異世界イッセー   作:規律式足

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 キャラ改変ありです。
 閲覧注意。



第二十話 目指すべき頂

 

 次の日の朝。通学路を歩く俺とアーシア。

 アーシアとミルたんのおかげで俺はなんとか生き返ることができました。それと昨日の件で早朝トレーニングは今日はお休みです、体調が悪い時こそやるべきだけど周囲の人が止めたので。

 

『しかしなんだったんだろうなあのキノコ。治癒というか命一つ分を追加してきたような感覚だったが』

 

 どんなキノコだソレ。ミルたんは何を人の口にねじ込んだんだ?

 

「イッセーさん大丈夫ですか?」

 

 よほど酷い状態だったみたいでアーシアは心配してくれる。けど肉体に不備はない。ただ、

 

「何故か無性に、思い切りジャンプしたり、ブロックに頭突きしたくなったり、土管の中に入りたくなる衝動があるけど、大丈夫だよ」

 

『駄目じゃね?』

 

 そして亀を倒したくなる。踏まなきゃ、亀を踏まなきゃ、歩くキノコと足の生えたクリもどこだ。

 そんな色々副作用はあるけど命は助かったから平気だよね、今度ミルたんにもお礼をしないと。しかし本当に次元を渡っていたんだなあ。グランバハマルには繋げないでくださいお願いします。

 

 

 

 

 時間は飛んで放課後。

 アーシアと二人で行く途中で木場とも合流した。会話中に最近の部長の心ここにあらずな状態について聞いてみたけど、木場も察してはいたけど詳しくは知らないらしい。

 悪魔の駒の転生悪魔にしても親衛隊のような主の身を守るためだけの存在もいるらしい。

 だから知っているとしたら懐刀となる女王の駒で転生した朱乃さんだとか。

 歯がゆい気持ちはあるが立場は重要だ。それに俺は悪魔になってから一月程度、年単位の付き合いがある皆と違って当たり前だろう。

 オカルト研究部へと行ったらそこには機嫌の悪そうな部長と、表情はニコニコしてるけど冷たいオーラを放つ朱乃さん、そんな二人の様子に関わりたくなさそうな小猫ちゃんが部屋の隅に座っていた。

 余裕の無い張り詰めた空気が空間を支配していた。

 

(やっぱりか)

 

 昨日の自分の推測は当たりらしい。

 そうなればそろそろ相手方と仲介役が来てもおかしくないなと身構える。その空気に不安そうになるアーシアに大丈夫だよと頭を撫でる(自分にダメージ)。

 

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

 

 部長がメンバーを確認してから口を開く。

 だがそれと同時に、部室の床に描かれた魔法陣が光出す。

 転移現象か。どうやら他の悪魔が転移する場合も部室の魔法陣は基点となるらしい。グレモリーの紋様は別の紋様へと変化していた。もっと勉強すべきだな、悪魔の血統ごとに紋様が違うなら見ただけでどの家か分かるのだから覚えておかないと。

 

「フェニックス」

 

 近くにいた木場がそう口から漏らした。なるほど部長の望まぬ相手はその家の者なのか。

 魔法陣から炎が巻き起こり、室内を熱気が包み込む。魔炎竜ほどではないがかなりのモノだ。

 炎の中で佇む男性のシルエット。その人が腕を横に薙ぐと周囲の炎が振り払われた。カッコイイ、転移する時にやってみたい演出だなと不謹慎ではあるがつい思ってしまった。

 

「ふう、人間界は久しぶりだな」

 

 そこに居たのは赤いスーツの男性、スーツを胸までワイルドに開いて着崩していた。見た目は二十代前半くらいだろうか(悪魔だから当てにはならないが)。

 どこか悪ガキっぽい影のある整った顔立ち。ホストのような、ワル系イケメンという感じかな?

 

「愛しのリアス。会いにきたぜ」

 

「貴方は誰にでもそう言うでしょライザー」

 

「誰にでもじゃないさ、関係ある女と関係をもつ予定の女だけだ」

 

 歓迎していない部長の言葉を平然と流す男性。女性のあしらいにずいぶんと慣れているようだ。

 しかし居てもおかしくない仲介役の方がまだ来ないからもてなす必要はあるか。

 

「失礼します、私はリアス・グレモリーが兵士兵藤一誠と申します。お客様のご尊名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

「兵藤?ああ、先日悪魔に転化した赤龍帝か?!貴族界隈でかなり噂になっているぞお前。何せ悪魔が確保した初めての神滅具な上、史上最速で昇格した転生悪魔だからな」

 

