『「どちらが小池知事を倒す可能性があるか」で投票先を決めるのがよい』『伸び悩む蓮舫氏よりも、未知数で急伸している石丸氏のほうが、まだ大逆転の奇跡の可能性がある』などという鮫島浩記者の主張は、さすがに理解できません。一応は終盤情勢を見て決めろと言っていますが、これは事実上「蓮舫氏の支持者は勢いのある石丸氏に票を寄せろ」という戦略的投票の呼びかけです。しかし、蓮舫氏と石丸氏は基本理念で一致していないのに、そんなことは荒唐無稽でしょう。極端な話、仮に田母神氏が勝ちそうなら、共産党員が打倒小池のため田母神氏に票を入れるという話になるでしょうか? 「小池を落とせれば本当に誰でもいい」というのは、小池氏に怨恨がある人くらいでしょう。もちろん、ほとんどの有権者はそうではありません。戦略的投票は、あくまで「比較的考え方の近い候補の中から、勝てそうな人を選ぶ」という話であって、「勝てれば誰でもいい」という選択にはなり得ません。 鮫島氏は打倒小池の理由について、「最大の失政は当初の公約を捨て、裏金自民党と結託したことにある」と主張します。しかし、石丸氏と小池氏のどちらが自民党と近いのかは、現時点では判然としません。経歴が浅く判断材料が少ないというだけであり、むしろ石丸氏の方が自民党と近くなる可能性も否定できないでしょう。 これが議院内閣制なら、自公の過半数割れで全ての主要政党に政権参加のチャンスが生まれるので、「とりあえず打倒自民で手を組む」というのも理解できます。しかし、知事選はそうではありません。蓮舫氏が勝てば総選挙に向けて野党側が勢いづくでしょうが、石丸氏が勝っても野党が有利になるとは限りません。小池氏が落ちても、自民党にとって国政での痛手は一切ないのですから。 samejimahiroshi.com/politics-tokyo
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