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あまり知られていない観光スポットや地元で人気の食べ物を、現地で勤務する支局長が紹介。47都道府県を巡ります。

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お国トリビア 広島県 蔵元がずらり、日本三大酒どころ「西条」

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 兵庫・灘、京都・伏見と並ぶ「日本三大酒どころ」といえば、どこかご存じだろうか。米どころの東北をはじめ、銘醸地は全国に多数あるが、広島・西条(さいじょう)が挙がることが多い。

 瀬戸内海を挟んで対岸の愛媛県には西条市があるが、現在の広島県には西条という自治体はない。広島の西条とは「旧西条町」のことで、1974年に旧賀茂郡4町で合併し、現在は東広島市となっている。同市の「西条町西条」や「西条本町」などの地名に名残をとどめる。

 JR西条駅で降りると、ここが酒のまちだとすぐに分かる。駅南側一帯は「酒蔵通り」を中心に七つの蔵元が密集し、酒蔵などの白壁が連なる。賀茂泉、賀茂鶴、亀齢、西條鶴、山陽鶴、白牡丹、福美人――。赤レンガの煙突が林立し、なまこ壁、西条格子などが独特の風情を醸す。

 江戸時代から宿場町として栄え、酒造りが始まった。冬の仕込みに適した高所で地下水に恵まれた地の利に加え、1894(明治27)年に広島―三原間の鉄道が開通したことで一気に発展。大正・昭和の初めには「酒都西条」とも呼ばれたという。

 そして「三大」たる理由として忘れてはならないのは、現代の吟醸酒の基礎となる酒造技術がこの地や周辺で生まれ、育まれたことだ。日本唯一の酒類に関する国立系研究機関「独立行政法人酒類総合研究所」が東広島市に立地しているのも、西条の歴史をひもとけば得心がいく。

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