インフレが進んでいるということは、税収がその分増えていくことを意味します。
こういうことを考えますと「国債の利払い費の負担」だけを強調する手法はチェリーピッキング的だとも言えます。「金利が上がる→財政余力が必要だ→PB黒字化が必要」という論理は財務省が使う「自己実現的予言」とも表現すべきレトリックだと感じます。
──実質賃金は過去最長のマイナスが続いています。そもそも、金利ある世界でやっていけるだけの余力が日本経済にはあるのでしょうか?