丸いパン生地にビスケット生地をかぶせ、サクサクした食感を味わえる菓子パンは? 広島ではメロンパンとは限らない。
広島市に本店を置くベーカリー事業のアンデルセングループは、これを「サンライズ」と名付けて全国のアンデルセン店舗で販売している。「パンを焼く窯の窓からのぞくと、朝日が昇るように見えるから」(広報)と言い伝えられ、昭和30年ごろにそれまでの「コッペパン」という名前を改めたという。東日本大震災後の復興支援で焼きたてパンを届ける「サンライズプロジェクト」を展開したこともあり、グループにとっては思い入れのある商品名だ。
広島県呉市には「メロンパン」という1936年創業のパン製造会社がある。メロンパンという名で陳列されている商品はラグビーボールのような紡錘(ぼうすい)形で、中には特製のカスタードクリームがたっぷり入っている。
創業当時からあり、マクワウリに見立てたと伝わる。東洋一の軍港と呼ばれ、早くから洋食文化になじんだ呉の人たちに親しまれてきた。なお、一般的なメロンパン、アンデルセンがサンライズと呼ぶ丸形の菓子パンは、「コッペパン」という商品名で販売している。
広島で街のパン屋さんに行くと、「サンライズ」「メロンパン」「コッペパン」が混在する。それぞれに味わい深い歴史がある。