 そちら方面にアンテナが無いから仕方ないけど、かなり俺の名は広まっているようだ。というか神滅具の存在はそれほどまでに特別視されているのか。

 

「おっと悪いな、俺はライザー・フェニックス。フェニックス家の三男でリアスの婚約者だ」

 

 やっぱりそうか。  

 部長だけじゃなく朱乃さんも不機嫌だから嫌われているみたいだけど。

 

「それではお茶をご用意いたします。何かご希望の茶菓子などはございますか?」

 

「菓子はなんでも良いからお前の話を聞かせろ、悪魔に成ってから一月で昇格できたタネに興味あるからな」

 

 昇格理由はミルたんなんだけどなあ、話して良いんだよねコレ。

 俺は不満そうで不快そうな態度の皆に自分が応対すると目配せで伝える。

 下手に今の部長が相手をしても話が余計に拗れるだけなのは目に見えている。仲介役の方が来る迄はなんとか相手しておかないと。

 

 

 

「アーハハハハハ。なんだソレ?!ミルたんって、ミルたんってよお。しかも契約者が変態ばっかりじゃねえか!!」

 

 ライザー様と会話をはじめてから少々、彼は大ウケされております。よほど俺の悪魔生活の話が面白かったみたいです。問われるままに答えたら爆笑されちゃいました。

 

「ライザー様は変態と契約をされないのですか?」

 

 だとすればかなり羨ましい。

 もうこっちとしては契約する人=変態な認識なんですから。

 

「なんで変態が前提なんだよ。冥界本土の悪魔はそんなに人間との契約なんてしねえよ。あのチラシで冥界から喚び出すのは無理があるから人間が喚び出すには大規模な儀式になっちまうしな」

 

 爆笑しながら説明をしてくれる。となるとチラシでの契約は人間界に拠点が無いと難しいのか。

 

「俺は普段は自分の領地の運営と管理、後はレーティングゲームのプレイヤーをやっている。悪魔契約は重要な仕事だが別の連中の担当だな」

 

 さらにフェニックスは治癒の霊薬であるフェニックスの涙の生産、販売、運用のお仕事もあるとか。

 

「領地ですか?」

 

 そこで気になる単語があった。人間界での縄張りとはまた別なのだろうか?

 

「ん?ああ、まだ転化したばかりだから冥界のグレモリー本家に行ってねえのか。冥界は悪魔の総数の割に土地が有り余っているからな。俺みてえな三男坊や転生悪魔にも領地を与えられるんだよ」

 

 なるほど、勉強になるな。

 

「人間界と違って海がねえから土地も広いし、魔力があるから資源確保の土地開発の必要もねえ。手付かずの土地を眷属に譲れるから、最近の転生悪魔は領地の発展にハマる連中もいるな」

 

 異世界転生して領地運営をする作品も流行っているからなあ、リアルでできるなら熱中するか。さらに神器持ちの元人間の転生悪魔は迫害された者も多く、そんな悪魔達は人間界から縁を切って暮らすのだとか。

 

「しかし領地運営とか素人には無理ですよね」

 

「そこら辺はグレモリー程の名門なら平気だよ。任せられる代官はいくらでもいる、俺だって丸投げだしな」

 

 悪魔の代官。

 いわゆる下級悪魔とか中級悪魔とかの悪魔がどんな存在かはよく知らないな。

 戦時には主兵力になる彼らだけど、悪魔の駒で転化した眷属悪魔より弱い存在らしい。

 いや悪魔の駒による強化率がそれほど凄まじいってことなのかな?

 

「ところで兵藤一誠。お前はそんなに早く昇格して何がしたいんだ?爵位目当てか?」

 

 理由か。

 確かに普通は目的があるから昇格を目指すんだよな。俺は悪魔の仕事をやるために悪魔をやっているようなものだけど。

 

「昇格自体は成り行きですが、夢はありますね」

 

「ほう、教えろよ」

 

 興味をもったのか尋ねてくれるライザー様。普通の貴族は下民のことなんて気にしないのに、この人も変わり者なのだろうか。

 

「はい、俺はハーレム王になりたいんです!!」

 

(無理だと思うけど体質的に)

 

(死ぬでしょ兵藤先輩)

 

 木場と小猫ちゃんが哀れな生き物を見るような目を向けている気がするけど気にしない。

 そして部長と朱乃さんとアーシアはライザー様との会話がはじまった辺りから露骨に不機嫌さが増している。

 

「あんなに楽しそうに私とは話さないのに」

 

