異世界おじさんサイドの続きです。
オリジナル設定がありますので閲覧注意。
本人達らしく書いたつもりですが、不快に感じたらすいません。
なんと異世界おじさんが共に冒険した親友・兵藤一誠は、別の世界の日本人だったのだ。
「「平行世界ーーー?!」」
「そう、日本ではあるが今居る世界と基本的に同じで些細な変化があるだけの世界だね」
《注、些細ではありません》
「なるほど、だから再会できないんですね」
「別の世界に帰ったわけだから」
その説明で会えない理由に納得する、藤宮さんと敬文君。
異世界おじさんの親友と永遠の別れ。
語る彼はどこか寂しそうに見えた。
「(こんなに仲が良いならさ)」
「(うん、わざわざ別れなくてもって思うけど)」
「(兵藤さんにも家族がいるから元の世界に帰りたいよな)」
「(うちの場合は一家離散してるから話題には出せないけどね。おじさんが鼻血だしちゃう)」
家族。
いわゆる異世界転移というジャンルにおいてもっとも重要な要素。
異世界転生という死という過程がない限り、家族との永遠の別離を受け入れることは困難であろう。
異世界おじさんの場合は帰還しても一家離散していたが、なんとしても元の世界に戻ろうとするだろう。
「け、けどよく平行世界だなんて分かりましたね」
「食べ物とかは同じ名前だから中々気づかないと思うけど」
暗い話題(一家離散)を振り払うように二人は話を続ける。異世界おじさんの境遇は笑い飛ばさないで直視すると心にクルのだ。敬文君は当事者だけど悲しいことにもう慣れていた。
「ああ、それはねえ」
とっておきのネタなのか勿体ぶるように言おうとするが、
「あ、分かった。ドライグさんですね」
「それだ、あんな喋る籠手があるんだから平行世界なんて分かるよね?」
兵藤一誠の喋る籠手こと赤龍帝の籠手・ドライグ。それは異世界おじさんが存在し、グランバハマルに魂の拉致被害者もとい異世界転移者が度々でることを除けばファンタジーとは無縁なこの世界にはない要素なのだ。兵藤一誠の世界に似たような存在があるならばそれはまさしく平行世界の証明となるだろう。
「え?」
「「え?」」
そんな発想なかったと言わんばかりの反応をするおじさんと、そんなおじさんになんでそんな反応と驚く二人。
「いや兵藤君の世界は、SEGAがSEBAだから気づいたんだけど」
「「そっちーっ?!」」
おじさんが平行世界と気づいた原因。それは兵藤一誠とのゲーム談義中のこと。当時中学生の兵藤一誠はカワイイビジュアルに惹かれて父親のSEBAをプレイしていたのだ。
「いや、おじさんからしたら重要なトコだから気づいたのは納得ですけど」
「ドライグさんのことは何か違和感を持たなかったの?!」
「いや腹話術にツッコミ入れるのはどうかなって」
「「腹話術ーっ?!」」
悲報、異世界おじさんはあれだけ語り合った赤い龍ことア・ドライグ・ゴッホを腹話術認識だった。
「それは無理があるでしょ!!」
「相棒のドライグ君とか言ってたじゃん!!」
「本人がそう言ってるのに追求できないでしょ」
悲報、異世界おじさんは気遣いで話を合わせていただけだった。
「聖書とかの話は?!(聞き流してアイテム整理してたけど)」
「兵藤さんと同時に話していたよね」
「いやー、俺も兵藤君くらいの時にオリジナルキャラクターの設定とか考えてたし。同時にはほら、俺もコントローラーを足で操作して一人で二人プレイできるからその延長かな?って」
「「できるかっ!!」」
一つの声帯で二種類の声音で別の内容を話す、どこぞの無敵超人ぐらいしかできない(無駄な)絶技であろう。
「あ、他にもドラゴンボールがドラグ・ソボールだったからだね。主人公も孫悟空じゃなくて空孫悟でさ」
「「平行世界だ間違いない」」
「SEGAの時と反応違くない?」
SEGAとドラゴンボールどちらの方が知名度があるかは微妙だが、彼らからしたらプレイしたことのないゲーム機より再放送や続編を視聴したことのある方が納得できたのだ。
なおゲーム機名はセガサターンではなくセバジュピターである。
「別れは辛かったよ。何度も語り合った親友だからね。でもお互い元の世界への帰還を諦める気はなかった。なんとしても成し遂げたい、叶えたい目的があったからね」