「あらあらウフフ(怒)」

 

「イッセーさん」

 

 むしろライザー様よりもこっちの方がヤバいかもしれない。

 

「ハーレム王か」

 

 するとライザー様はその言葉に両掌を合わせて真剣な表情を浮かべる。

 

「分かっているのか小僧。それが如何に苦難の道であるのかを」

 

 重苦しいこの言葉。もしやこの方は。

 

「一つ聞こう。お前はハーレム王に必要なモノはなんだと思う?」

 

 必要なモノか。

 

「お金ですか?養うには先立つものが必要ですから」

 

 やはり資金。

 何をするにしても必要なモノはこれだろう。

 グランバハマルの財宝を所持する自分が困ってないものだ。

 

(意外と堅実だよイッセー君)

 

(本気でハーレム王を目指してるのかこの人)

 

「いいや、それは前提条件に過ぎない。本当に必要なモノ。それは、」

 

 だがライザー様は俺の回答に首を横にふる。そして答えを言ってくれるようだ。

 そ、それは?(ゴクリ)

 

「愛だ」

 

(意外な回答ですねライザー様)

 

(ホストみたいな人の意見とは思えない)

 

 ねえ、木場と小猫ちゃんはかなり失礼なことを考えてない?

 

「愛、ですか?」

 

「そうだ、愛だ。 

 いいか、女を複数人侍らすのはそう難しいことではない」

 

「イケメンだけですよソレ。全国の非モテに刺されますよライザー様」

 

 それが出来たら苦労しねえんだよ。

 

「貴族悪魔なら女の欲しがる物を用意するのは簡単だからな。というか転生悪魔になって美しいまま長い時を生きれるというだけで普通は断らない」

 

 あー、言われて見ればそうだよね。

 あっさり手に入ったから意識してなかったけど、一万年の寿命も老いにくい身体も誰もが欲するものだった。特に女性は永遠の美貌とか夢そのものか。

 

「だがな、それで眷属にして手元に置いておくだけでは駄目なんだ。ハーレムってのはそれで終わりじゃないんだよ」

 

 眷属化によるハーレム入りはゴールではない。ということなんですね。

 

「女は自由だ。どこにでも行けるし、なんだって思える。そんな存在を自分に縛り付けるために必要な物、それが愛なんだ」

 

「ライザー様、貴方はもしや」

 

 そこで気づいた、目の前の御方がどのような存在でなんであるのかを。

 

「ふ、バレてしまったか。

 そう俺は俺こそは、自ら眷属総数(一名実妹で引いて)十四名をハーレムとした、お前の先を征くハーレム王だ(ドンッ)」

 

「なんだってー!!」

 

 そう、この御方が、ライザー・フェニックス様こそが俺の目指す頂に座す御方だったんだ。

 

(だから部長に嫌われているのでは?)

 

(最低です)

 

『物凄くどうでも良い話だな』

 

 ヒートアップする俺とライザー様を一部の方々は冷めた目を向けていた。

 

「イッセーがあそこまではしゃぐなんて」

 

「あらあらウフフ(殺)」

 

「イッセーさん」

 

 さらに一部の方々はダークサイドに落ちそうですね。個人的にかなり楽しいライザー様との話はまだまだ続きます。





 補足・説明

 ライザーとの会話が盛り上がってしまったので一旦切ります。なので本題に入るのは次話です。いや何しに来たんだこのフェニックス。
 スマホ投稿なので五千字を超えそうだと内容確認が大変なのも理由の一つです。パソコンと違って前の文章を見るのも手間でして。
 領地云々は原作に多少加えてる程度です。領地が空き放題で悪魔人口が少なく、眷属に土地を簡単に譲るのは原作設定です。グレモリーという一悪魔にしても地球でいう日本の本州丸々ぐらいの領地持ちだそうです。原作でも主人公達に簡単に譲ってました。
 戦争よりも領地の発展をすればとも思いますが、天使や悪魔は人間の祈りと願いが必須みたいで、どちらかと言うと人間の取り合いが目的みたいですね。

 ちなみにライザーのイッセーへの態度は赤龍帝というブランドと中級悪魔という立場が大きな理由です。貴族として放置できない存在なので。
 後はイッセーに敵意がないのもあります。イッセーからしたらグランバハマル貴族より遥かにマシに見えたので。
 あと、ライザーは同性の同世代から死ぬほど嫌われているので友人がいません。だからイッセーとの会話が楽しいみたいです。

 微妙な区切りと設定話ばかりで申し訳ない今話でした。
 

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