拳を握り無駄にシリアス顔で語る異世界おじさん。アレ?家族のことは忘れてるよねと首を傾げる藤宮さんと、嗚呼アレかと遠い目をする敬文君。
「せっかくだし見ようか。記憶再生」
二人に伝わりやすいようにか、あるいは親友の言葉を直接見て欲しいのか、異世界おじさんは魔法を発動した。
其処がどんな場所かはわからない。
異世界おじさんと兵藤一誠が立つ場所がどんな空間なのか見ている筈なのに何も見えない。
分かるのはその場所で元の世界へ帰還する寸前の二人が最後の別れをしていることだけ。
「ようやくだな」
「十年、長いような時間も過ぎてしまえばやっぱり長かった」
「全くだ。とても長くて辛い十六年だった」
着ている服が違うだけの異世界おじさん嶋㟢陽介と今まで見た姿よりも筋肉質で精悍な兵藤一誠。
二人の声からは疲労と溢れ出る喜びが伝わってきた。この時のための十六年と十年、この瞬間のための血と絶望の日々。
二人は辿り着いたのだ。
「君ともお別れだな」
「まさか別の日本なんて思わなかったよ」
「でも別れはこっちの人達ともした」
「名残惜しくないとは言い切れないが、それでも」
「「目的のために何があろうと帰りたい」」
「俺はセガサターンソフト読者レースの最終結果を知るために(一位はガーディアンヒーローズだな)」
「俺はあの日掴んだエロ本を読むために」
『それで良いのかお前ら』
《注、二人共に一番の理由は家族との再会です。今まで散々語り合ったのでこの場で言わないだけです》
「たとえ親友と永遠の別れになろうとも」
「たとえ二度とこの地を踏めなくとも」
「「帰るんだ」」
あえて口にするのはふんぎりをつけるため。グランバハマルの日々は辛かったが、それでも思う所がない訳でないのだから。
「ゲームゲームゲームゲームゲーム」
「エロエロエロエロエロ」
多分。
「まあ、世界が違っても君に何かあったら飛んでいくよ親友」
「ああ、こっちもあんたがピンチなったら駆けつけるさ親友」
『(職歴十六年何もない無職の三十代が社会に放り出される以上のピンチなんてあるのか?だから相棒には金銀財宝をできる限りしまっておけと言ったのだが。というかこの二人の戦闘面でピンチになるなんてグレートレッドとオーフィスの決戦レベルの戦いだろうに)』
「さようなら、兵藤君」
「今までありがとう、陽介さん」
まるでいつもの道で別れるような、そんな永遠の別離。けれど、その瞳から一筋の涙が堪えきれなかった思いのように溢れて落ちた。
「こんな感じだったなあ」
感慨深く息を吐く。
友との別れ、その瞬間を彼は思い出していた。
「どうしたの二人共?」
だが藤宮さんと敬文君は顔を伏せてぷるぷると震えていた。
「(確かに良い別れだったけど)」
「(日本に戻るための目的が酷すぎる。いやおじさんの方は知っていたけど)」
「(けどおじさんには良い思い出みたいだから)」
「(ツッコミたいけどツッコめない)」
異世界おじさんと二人の温度差。
これこそが彼らの彼ららしい日常なのだろう。
「兵藤君、俺は目的を果たしたよ。結果は耐えきれなかったけど。君はどうだい?君は達成したかな?友よ」
異世界おじさんは遠き世界で友を想う。
お互い叶えると誓った目的を果たせたと信じて。
なお、交通事故の直接の原因であるエロ本をご両親は一度処分しようとしたが目を覚ました時に説教するため保管していた。
そして、
兵藤一誠は読んだ瞬間に血反吐を撒き散らしてぶっ倒れてしまったそうな。
補足、説明。
異世界おじさんはドライグを腹話術認識でした。グランバハマルの古代魔導具かと思ったりもしましたがエルフが違うと言ったので(なおエルフは一誠をフォローしないので腹話術ではないとは言わなかった。彼女は赤龍帝の籠手を危険視すらしていた)。
しかしマガツコトノヌシのような存在の危険性があるため一誠が寝ている時に調べるためにアレコレやらかして、とんでもないことしでかしました。その後誤魔化すために記憶を消した。
なおこの夜の件は一誠のトラウマの一つ。
夜に目を覚ましたら異世界おじさんが覗き込みながらアレな顔でブツブツ言ってたので恐怖のあまり気絶しました。異世界おじさんの記憶忘却はドライグ経由からバレて戻りました。この件から記憶忘却は神器持ちには通じない認識となります(意志を持つ神器はレアですが)。